ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

80 / 267
生徒 7

 おっちゃんと駄弁りつつ。

 屋台を飲み歩き。

 何だかんだ、あっという間に時間も潰れた。

 そろそろ学園の方行きますか。

 

 考えてみれば、やってること昨日と全く同じだな。

 昼間っから飲み歩いて。

 午後にちょっとだけ入った予定をこなす。

 良いご身分だ。

 我ながらそう思う。

 まぁ、別に昨日に限った事でもないが。

 午前と午後の差こそあれ、普段からこんな感じな気がしないでもない。

 ノームの街で冒険者やってる時も。

 ちょっとだけ薬草採取して。

 そこからギルドの片隅で飲んだくれてる訳だし。

 歩いてる分、健康的まであるかもしれない。

 

 ……ただ、今更ではあるが。

 酒入った状態で学園の近く行くの、これ大丈夫なのだろうか?

 本当に今更。

 心配するなら初めから飲むなって話だけど。

 今思い至ったのだから仕方がない。

 

 既に昨日やってはいるが。

 周りから向けられた不審者を見る様な視線、それを思い出した。

 別に視線を向けられる事自体は構わないのだけど。

 初日は見逃された。

 でも、2日連続で学園の近くを彷徨くのは危ない様な。

 今度こそ通報されてもおかしくないのでは?

 いや、一応昨日もノアの関係者だってアピールはしたけど。

 結構長い間付近にいたからね。

 それ知らない人も多いだろうし。

 

 あそこでノアの事待つのは辞めた方がいいかもな。

 じゃあどうするのかって話だけど。

 仕方ない、魔眼使うか。

 今回は普段使ってるような大雑把な魔力感知ではなく。

 もっと精密に。

 直接、ノアの魔力でも探そうかと。

 魔力ってのは、持ってる生物によって特徴が出る物なのだ。

 姿を見なくともなんとなくの種類の特定が可能。

 結構便利な便利機能である。

 普段使わないのは、その差を覚えるのが面倒で。

 違うのは分かっても。

 名前が表示されてくれたりはしないからね。

 大雑把なことしか分からず、正直あまり役に立っていない。

 別種を比較してもそれなのだ。

 個人での差なんて当然種族差に比べてもかなり少ない。

 意味ないじゃんって話なのだが。

 何だかんだ一緒にいる時間もそれなりに長かったからね。

 肌まで重ねた仲だし。

 ノアの魔力は自然と覚えてしまった。

 

 えっと、今は何処にいるのかなと。

 そろそろ学園の授業自体は終わってるはずだけど。

 講師だからなぁ。

 生徒の下校と共に退社とはいかないだろうし。

 って、あれ?

 もう学園の外に出てるっぽいな。

 

 俺の事待ってる感じか?

 やっべ。

 いや、特に時間指定とかしてないしそう焦ることはないのだけど。

 ベットでゴロゴロして。

 その上屋台で飲み歩いての遅刻である。

 自分でもどうかと思う。

 外にいるならまぁ。

 捕まる前にノアが助けてくれるだろうし、さっさと行くか。

 

 見えてきた、学園の門のすぐ横。

 待ち合わせ場所とか決めてなかったからね。

 分かりやすい場所にいてくれたのだろう。

 

「よう、待ったか?」

「あ、先輩!」

「もう少し早めに来るべきだったな」

「いえ、全然待ってないですよ」

 

 ノアはこう言ってくれているが。

 どうだか。

 本当の所は不明だ。

 仮に数時間待たせたとしても。

 平気な顔して、待ってないっていいそうだしね。

 あまり参考にはならない。

 

 まぁ、いいや。

 過ぎた事だ。

 ノアの方も全く気にしてなさそうだし。

 これから気をつけるってことで。

 

 ……ノアと一緒にいるとますますクズになって行く気が。

 

「ノア先生! 私に話って」

 

 横から声が聞こえた。

 その方向を向くと、例のメスガキ。

 走ってきた。

 あ、なるほどね。

 

 俺じゃなくてあいつを待ってたのか。

 なら、本当にノアの事は待たせてなかったんだな。

 良かった。

 そもそも授業が終わるぐらいの時間帯ではあるしね。

 そこまで適当ではない。

 焦った理由?

 いや、俺が学園いたのって20年以上前だし。

 変わってる説もあるかなって。

 後、参考にした記憶が曖昧だったからってのも一つ。

 まぁ、もう過ぎたことだ。

 遅刻はしていなかった。

 この事実が重要なのだ。

 つまり俺はまだクズではない、QED。

 

 メスガキは満面の笑み。

 なんて言って呼び出したのかは知らないが。

 ウキウキだったんだろうな。

 憧れの先生との個人授業。

 何かを期待しないほうがおかしい。

 そんなシチュエーションだ。

 

「……げ、なんであんたが」

 

 ノアの事しか目に入ってなかったのか。

 近づくまで俺に気づかなかったらしい。

 

 なんか、ごめん。

 いや、これ俺は悪くないよな?

 期待させたノアが悪い。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。