ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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生徒 9

「と言う訳で、先輩お願いします」

 

 ……いや、お願いしますて。

 

 一通りメスガキに事情を説明し、ノアは学園の方に帰って行った。

 講師だからね。

 学園祭も近い。

 他の生徒を見たりとか、用事もあるのだろう。

 それは理解出来る。

 だからってこれはどうなん?

 涙目の少女と俺。

 2人残されてしまった。

 この状況、対応に困るってのはもちろんなのだが。

 それ以上に絵面的に通報不可避でしかない。

 

「まぁ、ノアはああ言ってたけどあんま気にする事ないって」

 

 一応、声をかける。

 が、ぷいっと。

 そっぽをむかれてしまった。

 なぐさめてやろうかと思ったのに。

 おっさんの気遣いなど不要。

 そういう事らしい。

 

 やっぱりこいつはメスガキだな。

 可愛げがないわ。

 

 さて、どうしたものか。

 いや魔法を見るのは良いんだけどさ。

 約束したし。

 でも、そんな雰囲気じゃないのだが?

 ノアも面倒な事を……

 

「それで、どうするんですか?」

「……え?」

 

 俺が悩んでいると。

 メスガキの方からそんな言葉が。

 明か睨まれてる。

 しかも涙目。

 そんな状態ではありつつ。

 でも、一応やるつもりはあるらしい。

 ノアの言いつけには従うと。

 

 素直というか。

 健気というか。

 

「とりあえず、魔法使える場所行こうか」

 

 ここにいるのはね。

 よろしくない。

 もちろん、街中で魔法なんて使えないのは前提ではあるが。

 それ以上に。

 ノアいなくなっちゃったから、周りの視線が痛いのだ。

 逮捕エンドはごめんである。

 

 でも、特に行くあても無いんだよなぁ。

 壁の外に出てもいいけど。

 学園って結構王都の内側の方にあるからね。

 ちょっと遠い。

 事前に分かってたんだから用意しておけという話ではある。

 まぁ、そこは俺だからね。

 事前準備しっかり出来る人間がこんな生活になる訳も無く。

 さもありなん。

 

 近くにそういう都合良さげな……

 あ、あそこ使うか。

 俺が昔、学生時代に使っていた場所。

 

「そっちに競技場なんて」

「良いから」

 

 ちなみに、学園の施設を借りる選択肢は無い。

 いや、生徒もいるしノアに話通してもらえれば使えるのかもしれないけど。

 許可取りとか面倒だし。

 それは俺が学生やってた頃も同じ。

 手間が掛かる事は嫌いなのだ。

 だから、自主練するための隠し場所を作った。

 

 学園から少し歩いた所。

 どちらかといえば庶民街寄りの場所だろうか。

 と言っても、あれからかなり時間も経った。

 記憶もあやふや。

 確か……井戸の近くに。

 あった、これが目印だ。

 

 良かった残ってた。

 王都の街並み結構変わってたからね。

 再開発されてた可能性。

 それも全然あった

 

「なんですか? ここ」

「魔法の成績悪いって話だけど。魔力操作はできるよね?」

「バカにしないでください!」

「良かった。なら手を当てて」

「こうですか?」

 

 口では文句を言いつつも。

 素直に従ってくれる。

 

「魔力を少しだけ出すイメージ」

「……」

「それは出し過ぎ」

「は?」

「今度はちょっと絞りすぎかな」

 

 魔力が安定してないな。

 出力は結構大きそうなのに。

 成績不振の原因。

 もしかして、これか?

 

 俺が想像してたのと少し違いそう。

 才能がない訳じゃないのか?

 いや、センスは壊滅的だと思うけど。

 生まれ持ったものじゃない可能性。

 

 面白いな。

 

「ノアから話は聞いてたけど。こりゃ重症だな」

「うっさい!」

「口だけは一丁前と」

「……大体、私に何をさせたいんです?」

「何が?」

「まさか、こんなのが魔法の練習だとか言い出したりとか。そんな事はしないですよね?」

「お、ピッタリ」

「ちゃんと答えてください! って……え??」

 

 さっきまで、住宅地の井戸にいたのだが。

 一瞬で周囲が真っ暗に。

 メスガキが困惑したような声を上げる。

 

 流石に昔かけた魔法は切れてたか。

 光魔法。

 それを改めて展開する。

 なんて事ない、光球を浮かせるだけの魔法だ。

 

 簡易的なもの。

 多分学園の生徒なら誰でも使えるレベル。

 ただ、チート持ちだからね。

 俺が使うと蛍光灯の寿命ぐらいには持つ。

 込める魔力次第で前後するけど。

 大体それぐらい。

 

「ここは……」

 

 空間が光に照らされる。

 四方八方を金属に囲まれた場所だ。

 

「昔、魔術師崩れが作った練習場らしい」

「こんな場所あったなんて」

「学園だけが魔法を学ぶば場所じゃないからね」

「でも、地下って後ろ暗いことがあったんじゃ」

「さあ?」

「さあって……」

「関係ないでしょ? 有効活用できるなら」

 

 ちなみに、この話は出鱈目だ。

 俺が適当に地下に転移して、そこから空間を広げただけ。

 だからさっきのもただのお遊び。

 魔力の出力がどうとか。

 意味はない。

 そんな誰でも入れるようにする必要がないし。

 

 こんな無駄なことをやった理由?

 単純に、余計なこと詮索されたく無かったからね。

 それっぽいことやれば信じるでしょ。

 特にこれぐらいの年齢の子供は。

 それだけだ。

 

 ここへの移動は転移、それ以外の方法は当然存在しない。

 いや、地面掘れば出てくるけど。

 結構地下深くだからね。

 多分無理だと思う。

 それなら学園から飛んでこれたじゃんって話なのだが。

 作ったのは学園に入学して直ぐ。

 つまり、この世界の常識が足りなかった頃だ。

 転移魔法も、俺だけが使えるほぼ伝説級の魔法だなんて知らなかったし。 

 不法侵入防止のため。

 結界を張ってあるのだ。

 あの井戸以外からだと俺も転移できない様に。

 今となっては過剰だったと思うが。

 まぁ、そう作ってしまったのだから仕方がない。

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