ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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王都 15

 前座もそこそこに。

 コースのメイン料理が運ばれて来た。

 

 おそらくはチャーシューとか。

 角煮とか。

 その類の料理なのだろう。

 見るからにじっくり煮込まれていそうなお肉だ。

 かなりの迫力。

 しかも、結構しっかり量がある。

 

 正直、ちょっと意外だ。

 いやね。

 コース料理のお肉だと50gとかそんなんが殆どのイメージ。

 100gあったら多い方な気がする。

 それが、俺の目の前には200はありそうな塊肉。

 前世のいわゆるコース料理と比べて。

 多少品数が少なめだったからってのもあるのだろうけど。

 それにしたって。

 食べ応え抜群である。

 

 あ、後お肉と一緒にパンも運ばれて来た。

 見るからに濃いめの味付けだし。

 おそらく一緒に食えという事なのだろう。

 この量の肉にさらに炭水化物……

 結構、満腹になれそうだな。

 いい店だ。

 コース料理とか腹一杯には食えない固定観念があったから。

 それで敬遠してた節もある。

 この店は客の腹を満たそうって気概が見えて。

 その姿勢は俺的に好ましく思える。

 

 にしても、この肉だが。

 お品書きによると飛竜のお肉らしい。

 初体験ではあるし。

 楽しみでもあるんだけど。

 それ以前にだ。

 俺、さっき乗って来たんだが。

 そこら辺どうなの?

 てなことを思わんでもない。

 

 この店を選んだのはノアな訳で。

 ドラゴン便なんて手段を使って俺を王都まで呼んだのもノア。

 知ってたのかどうか。

 まぁ、コース料理出すような店だからね。

 おまかせ的な所も多いのだろう。

 でも、飛竜なんてどこでも食べれる物じゃないからな。

 店の売りだったりする可能性もなきにしもあらず。

 ちょうど、五分五分ぐらいだな。

 

 ま、どちらにしろ気にしなかった説濃厚か。

 こんなことを言いつつ。

 実は俺も平気だったり。

 水族館楽しんだ後、何も気にせず海鮮丼を食えるタイプだし。

 むしろ美味さが増すまである。

 なんなら、競馬で勝って。

 その金で焼肉行ってサクラユッケを3皿と豪遊した事もある。

 ノアもそういう人間なのだろう。

 冒険者だしな。

 俺は薬草採取しかやってないが。

 上に行くには討伐系の任務は必須なのだから。

 すでに慣れきっているのかもしれない。

 

 それにしたって。

 わざとなら多少サイコ味感じるけどな。

 ほら、以前受付嬢がノアをサイコパス呼ばわりしてたから。

 どうしてもそのイメージが。

 後、嬢と共謀して俺のこと嵌めてくれたし。

 その素質はあるんじゃないかと。

 

 まぁ、んな事はどうでもいいのだ。

 思考がそれてしまった。

 今集中すべきは目の前の肉料理。

 それ以外には何も必要ない。

 

 漂ってくる香りからして、すでに食欲を刺激してくる。

 ナイフがスッと入った。

 本当に柔らかい。

 でも、崩れてしまうほどボロボロにはなっていない。

 しっかりと切れる程度には形を保ってくれている。

 そのまま一口。

 味としては旨味が強い赤身肉と言ったところか。

 霜降りとか、そっち系の味ではない。

 これが飛竜か……

 まぁ、当然部位によるのかもしれないが。

 見た目から想像するよりもずっと繊細で柔らかい肉質。

 

 今日乗せてもらったが、あれだけ長時間空を飛べるのだ。

 別に羽で飛んでる訳ではなく。

 どちらかといえば、魔法がメインな訳だが。

 それでもバランスを取るために体幹は強力だろうし。

 瞬発力よりは持続力のイメージ。

 それもあってだろうな。

 豚肉とか、牛肉とか。

 そういう分かりやすい物と比べて。

 どちらかと言えば脂少なめの淡白な味合いが強めなのは。

 

 多分、ドラゴンとかは霜降り強めの系統なのだろう。

 食べた事ないし。

 完全に勘でしかないのだけど。

 ほら、縄張りからあんまり動かないイメージあるし。

 脂肪を溜め込んでそう。

 山の上とか、ダンジョンの奥とか。

 そういう分かりやすい秘境に陣取ってる感じ。

 ま、見たこともないんだけどね。

 物語で読んだだけ。

 ただの想像なので実際のところは本当に何も知らない。

 

 にしても、飛竜がこうやって店で出てくるのはすごいなと。

 ドラゴンほどじゃないにしてもだ。

 そう簡単に狩れる魔物でもないのは確か。

 王都には飛竜を狩れる冒険者がいて。

 それを買える人間がいる。

 だからこれが商売として成り立っているのだろう。

 港町なんかじゃ。

 水竜はただの脅威、厄介者でしかなかったし。

 味は結構いけたんだけどね。

 街としての力の差とでも言うのか、それをひしひしと感じた。

 

 腹もそこそこ満たされ、最後にデザート。

 果物だ。

 メロン的な何か。

 まぁ、メロンと比べると少し酸味が強めか。

 品種改良もそこまで進んでないだろうしな。

 前世のが甘すぎるのだ。

 でも、これもこれで悪くない。

 あっさりしてて。

 口の中もさっぱりするからね。

 コースの締めとしては適してた気がする。

 

 ただ、どこかで食べた覚えあるんだよな。

 何だっけ?

 メロンどうこうではなくて。

 いや、味としては熟し切ってないメロンとかそんな感じなんだけど。

 もっと分かりやすいのが。

 ……あぁ、これほぼイチジクだわ。

 

 総じて、かなり満足のいく内容だった。

 特に飛竜なんて初体験だったし。

 味としても良かった。

 こういう店じゃなければ。

 それこそ自分で狩りでもしないと、食べる機会なかったのだろうな。

 王都にいた頃。

 まだ学園に通っていた時の話。

 幼かったのもあったが、この手の店に全く足を運ばなかった。

 幼いと言っても見た目だけ。

 実際は前世も合わせてアラフィフのおっさん。

 こんな面白いものがあったのかと。

 ちょっと後悔。

 普通に、食べに来てればよかった。

 

 まぁ、ノアとの兼ね合いもあって。

 これから王都にもちょくちょく来ることになるだろうし。

 謎に避ける意味もない。

 貴族街のお店も少しずつ開拓していっても面白いかもな。

 あくまで値段次第ではあるが。

 多少ぐらいなら、ね。

 食のためだ。

 面倒事もやむなしと思っている自分もいる。

 

 ミスリルとかも……

 いや、あくまで臨時でならの話だけど。




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