ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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王都 12

 生徒に絡まれるなんてトラブルもありつつ。

 レストランへ。

 学園を離れ、王都の街を2人歩く。

 

 ここに来たのも実に二十数年ぶり。

 記憶はあやふやだし、そもそも結構街並みも変わってる様子。

 そんな事情も相まってノアに連れられるまま。

 お店まで案内してもらっている所だ。

 男として、パートナーにそこを任せるの少々情けない気もしていたが。

 よく考えてみればノアも男である。

 なら、どちらがエスコートしたって問題はないはずだ。

 猫になる気はないけど。

 それはそれ、これはこれって事で。

 

 同じ王都ではあるが、街並みが違う。

 さっきまで飲み歩いてた場所とはえらい差を感じる。

 建物の一軒一軒がデカいし。

 歩いてる人もやたらと質のいい服装。

 ここらは王都の中央付近だ。

 いや、学園の時点で既に中心部にあったのだけど。

 そこからさらに。

 

 王都の作りとしては、中心に王族が住む城があり。

 その周囲に貴族街。

 外周の方が庶民の街になっている。

 別に区切られてはいないのだが。

 謎に貴族や金持ちが多い。

 多分、内の方が土地高かったりとか色々あるのだろう。

 外は逆に庶民が多く。

 ノームの街にあるような飲み屋なんかも多数。

 俺が飲み歩いてた屋台が並んでいるのもこっちだ。

 そうやって大雑把に棲み分けされている。

 

 ノアに任せはしたが。

 こっちの方か、と少々不安になる自分がいる。

 まぁ、Aランク冒険者だし。

 しかも今は学園の講師だし。

 少し考えれば当然。

 貴族街の方が馴染み深いのだろうからね。

 任せればこっちになるか。

 

 この辺りにあるレストラン……

 俺、金足りるかな?

 あんま高いのは無理って分かってくれていそうな物だが。

 金銭感覚違うからなぁ。

 ノアにとっては高くなかったとして。

 俺にとってもそうとは限らないし。

 

「ここです」

「……」

 

 そんなことを思いつつ、ノアが足を止めた。

 ここが目的地らしい。

 外見からして高級そうなお店だ。

 コース料理とか出てくるタイプ。

 フランス料理的な?

 まぁ、この世界にフランスなんてないし別にフランス料理じゃないんだけど。

 あくまでそれっぽいだけ。

 イメージの話だ。

 ただ、本格的に財布が心配になって来た。

 

「先輩、どうかしました?」

「いや別に」

「お気に召さなければ僕は他のお店でも……」

「外見からして良さそうなお店だなって」

「なら良かったです!」

 

 俺が言えば他の店に変えてくれるとは思うけど。

 流石にね。

 気を使わせるのもアレだし。

 そもそも、ノアがここで大丈夫だって判断したのだ。

 問題はない。

 生まれながらの貴族って訳でもないし。

 今でこそかなり稼いでいるが、成り上がりの部類。

 当然、下積み時代なんかもあった訳で。

 俺の懐事情もなんとなく分かってはいるでしょ。

 

 ……

 

 下積みって言っても、まだ若い。

 どちらかと言えば速攻駆け上がって行ったタイプ。

 俺への評価もなんか過剰気味だし。

 本当に大丈夫か?

 ちょっと心配になって来た。

 

 ま、最悪アレがあるし。

 払えないなんてことにはならないはず。

 ちょっと手間だけど。

 そこはね。

 いくら高いとしても所詮食事だし。

 その程度の量なら。

 あまり面倒な事になる前に終わるでしょ。

 多分。

 

 ミスリルを売って仕舞えばいいのだ。

 結構な金になる。

 食事代ぐらい一瞬だ。

 いや、そんな高級品をなぜ俺が持ってるのかって話だが。

 別に持ってない。

 あ、盗賊から得た臨時収入。

 硬貨の他にアクセサリーの類もあったし。

 その中に含まれてる可能性もあるが。

 余計面倒ごとが増えるのでそれを王都で売る気はない。

 売るとしたら他国だな。

 

 銀、具体的に言えば銀貨だな。

 これを使う。

 半年ほど前だろうか。

 馬車で会った女の子に同じ物をあげた気がする。

 あれと同じ事をするのだ。

 銀に過剰な魔力を流す。

 すると、変質してミスリルになるのだ。

 価値にして数百倍〜千倍。

 ただの銀貨が一瞬にして金貨以上の価格に。

 

 多分、天然物のミスリルも地中で同じ様なことが起きて生成されているのだろう。

 それを再現してるに過ぎない。

 ちなみに実用性は皆無。

 魔力の量を使うのはもちろんだけど。

 圧力が必要だからね。

 前世でも同じような話があった。

 現代じゃ既に錬金が可能になっている訳だが、ほぼ人工的に作られていないのと同じ理由。

 コストが見合わないのだ。

 チート能力がある俺だからこそ可能な方法である。

 

 普段からそれで稼げばいいって?

 そうはいかない。

 いや、不可能ではないんだけど。

 実際稼いでた時期もあるし。

 昔、この方法で結構儲けさせてもらった。

 それこそ学園に通うための学費とか。

 庶民に払えるものじゃない。

 当然、俺の家も払えなかったと思う。

 自力で稼いだのだ。

 この方法を使って。

 俺の幼少期の金策である。

 二度とやらないけどね。

 

 ミスリルが高いのは希少で利用価値があるから高いわけで。

 流通量が増えれば当然目を付けられる。

 それは国からもそうだし、裏社会の連中からも。

 面倒この上なかった。

 殺人童貞を卒業したのもこの時だった気がする。

 しかも纏めて。

 初めてが乱行は中々尖ってるよね。

 いや、人殺しに尖ってるも何も無いと言われればその通りだけど。

 

 色々気を遣えば誤魔化せる可能性はある。

 それこそポーションみたいに。

 でも、だ。

 非常時を除いてあれをやるのはごめん被る。

 単純に面倒くさい。

 仮にそうやって稼いだとして。

 今とやることなんてたいして変わらんし。

 飲んだくれるだけ。

 なら、薬草採取で十分。

 仕事なんて最低限でいいのだ。

 自分で仕事を増やして、自由な時間を減らして。

 どうするのかって話。

 

 いや、仕事が好きなら止めはしないが。

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