レースローテにはあんまり影響ないですし。ただ、岡崎くんのネットリ具合を見る数が増えるかもなだけですよええ。
『桜が満開のこの季節。いよいよ皆さんが待ち望んだGⅠレース。次世代を担う乙女たちの晴れ舞台となったここ阪神競馬場。今日も満員御礼。小春日和ですがまるで真夏日のような熱気を感じるほどです』
やってきました桜花賞。いやー無事に優先権取れてよかった。そして、涼しいのも相まってレースにもちょうどいいコンディション。阪神JFでの敗北から数ヶ月過ぎて再び挑むGⅠはまたもや一生に一度しか挑めないレースか。頑張ろう。・・・しょうがないとはいえ、わたしたち若駒ホント生涯一度しか挑めないレース多いわー。
そして、私マイルレース三連続挑戦かつ阪神ばっか走っているなー。なんかもうコースの感覚も覚えちゃっているし。
『そしてここに来た優駿たちの中でも注目はトウカイローマン、ダイアナソロン、そしてサンダーレディの三頭。未だ一敗しかしておらずただいま脂が乗っている岡崎騎手が導く雷鳴少女。昨年の阪神JFを逃し、ここで同じマイルレースのGⅠでリベンジなるかと注目が集まります』
「今度こそ。だね。昨年の冬とは違うと見せつけていこうじゃないか」
『もちろん。今度こそGⅠを取ってやるのよ』
『シンボリの最高傑作と名高いシンボリルドルフと、シンザンの血を引く雷鳴。同期のエース二頭をクラシックでも大成を成せるのか。福崎洋造騎手の後継者となるかも注目が集まっています』
あー・・・福崎洋二騎手のパッパ。難病で騎手引退しちゃったものね。落馬はしないで良かったけど。確かー・・・ハザマ先生なるお医者さんに治療してもらったけど厩務員とか体力のいる馬の仕事は無理だから競馬学校の教官や用務員みたいな形で過ごすんだっけ。
とりあえず、お給料は下がるけど競馬関係者の過ごせる宿舎で過ごせて、貯蓄もあるから息子さんが騎手になったあとも問題なさそうで何より。
そして岡崎くんはさすが、あの大天才の後釜となるかと言われるほど。いやーそんな騎手が私の主戦なの本当にありがたいなあ。恵まれているよ。
『今日の馬場は良。天気は晴れ。前日に雨もなく、快速レースとなるでしょう。短いマイルの中で如何にレースを運ぶか。田所騎手とダイアナソロンも注目です』
あ、未来で怪文書書いている人。しかし、背も高いなあ。あの背丈で騎手の重量維持は本当に大変だろうに・・・サンエイサンキューの事件がなくても、食生活のせいで骨密度とか大丈夫だったのかなあ。いやほんと。
まあ、勝負となれば負けるつもりはない。将来安泰のために、いざゲートに鎌倉。
『さあ、全頭がゲートインしました・・・・・・・スタートです! 最初に飛び出てきたのはオオトリローン、メイショウグリン、トウカイローマンが良いスタート。サンダーレディは今日はスタート失敗で最後尾。
会場から笑いが飛び出つつ、21頭の大レース。ウラカワミユキ、キョウワサンダーも馬群から抜け出そうと前に出ます。第二コーナーからスタンド正面に移動して第三コーナーを狙う中、グイグイ伸びていくぞサンダーレディ。
周りの馬も驚いていますがこれが彼女の戦法まくり逃げ。さあレースが混沌としてまいりました』
え? 早くね?
「あー・・・他の路線からきたり、最初レディとは一勝クラスでじっくりやっていた分、このレース運びに慣れていないんだろうね」
そっかーまあ、マイルレースとはいえ追い込みや差しどころか最後尾からギア上げてくるって今までいなかっただろうしね。逃げ馬はスタートダッシュうまいし。カブラヤオーとかダスカとか。
まあいいや。何にせよ知った顔も多いけど、21頭のこの大勢でのレース。私の引っ掻き回しでうまい具合にメチャクチャなペースになって対応できる子達も周りに引きずられてノリを出せないようにしちゃえばOK!
『ダイナシガー、ドミナスローズ、メイショウランサ、メイショウグリンも前に出ようとしますが膨らんで横に広がる。その壁のような状態もスタコラサッサと抜け出してすでに前にいるぞサンダーレディと岡崎騎手。
ダイアナソロン、ウラカワミユキ、トウカイローマンは先頭集団を維持していますがそこにも食らいつくのサンダーレディ。私の前に立とうがすぐに追い抜くと言わんばかりの俊足であっという間に第三コーナーから第四コーナーの中間で先頭を捉えた、そして抜きました!
さあ先頭集団も動けば後方も動く。ファイアダンサー、タケトリヒメ、ガルボンナーラ、テンマガール、エトワールタンポポも前に出ていこうと中盤の先頭争いが熾烈。前も後ろも前に出るんだとかかっている馬に揉まれてしまい気落ちする馬もでてきております。
混沌を極めているぞマイルレース。しかしその中で我関せずはサンダーレディ、そして先頭集団のダイアナソロン。トウカイローマン、ウラカワミユキたち。残り600を切っているぞ。もう第四コーナーももうすぐだ』
よーしよし。ダイアナソロンは逃げ馬っぽいし、もっと引っ掻き回して行きつつ残りの脚を出せるようにすればいける・・・はず! 岡崎くん。行こ!
「よし・・・ここだよレディ!」
ぱちんとムチが入っていざギアを最高のものに。行くぞGⅠ! 目指せ大金ゲットと安泰生活への切符よー!
『400の標識を通過して前に出ているのはサンダーレディ! リードを保ったまま抜け出してダイアナソロンたちを引き剥がす! リードは2馬身3馬身! いやいやもっと伸びていく。まだまだ足を残していたのか伸びることが止まらない!』
いやっほーいやー冬の間は鍛えた甲斐がある。体重は増えたけどこれが成長分ってことだよね。コーナリングも最後の直線もいい感じ。
『ダイアナソロン、ウラカワミユキ、トウカイローマン、キョウワサンダー突っ込むがまるで追いつかない! これはもう決まった! 7馬身の差は縮まらない! サンダーレディ! サンダーレディが一着! タイムは1分35秒4 見事な快速を持っての大勝利でございます!』
・・・・・・・・・いよっしゃああ!!! やっとGⅠとったどー!! いやー・・・歴史あるGⅠレースでの勝利。これはいいことでしょ!
私の血、今内国馬だとかなり多いシンザンと、血統価値不詳のサラ系とはいえ、これは今後にいい影響を出せるはず。はぁ~・・・いやー・・・よかった・・・とりあえずこの競走馬世界での生き残りにも一歩進めた・・・
あー・・・でも疲れたし、今は少しゆっくりしよ。ウイニングランと口取り式まではしないといけないけど、力抜いていいよね?
~岡崎くん心の日記~
遂にサンダーレディにGⅠという栄冠が届いた。そしてそのレースは桜花賞。素晴らしい。尾花栗毛の美しい金髪のたてがみに桜色の薄いピンクの冠。そして優勝レイ。すべてが彼女に似合う。
滝のような汗を流しつつもやったねと言わんばかりに嬉しそうな顔をするレディに僕はどきりとした。ドクンドクンと力強く打つ心臓の音、汗にまみれて勝利を手にした可憐な乙女の笑顔に僕は胸を打たれた。太もも越しに伝わるレディの心音と僕の心音はいつしか一緒になって人馬一体を感じつつファンのみなさんに応えて手を振る。
口取り式でも穏やかにオーナーと先生、僕にも優しく接する金髪美少女はまさしく海外の映画のヒロインのよう。ああ、ありがとうレディ。僕に歴史あるGⅠの栄誉をくれて。これからもどんどんいろんなレースに一緒に挑戦しよう。一緒にGⅠの世界を味わいに行こう。
桜の女王になった君ならきっとこれからも大丈夫だから。
「やったああ~~!! サンダーレディと岡崎くんが無事にGⅠを勝利しましたぞ! こんなことしている場合じゃねえ! 急いでご褒美を買いに行かないと!」
厩舎のテレビで生中継を見ていた僕は待ち望んでいた勝利の瞬間に思わず声を上げてガッツポーズをしてしまっていた。届いたのだ。私が調教助手、厩務員補助として担当していたサンダーレディちゃんが桜花賞を取った。悲願のGⅠを手にした。
もう頭が爆発したような衝撃とその爆発といっしょに広がる幸福感の津波に押されるまま僕は急いでシャツとスーツを用意して高級デパート、百貨店へと足を運んだ。レディのために素晴らしいご褒美を買わないといけない。
「すいません! このお店で一番お高いフルーツと美味しいフルーツを店員さんのおすすめで!」
そして僕はデパートで一番いいものを、とにかく普段食べられないような高級なものを食べさせてあげようとよく物を見ないでプレゼントを選んでいた。お金に関しては基本趣味が読書くらいだし、何よりサンダーレディちゃんがずっとレースで勝ちまくっていたのでその賞金の一部を手当としてもらっていたから懐は問題なかった。
「あ、すいません。ここで一番いい煮干しと乾物をください!」
後は体に良いモノを。実は最近の飼料の研究で煮干しや乾燥甘納豆などもお馬さんの体に良いということでこれも買っておく。なにせ桜花賞では終わらない。次はオークス、そして秋華賞、エリザベス女王杯と続いていく。
そのためにも頑張ればご褒美があるよと普段からお世話になっている僕もお礼をしたいとGⅠを取った日のために用意していたお金を惜しみなく使った。
「で、買ってきたものがこれかあ。くっせえ! ドリアンにくさやって流石に食べさせられないわ! うーおすごい匂いだ・・・!」
「ご、ごめんなさい。ついつい興奮しちゃって・・・あ、ちゃんとみかんとリンゴ、ぶどうも用意しましたよ」
「あ、それならオッケー。でも、流石にこれはお馬さんたちには無理だなあ」
『ぐふぇあ。おいゴラァ平野ぉ! てめえ何持ってきてやがんだうわくっせえ!』
『がふぉー・・・・!! こ、これがフルーツの王様とくさや・・・初体験だけどこのニオイは初体験したくなかった・・・!!』
平野くんが私達にご褒美で買ってきてくれた台車1台分のお土産の中でも凄まじい悪臭を放つドリアンとくさやには流石に私もエースも悶絶。気持ちはすごく嬉しいんだけどね・・・馬の嗅覚にはいやーきついっす。
あと、確か馬、犬、猫にはドリアンって駄目だったんじゃ? 本当に興奮してついつい見境なく買っちゃったんだろうなあ平野くん。あまりのニオイに普段のほほんとしている温和な土御門先生も声を出すほどにニオイで悶絶していたし。
「と、とりあえずドリアンとくさやはこっちで管理しておきますんで、後で皆で食べましょう。くさやは酒のつまみにはいい調理法があるって聞いていますし。うわくっせ」
たしか、ドリアンはちょっち焦がしてからぐちゃぐちゃにしてヨーグルトとかと混ぜて食べるとニオイがマシなんだっけ? 知らんけど。まーせっかくの高級フルーツだし、皆で味わって。くさやは・・・食べられても私はいいかな?
「ま、まあ他にもフルーツはたくさん用意したからね。エースには最高のバナナ。そして今日の主役のレディちゃんには初めてのみかん! これ一つで1000円もしたんだよー」
『ほえー・・・え・・・この一玉で1000円! うわー・・・高級だぁ・・・いやーうれすぃ。こんなのが食べられるなんて。GⅠ勝った甲斐がますますあるってものよ』
きれいにみかんの皮を剥いて、筋と種を取ってくれた後に出されるきれいなみかんをパクリ。・・・・・・・・
『ぶるぁあああぁあぁあああああぁっっっ!!!!!』
うま、ウマすぎるぅうう!! こ、これがみかん。ウマの舌で味わうみかん! はぁああ・・・まさしく極上の味だぁ・・・
「お^~っほほっほっほ。いやーレディちゃん大喜びのようですぞ。いやーこれはよかった。実は副賞でもみかんとお菓子がたくさんあるから、しばらくはみかんも食べ放題ですぞー」
え。まじで? やったー! いつかみかんジュースも飲みたいなー。
「あ、そういえば牧場の方からも高級味噌の差し入れがあったな。今度レディたちの分のにんにく味噌も用意するか。これから暑くなるし、塩分補給と栄養補給のためにも」
「先生。味噌を肴にまた酒を飲み過ぎはダメですよ?」
「だだ、大丈夫だ」
あ、これ多分怒られているな。まー味噌を直に舐めつつ酒とか、どっかの軍神みたいにトイレで死にかねないしね。心配だよね~。あーみかんうまい~
「ふぅいー・・・やー・・・レディ。わたしたちに初GⅠをトラせてくれてありがと・・・ふへへへ・・・エースでも、きっととるぉあお・・・」
『ダレカタスケテー~・・・』
あれから、一度近所の銭湯でひとっ風呂浴びてきた土御門先生。私に感謝をしたりナデナデしたり、皆とふれあいつつ厩舎で酒盛りをし始めて、酔いつぶれて私の側で眠り始めた。
いやー私ボロはちゃんと一箇所、かどっこでしているから先生の顔が糞まみれにならないでいいけど、いいの? 関西とはいえ、まだ肌寒い日もある春なのに。
しょうがないので側でたまに座って私の体温で温めたり、寝藁をお腹に敷いたりとかで対処してどうにかこうにか仮眠を取りつつ朝。
「先生。おはようござ・・・・やべー! 先生がレディに蹴られたー!!」
『え? え? え? いやいやいや! 違う違う! そうじゃない!』
やってきた厩務員くんが焦って救急車に連絡しようと黒電話を探したりする中平野くんも様子を見て。
「あー・・・これ酔いつぶれているだけですな。レディちゃんは人を蹴るような子じゃないですし。とりあえず、救急車はナシで病院にはつれていきましょう。一応・・・ごめんね~レディちゃん。先生嬉しかったのは僕らもわかるから」
まーしょうがないよー。新進気鋭の厩舎で初GⅠだもんね。私もすごく嬉しかったし、あの美味しいみかんのこともあるから許す。とりあえず、二日酔いの薬とウコン茶と、ポカリでも買ってきてね。
サンダーレディの声のイメージがロック解放されました。
CV:能登麻美子 様 若本規夫 様 をイメージとしております。前田家のウマ娘は二つの声帯を持つやつが多い?
ケイジの声のイメージも合わさるとFGOでの果心居士とスカディが会話しているか洋画の吹き替えメンツになるというカオス具合。
戦績 9戦 8勝 1敗 獲得賞金 3億2920万円