皇帝の友達   作:零課

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 また台風がでてきそうでどうなるか(2024年9月末時点)皆さまもどうかお気をつけて。あとゴージャスちゃん、メイショウタバルくんファイトー


 ケイジとジェンティルドンナが絡んでいる。イチャイチャしているイラストって需要ありますかね? ちょっと気になる今日このごろ。


稲妻二つと隼 阪神JF(GⅠ)

 『次世代の大物たちが冬空、阪神競馬場に揃いました阪神JF。各ルートをくぐり抜けてきた少女たちが初めて挑むGⅠの大舞台。ここで初のGⅠを掴むのは誰か。

 

 

 今年の注目牝馬も揃っており会場の熱気も凄まじいものです』

 

 

 ほえーこれがGⅠレースの熱気を感じるということかあ。私も人のときはあの中に混じっていたけど、こうして選手の一頭として参加するのはまた別物。声が質量を持って降りかかるように感じちゃうもの。

 

 

 『特にその中でも好成績を残しておりますキョウワサンダー。そして重賞三連勝を持ってここに来ておりますサンダーレディ。二頭の雷を冠する牝馬。どちらもサラ系ですがそんな事を気にさせない走りを持って勝利を手にするか観客も期待しております』

 

 

 『おっはー。わたしたち人気みたいね』

 

 

 『あ、サンダーさん。そうだねえ~世間だとサラ系ってだけで大変だしね』

 

 

 『なんでだろーね』

 

 

 私達の前の時代の史実菊花賞馬ハシハーミットもシンザン系だけど、サラ系ってことで1年位で種牡馬生活終わって引退馬として過ごすことになったしなあ。ほんと、この時代の日本競馬は遅れているとはいえ、すごい扱いよねえ。

 

 

 キョウワサンダーちゃんとパドックを歩きつつ会話しているけど、んまーあんまり気にしないほうがいいよ。気をもんじゃうから絶対。

 

 

 「頑張れよー! レディ! ハシハーミットもファンだったんだ! サラ系だろうがシンザンの血は強いって教えてやれー!」

 

 

 「キョウワサンダーも負けるなよー! 牡馬たちにだって勝てるんだー!」

 

 

 「母ちゃんのプレゼントのためにもがんばれー!」

 

 

 おおー応援もすごい。やっぱり年末は凄いなー。この後にもすぐ有馬記念、東京大賞典とかあるし。ふふふ。がんばろー。

 

 

 私の方も今日は調子がいい。というか冬なのもあって汗をかかないでパドックを過ごせるのがいい。しかし、冬なのも相まって芝が真っ白。土も見えるし。ここ阪神だけど『冬枯れの~』って表現がよく分かる。

 

 

 この芝が変化していくのは、うーん。いつ頃になるんだろうかね? よく覚えてないわ。

 

 

 『私達応援されているし頑張らないとだね。厩務員さんにいっぱい褒めてもらえるし!』

 

 

 『ご褒美のフルーツも欲しいし、一緒に頑張ろ』

 

 

 『おー』

 

 

 んまあ、ひとまず一緒にポコポコ。そして岡崎くんライド。よっし。準備はよし。

 

 

 「ふーむ・・・今日は・・・こうしてみるべきかな・・・」

 

 

 何やらひとりブツブツ考えている岡崎くんはほっておいて、いざ本馬場入場。三冠馬ミスターシービーに挑みに行く次世代たちは誰か。とか、シンザン以来久しぶりの三冠馬の登場とルドルフやいろいろな期待もあっていやーやかましい。

 

 

 ただ、ゴミを投げそうな勢いで腕を回すのはやめて欲しい。臭いも気になっちゃうのよ馬だから。

 

 

 ゲートインして、今日もまた集中集中・・・

 

 

 『全馬ゲート・インしまして・・・・・・スタートしました! 前に出たのはエトワールバラ、ガギロン。ロングハヤブサが前に。今回はいいスタートをしましたサンダーレディ。そしてキョウワサンダー、オオトリワンが続いていきます。

 

 

 1マイルのこの勝負。快速勝負となるか、誰もが前に出ようと馬群が固まって大きく伸びないまま前に出る。そこに続きますはハットリサン。セブンティーズ、チャバシラが続いて最後尾はオリーブクラン、スエードブーツが伺っている様子』

 

 

 よっし。ぼちぼちいい感じのスタート・・・だけど岡崎くん? 今回は抑え過ぎじゃないかな? スピードもっと出せるのに・・・えー? だめ? 手綱グイグイして。うーん・・・わかった。今日は逃げよりの先攻ってことでいいんでしょ?

 

 

 クラシックに行く前の試金石ってのもあるのかな。今回は岡崎くんに合わせましょ。

 

 

 えっほ、えっほ。

 

 

 『まずは第一コーナーを抜けて第二コーナーへ。馬群が伸びますがそこも大きくなく、サンダーレディがいつものペースで走らないこともあるのでしょうか。徐々に馬群の伸びはありますが順序は大きく変わらず。エトワールバラが先頭。続いてサンダーレディ、ガギロン、ロングハヤブサ、オオトリワン、キョウワサンダー、あっと前に出ましたチャバシラ。オリーブクラン。

 

 

 先頭は1000メートルを通過。タイムは60秒5 平均的と言えるでしょう。しかし折り返しをもう越えて第三コーナーから第四コーナーへ。残りの距離は少ないぞ。おおっとキョウワサンダー、ムチが入る! それに続いてチャバシラ、オオトリワンにもムチが入ったか皆仕掛けていきます。

 

 

 サンダーレディも仕掛けていきます。あっという間のマイル勝負! 2つの雷鳴が前に出てくるか!』

 

 

 ぬぁー! 思いっきり行くわよー! 脚をためていた分思いっきり行けるいける! 目指せGⅠ勝利! 2歳でこれを手にできれば色々と有利になるんだー!

 

 

 『にょおぉおー!! 褒めてもらうためにも負けるかー!』

 

 

 キョウワサンダーちゃんも負けじと追随してくる。これはやばい! うぉーうぉー! なんとか伸びないとぉ!

 

 

 『ああっとサンダーレディとキョウワサンダーの叩き合い! ムチが飛んで雷鳴の走りが冬空の阪神競馬場に鳴り響く! しかし、しかしその荒れ狂う競馬場、レースを縫って行くのは隼! ロングハヤブサと河智騎手のコンビだ!

 

 

 レース破壊の専門家サンダーレディ! 堅実な走りでここまで来たキョウワサンダーの二頭から抜け出してあっという間に先頭です!』

 

 

 ちょっ! 私そんな評判だったの!? いや、そうじゃなくて! ここで名手河智さん仕掛けたか! 岡崎くんもムチの数が多い! ちょっ、やりすぎやりすぎ!!

 

 

 もう少し! モー少しだけ距離があれば追い抜けるんだけど・・・・・・っ!

 

 

 『牝馬二頭が追いすがりますが最早この羽ばたきは止められないか! ロングハヤブサ一着! 一着はロングハヤブサ! 二着にキョウワサンダークビ差で入着。三着にサンダーレディ。サンダーレディの無敗記録、重賞連勝記録はここでストップとなります!』

 

 

 くぁあああー・・・・!! 負けた・・・初めての敗北・・・! 切れ味勝負、瞬発力では負けちゃったか・・・トホホ・・・先行も悪くはないけど、もう少し足を早く使うかの判断が大事だね・・・

 

 

 岡崎くんもありがとう。負けちゃったけど3着。一応賞金は入ってくれるし・・・来年のレースの優先出走枠もあるはずだよね?

 

 

 本当に3歳くらいまでは成果を出さないと出しサラ系の私は今後の将来のためにも、生きるためにもコツコツ頑張らないと。しかし初敗北・・・悔しいのもあるけど、皆悲しんでいないかなあ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~岡崎くん心の日記~

 

 

 初敗北。まだ未成熟の中でこれほどのスピードを持って挑んだ、たしかに勝機はあったしキョウワサンダーやロングハヤブサと比べても素質は高いものがある。

 

 

 だけど負けた。それはなぜか? 僕だ。僕のせいだ。サンダーレディのそのスピードはこの同期の中でも飛び抜けている。しかもまだ成長中。未成熟の体で。ルドルフと同等の才能を持ちながらルドルフは最高の乗用車。ベンツのようなものならサンダーレディはハイパワーの大型バイク。

 

 

 しなやかな毛並みの中に感じるグツグツとした熱は僕のズボン越しに太ももに感じていた。そのエネルギーの爆発を制御しすぎてしまった僕のミスだ。

 

 

 初めての敗北。それにレディは最初にどこか感じた不安な仕草をしていたが、すぐに僕を見た。大丈夫? と言わんように。君はまだ少女なのにまるで淑女のような振る舞いを見せているね。

 

 

 ああ、君の仕上がりが楽しみになる。ルドルフの雄大なふるまいとは別で奔放で優しく、でもレース運びは破天荒。そんな君の手綱を離さない。これからもずっと一緒だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「んんんんん^~~~~!! いやーさすが名手河智騎手とロングハヤブサ! 岡崎さんとレディのコンビをねじ伏せるとは! キョウワサンダーもやはりヤバい! だけどサンダーレディはきっとGⅠを取りますぞ!」

 

 

 「いやー入れ込んでいるねえ平野くん。だけど私も同じ気持ちだよ。未完成なのに牡馬と同等に渡り合って戦える。逃げ馬なのにスタートド下手くそ。それを気にしない精神力とスピード。本格化していくのは来春以降だろうけど、必ず本格化すれば皆が知る名牝になるはず」

 

 

 「そりゃあそうでしょう! 先生の厩舎に入って、私の初担当できた子なのにすぐに阪神JFに挑めるという名馬! 重賞レースに買って稼がせてくれるだけでもすごいのに。私もいつか調教師になるときにこういう子を鍛えるよう目指したいくらいですよ!」

 

 

 年が明けて、新年の挨拶も兼ねて土御門厩舎に差し入れを持っていくと土御門先生と平野くんは録画した映像を見返して惜しかったと酒とお茶を飲んでいる。

 

 

 私達の預けた馬を、レディをここまで愛してくれるのは嬉しいことですわ。そもそもGⅠに挑めるまで鍛えてくれることがすごいこと。そして掲示板入りと功績も大きい。

 

 

 平野くんは調教師志望だけど土御門先生の方で長く学ぶようですし、どんどん成長してほしいですわねえ。

 

 

 「ふふふ。ありがたい話です。ところで先生。一応聞きますが次の予定はどうしているのです?」

 

 

 「一応、1億以上も稼いでいて、GⅢ3連勝。阪神JF3着と名牝ですからね。今年のレースは基本的に枠は優先してもらえるようです。

 

 

 なので、3月のチューリップ賞まではじっくりと鍛えて、調整をしつつ挑みたいですね」

 

 

 「あら、シンザン記念や他のレースに出さないので? 先生たちの厩舎は新しいですし、評価を掴むためにどんどん行くのかな? と」

 

 

 「んーたしかに他の牝馬たちと比べても使っていない印象でしょうけど、この子はじっくりと見ていくべきだと思いまして。あれほどの才能を数をこなして潰してしまう危険を持つよりは疲れを抜いてティアラに挑みたいかなって。

 

 

 セレアさんたちが基本私達に意見を出さずに自由にさせてくれるのもあって慎重に行こうと」

 

 

 まあ、私達は馬のお世話も出来ますけど競走馬の調整とか様子を見ているのは毎日見てくれている調教師さんや助手さん、厩務員さんらのほうがよく分かる。

 

 

 それなら基本お金はだしますがプロに任せるのが一番でしょう。メイショウさんたちの方もそのほうがいいよ。と言っていましたし。シンボリの方はお金を出しているからこそ意見を言うべきとも言っていましたけども。これだけレディを愛してくれている皆さんを見ていたらそんな気も起きない。それ以上に・・・・・・・

 

 

 「・・・美しい・・芸術ね・・・」

 

 

 負けた岡崎くんの表情。そそるわ・・・ルドルフの方は無敗で一年を終え、だけどレディの方では重賞4連勝。初GⅠを制覇を逃す。レディという名馬に脳を焼くレベルで入れ込んだのに敗北と挫折を味わい苦悶に歪むこの瞬間。

 

 

 裸一貫で競馬界に乗り込んで実力で掴んだ地位と自信。それを忘れそうになるほどの衝撃。この表情からしか取れない栄養と故と刺激があるの! 何度見ても素敵・・・旦那様といっしょに見たあとの夜は燃え上がったわ・・・!

 

 

 「? なにかいいましたかな?」

 

 

 「いえいえ。しかしチューリップ賞ですか。ダートの方はいかないので? サンダーレディは確かダートもイケる口とか」

 

 

 「んーそうはしたいのですが、まだまだ国内にダートのレースが少ないのと、年齢限定戦とはいえ重賞三連勝している名牝ですからなあ。それなら芝の方で稼ぎつつティアラを目指すほうがいいかな。と、その頃には本格化しているでしょうし、選べるレースも増えるのでその歳に改めてダートの方も。と」

 

 

 「わかりました。私も競馬を愛するものですがオーナーブリーダー止まり。競走馬の調教や調整は本職に負けますもの。これからもよろしくお願いします」

 

 

 岡崎くんとレディがこれからもあの素敵な光景を見せつつ、成長していくさいに評価が高まればまた勝っても負けても芸術を見せてくれる・・・! 具体的にはジャパンカップで海外場に負けてしまうのも勝つのも美味しいわねえ! ああ、早く今年の秋になってくれないかしら! 待ち遠しすぎるわ!




 キョウワサンダーにロングハヤブサ。かっこいい名前の馬が多いですなー


 あ、阪神JFは1991年に牝馬限定の2歳GⅠになりまして、その前までは牡馬も参加可能。なので史実でも牡馬のロングハヤブサが勝利しているわけですね。名馬コウタローも出走していたりと割と有名どころがちらほら。


 戦績 7戦 6勝 1敗 合計獲得賞金 1億3720万
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