ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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王都 3

 さて、行くと決めたはいいが。

 どうしたものか。

 

 いや、と言うのもだ。

 ノアの呼び出しに応じ、王都に行くと決めてからしばらく経って。

 ふと思い立った。

 王都までどうやって行こうか、と。

 今は冬真っ只中。

 街から王都までは結構な距離がある。

 この時期以外なら馬車で数日、それでもあまり気乗りしないが。

 雪が積もった状態。

 何泊掛かるか、想像もつかない。

 

 下手したら1週間とか?

 それ以上かも。

 流石に馬車で行くのはごめんだ。

 

 他の街への道に比べれば整備はされてるんだけどね。

 利用頻度も高いし。

 でも、雪が積もって仕舞えば同じ。

 流石に冬でも通行に問題がないと言えるほどに管理されてる訳ではない。

 馬車を動かすために雪かきをしながら。

 少しずつ。

 ……あまり想像したくはないな。

 

 安請け合いしてしまった気がする。

 その日のテンションで。

 嬢に背中を押され、そのまま決めてしまった。

 深く考えないの俺の悪い癖だ。

 もはや治るものでもないし、仕方ないのだが。

 今から断るのは。

 まぁ、無しだよな。

 もう返事返しちゃったし。

 そもそも嬢にも行くって言っちゃった。

 あそこは謎に仲がいいのだ。

 ノアと嬢、そこの2人から同時に嫌われるのはちょっと。

 流石に勘弁願いたいな。

 

 まぁ、馬車以外の選択肢が無いわけでもない。

 それこそ転移魔法とか。

 でもなぁ、転移で行くってのもどうなのだろうか。

 温泉街にはこの方法で行ったわけだが。

 それと同じ。

 そう言う訳にはいかないよな。

 少し考えるだけで、結構な問題が発生するのが想像に難くない。

 向こうでノアと会わない訳にはいかないし。

 こっちにいたのは把握されてる。

 手紙読んで来たのだ。

 返信もギルド経由で送っちゃってるし。

 

 この時期動いてる乗合馬車なんて数本。

 それは、王都方面とはいえそこまで変わらない。

 数が限られるのだ。

 調べようと思えば、一瞬。

 もし馬車を使わずに行ったら、足がつく。

 いや、調べられなければ問題は無いんだけどね。

 でも違和感やばいよなと。

 ノアが調べるとは思わない。

 ただ、このやりとりギルド経由でやってるし。

 ポーションの件もあって。

 多少は目をつけられてる自覚がある。

 

 ……

 

 ま、いっか。

 仮に違和感を持たれたとして、だ。

 どうせバレようも無い。

 確かに馬車を使ってない事は明か。

 他の方法で来たのだと察される。

 でも、それで?

 転移で来たなんて分かりようもない。

 瞬間さえ見られなければ。

 何たって、転移魔法なんて御伽話の世界だし。

 想像もつかないだろう。

 そうなれば、ね。

 いくらでも誤魔化しようはある。

 

 何よりも、馬車で移動する方がめんどい。

 1週間以上箱詰めにされ、他人と同じ空間で過ごす。

 しかも、たいして乗り心地も良くない座席でだ。

 ……うん、ありえないな。

 この世の中何を優先するかだ。

 これよりは転移で王都に即到着する方が何倍もいい。

 多少疑われるかもしれないが。

 馬車にはそれ以上のデメリットを感じる。

 俺はそっちを取る。

 

 最悪、ノアが呼び出したんだし。

 上手いこと庇ってもらおう。

 Aランク冒険者なのだ、ギルド相手なら結構融通も効くでしょ。

 俺が火種を作ってる気もするが。

 呼び出した方も悪いってことで。

 

 完璧だな。

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