~2月3週 サウジアラビア・キングアブドルアジズ競馬場~
『早い早い! サンダーレディ最初の出遅れは何だったのか! 雷鳴の足には出遅れさえも意味がないのか! 電光石火! 一閃撫できっての一着です!』
『やったー! 大勝利~! そういえば、賞金っていくらだっけ?』
「ハメハメハメ!! 日本の牝馬は強いですなあ! いやー我が国にもいい刺激になる! 今度はそっちのジャパンカップに乗り込みますぞぉ~」
『いやーどうもどうも。あ。その際は良ければ日本のお寿司とおそば食べてね。そちらの国の宗教でも大丈夫のはずよね?』
サンダーレディ サウジカップ(GⅠ) 一着勝利
~3月1週 香港 シャティン競馬場~
『なんてことでしょう!! 日本の血統が、血統がわからないサラ系がゴール・・・・!! 日本の伏兵が、勝ってしまいました!』
『ひどいなあ~・・・一応、シンザンの血を引いているのよ私?』
「ふふふ・・・貴族の皆さんの顔の悶絶具合・・・ああー・・・たまりませんね♡ 若い騎手の信じる愛馬に応えきれない、馬主の自信が打ち砕かれる。香港を自分の自慢、遊び場に捉えている貴族たちの悶絶顔・・・芸術よぉ・・・!!」
「よしよしよぉーし!! 海外GⅠ2つ目! スピードシンボリでも成し遂げられなかった快挙だぞ!!」
サンダーレディ 香港ゴールドカップ(GⅠ) 一着勝利
~3月4週 アラブ首長国連邦 メイダン競馬場~
『一着勝利は我が国のシャーイ! シャーイ一着です! 見事海外の並み居る猛者たちを切り捨てての一着勝利! 二着は・・・』
『さ、3着かあ~・・・でも、どうにか掲示板入り。賞金も大きいはずだし、どうにかなるかなあ・・・?』
「ほほう・・・サラ系ではあるが我が父親の生み出したヒンドスタンの血筋の子どもがここまで・・・・・ぬははは! 面白い物を見せてもらった!」
サンダーレディ ドバイワールドカップ(GⅠ) 3着
『雷鳴乙女、海外でも大暴れ! 皇帝のライバルは彼女だけだ! 日本初、内国産馬による海外GⅠ2つも連続制覇!』
「先生! ちょっとマスコミが多すぎて大変です!」
「うーむ・・・警察の方にも対処をしているがそのせいで勝手に忍び込んで、馬に驚かれたりと・・・まったく、ままならないものだ」
海外遠征の結果、なんやかんやと成果を出したらなんか予想以上にみんなが大騒ぎだった。というのも今話題の皇帝シンボリルドルフ。のシンボリ牧場の名馬スピードシンボリでもできなかったことを私達はできたようで、なんか・・・えらい騒ぎだ。
この新聞が少し前にすっごい勢いで売れまくったそうで競馬人気にちょっと火がつきそうだとか?
「ふーむ・・・私の方からもちょっと警備会社のオーナーさんと忍さんにも相談しますね? もー、レディチャンたちは大丈夫?」
セレアさんは私と、先生たち、そしてカツラギエース先輩や同じ厩舎のみんなにねぎらいの林檎、お芋、人参を配ってくれているなか眉根を寄せる。私はまあ大丈夫だけど落ち着くはずの厩舎でこのうるささはねえ。
『まーったく・・・俺も特例でちょっとここに残ったのに休めそうにねえなあ』
『ごめんねえーエース先輩。わざわざ種牡馬生活。夢のハーレム生活の準備を少し遅らせてくれたのに』
で、有馬記念の後に引退したカツラギエース先輩も実はここの厩舎に残ってくれていた。というのも馬主さんが『レディとルドルフの春天を見たいからギリギリまで併せ馬で使って』という。ご厚意のお陰で一緒にいてくれているのだ。
おかげで土御門先生の厩舎の子たちにもいい刺激が続いたとか? まあ、私は遠征しちゃっていたし。
『ただ、なんか人間どもを、特に香港で悶絶させてきたんだろ? ニヒヒヒ。いいじゃねえか。偉そうな奴らほどそうさせるのが醍醐味よな』
『あー・・・なんか、香港はそうらしいね? なんかすっごい実況が悲鳴を上げていたような』
「ふふふ・・・香港は欧州貴族の皆さん、富豪のみなさんが自分の馬の自慢をする場所って部分もあるからね。そこにサラ系のレディちゃんが勝てば自分の馬の価値はチン◯ン。かつてのジャージー規則を打ち立てておいて結局海外の血を入れないことで衰退したのを、味わっているのかも?」
しれっとなんか私らの会話の空気を感じて・・・馬の言葉わからないよね? セレアさん。そして、あーそっか。ジャージー規則っていう欧州以外の馬締め出しみたいな形のあれをして血筋の高貴さとか、正しさを守っていた時代を知っていて、メリケンにちんちんにされた後に、今度はアジアのサラ系にボロ負けしちゃう。
うん。悶絶もんだわぁ。なんかあのときのセレアさん。恍惚。ヘブン状態だったし、岡崎くんも興奮しすぎてなんか股間が・・・ヌメッとしていたような? それだけ大きいことだったのねえ。私が馬になる前の未来だと割と海外遠征で結果を出す馬も多いけど、今の時代だとこれの意味が凄く重いんだろうなあ。
「まったく・・・勘弁してくれ。ちゃんと春天には出るんだからそのお馬さんたちのためのケアをわかってない。セレアさんも、大量にありがとうございますこんなに新鮮で美味しい野菜を。馬たちも喜びますよ」
「いえいえ。近所の農家さんから直買付をできたので。ふふふ。私も忍さんも楽しみにしていますよ春天。どうか思い切りレディと楽しんできてくださいな」
「もちろん。私達もこうして連続でGⅠ。しかも春天に挑める機会をくださったのです。あの名馬たち相手でもレディはきっと負けませんよ!」
「うぉっほっほっほ。この子は遠征でもガレないタフなお馬さんですからねえ。そこらの牡馬より落ち着きがある。ささ。お兄さんと一緒に練習。いこっか」
どうにかマス◯ミを追い返した土御門先生と平野くんがうちのオーナーと談笑。していたら早速併せ馬の鍛錬へ。
『お、おやつはまだなんですか!』
「併せが終わったら蒸したお芋を上げるからねえ。頑張るんだよぉ?」
『あ、はーい』
『よし。俺ももう一息後輩ちゃんのためにがんばりますかあ』
まだまだ寒い春空にお芋・・・いいね! 頑張ろう~
~岡崎くんの日記~
僕は昨年ルドルフと一緒に四冠を手にした。GⅠの冠を。だ。日本ではシンザン以外には未だに届かない領域に届く名馬だ。ルドルフはまさしく昨年で日本最強だと示した。
しかし、しかしだ。海外での勝負はまた別物。なにせ、馬への食事の制限や、ルール。芝や土質何もかもが違う。だからこそスピードシンボリほどの名馬も及ばず、シンボリさんやトウショウさんたちは日本ホースマンクラブを作った。
だと、だというのにだ。最強の戦士の血を引くレディはあっさりと僕達にその壁を稲妻に焼き裂かれる大木のように壊して結果を出した。サウジ、香港で勝ちドバイでも掲示板入り。こんな、こんな牝馬はいるのかと僕の脳は蕩け、ルドルフに首ったけのはずが同じ程にレディが僕の中にいた。
ルドルフとレディは同期であり、方やルドルフは無敗の三冠。レディはクラシックは一冠だけだがそれ以外の戦績は凄まじい。ああ、君たちのために僕は誠心誠意尽くしていくよ。僕が君たちの覇道を助けるんだ。
しかし、次の出走は二頭揃って春の天皇賞。どっちも。だ。どちらか一頭だけに僕は乗らないといけない。こんな悲劇があるというのか。考えるだけで胸が張り裂けそう。いや。むしろ裂けてくれたほうがいい。そのほうが分裂してルドルフのレディのどっちにも騎乗して挑み、そしてそれぞれの素敵な時間を満喫できる。
とんだ浮気者と言われるだろうが許してほしい。それほどに君たちに僕は首ったけなのさ。
今日も君のための練習に向かえばあの田所がいた。くそう・・・こいつにルドルフもレディも、くれてやりたくない。しかしどう・・・同時に・・・!
『じゃあ、またなレディ。引退はせめて来年の半ばくらいにしてくれよ』
『はーい。先輩こそ美魔女たちに翻弄されすぎないようにですよぉ』
4月の併せ馬の練習の期限も過ぎて、カツラギエース先輩は本格的に牧場へと帰ることに。ここからは馬産の世界の勝負となる。まあ、エース先輩なら大丈夫だとは思いたい。
私も将来お相手になるのかなあ・・・と馬は好きだがそういうお相手を考えるとちょっとナイーブになりかけるが、それは振り払い馬運車に乗る先輩をお見送り。
「日本に話題を呼んだエースであり、そして今度は先生たちに名馬を送るエースになってほしいものだね。レディ」
『うん。そして、お見送りありがとう田所さん』
結局春天での私の鞍上は田所さんに決まった。岡崎くんもすごく迷って、もんどり打っていたけどルドルフを選んだエピソードからも下手にルドルフの鞍上を手放すと何が起きるかというか、次に乗れないようになりかねない事もあったのであちらを選んだ。
私はまあ、思ってくれるのは嬉しいけど半泣きで私に謝りつつ愛しているよとナデナデされたときは妙な気分を覚えた。
「今回は流石に私も気合を入れまくらないといけない。なにせ・・・今年の春天では皇帝を打ち負かす! 外弁慶とは言わせないぞ!」
え。私そんな風評なの? なんかすっごいもてはやされてた新聞が多かったけど。レース前の対立煽りかしらね。
んまあ・・・いっか。私や周りに変な被害が及ばなければ。今は生き残るためと勝つために練習練習。
多分色々キチガイ扱いされているこの陣営。ローテは良心的(当時基準)だけどこの成果は多分シンボリさん目ん玉飛び出ているかも。
岡崎くんは自分に海外の栄冠を掴ませて海外コンプレックスを卒業させてくれた金髪美少女の上に別の男がまたがる光景を春天で見ることになるんですね。
戦績 15戦 11勝 4敗 合計獲得賞金 25億7620万