学祭
時は流れ、学園祭当日。
心地よい日差しで目が覚めた。
ベッドの上。
もう見慣れた天井だ。
なんだかんだ1週間以上ここにいるからね。
そりゃ慣れもする。
ノアは学園祭の準備で忙しいらしく。
同じ王都にいながら最近はあまり会っていない。
色々と頑張っている様子。
まぁ、学生のレベルでも結構大変だからな。
俺はすぐ辞めちゃったから。
こっちの世界での学園祭の経験はないが。
前世の記憶として。
積極的な生徒ではなかったがそれでも面倒だった。
そんな記憶がある。
そして、貴族やら商人の子息やらばかりの学園。
前世よりよほど盛大だろうし。
学校側となればそりゃそうなるか。
普段の業務に加えてこれだもんな。
ほんと、お疲れ様としか言いようがない。
やりがいの大きい。
そんな仕事ではあるのだろうが。
いかんせん。
業務の内容が多岐に渡る。
逆に言えばそれだけ責任の強い仕事だし。
とことん俺には向かない仕事だ。
ノアの話安請け合いしなくて良かった。
心の底からそう思う。
しかし、なんだかんだあっという間だったな。
突然受付嬢から手紙渡された時は何事かと思ったが。
学園祭へのお誘い。
そっから飛竜なんて贅沢な移動手段使って。
二十数年ぶりの王都。
ノアと再会し、レストランで食事なんて慣れない事したり。
そこで相談受けて。
勢いで生徒に魔法教えるなんて不慣れなことしたり。
……あれ?
思い出が王都来てすぐに集中してる様な気が。
まぁ、学園祭近づくにつれ。
ノアがどんどん忙しくなってったからね。
暇な時間はずっと飲み歩いてたし。
そりゃそうなるか。
屋台の店主にもかなり訝しげな視線を送られてた気がする。
色々あったけど。
今日のトーナメント終わったら帰るんだもんな。
ちょっと名残惜しさすら感じる。
ずっと避けてきた訳だが。
国の首都だからね。
様々なものが集まるし、人も多いし。
もったいなかったな。
ま、これからは毎年来ることになるだろうし。
取り返していこう。
あ、ちなみに。
メスガキとはあれっきり会っていない。
いやね、もう教える様なこともないし。
俺は教師ではないのだ。
たまたま1日だけ教えただけで。
そもそも経験ないし。
魔法も全部感覚だからね。
あれ以上、細かいことは教えられない。
壁は乗り越えたのだから。
後は自力で頑張ってもらうって事で。
そこサポートするのは。
ノアとか学園の先生方にお任せである。
別に怖いわけじゃないよ?
刺されそうとか。
そんなこと、全然思ってない。
伸びをして、ベッドから起き上がる。
外出るか。
まだ学園祭行くには早いと思うんだが。
何となく。
普段なら時間が許す限り。
ただゴロゴロしているのだけど。
実は、テンションが上がっているのかもしれない。
遠足前の小学生じゃないんだからって話だが。
やはり幾つになっても。
イベントごとが控えてると思うとそうなってしまう物だ。
宿を出て、大通りの方へ。
王都の道並みも慣れた物だ。
流石に広いから。
全体はまだまだだけど。
宿の周辺。
それと学園への道のり。
後は屋台が並ぶ庶民街の通り。
ここらは完璧である。
見慣れたからこそ気がついたのだが。
普段より、多少街が活気付いてる様な気がする。
人通りはいつも多いのだけど。
本当に何となく。
学園のお祭りで王都自体は関係ないんだけど。
大きめのイベントではあるからか。
その影響なのだろう。
セキュリティーの関係で関係者以外中には入れないが。
庶民向けの催しとか学園の周りでやるっぽいし。
ただ、そっちよりも影響ありそうな物が。
貴族というより。
多分、大きめの商人の子供が入学してる影響かな。
どこの世界にも親バカはいる訳で。
大なり小なり馬鹿げたことをやらかすのだが。
金持ちになると。
そのやらかしの規模が大きくなる。
学園祭を記念してなのだろう。
デカデカと割引の文字を掲げた横断幕が。
横断幕だ。
屋台が何軒か掲げてるとかそんなレベルではない。
通りにかかってる。
多分、元締めのとこの子供なんだろうな。
朝の時点でこれだが。
ここからさらに。
活躍したらプラスで値引きがあるらしい。
トーナメントとかで勝ち上がったらって事だろう。
そりゃ、活気付く訳だ。
正直商人の子供が好成績を残す可能性は低い。
貴族とは違う。
血でのアドバンテージもないだろうから。
相当な古い商人でもない限り。
でも、ここの屋台にはお世話になってるからね。
俺も応援したくなって来た。