【完結】少年が秤アツコの傷になるまでの話。   作:\コメット/

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遅れてすみません!番外編3の執筆に興が乗ってしまい...こちらも楽しみにしていただければ!


番外編2:Sheside outside(6)

 

 

祭りのメインイベントということもあり、ライブステージには多くの人集りができていた。

それらを掻き分け、前へと陣取るカナエ達。

 

「良い位置がとれたね」

 

「ここなら、サオリ姉さんの勇姿を皆で見届けられるな」

 

「...二人とも、何持ってるの」

 

新婚夫妻の手には、ピンク色にデコレーションされた応援うちわが握られていた。

 

『♡サッちゃん♡』

 

『♡サオリ姉さん♡』

 

今か今かとライブが始まるのを待つ二人は、そのハートが散りばめられている、見ている方が恥ずかしいうちわを胸に抱えていた。

 

「サッちゃんの晴れ舞台だからね、応援しなくちゃ」

 

「リーダーは裏方ってツッコミ待ち?」

 

「「...あ」」

 

「素で間違えたんだ...」

 

「で、でも。このステージを作ったのは他でもないサッちゃんだから。関係者ではあるから」

 

「なんでDJを差し置いて裏方をメインで応援するの...」

 

「ほ、ほら。最近じゃプロ野球選手と仲の良い通訳の人とかも人気になってるし」

 

「その人捕まったよ」

 

ああ言えばこう言う浮かれポンチ二人に、冷静且つ的確に返すミサキ。

ただまぁ、気持ちはわからなくもない。オオトリとも言える祭りのイベント。その一助にサオリが関わっているのは、家族としては誇らしい。

 

「あれ?先生は?」

 

「そういえばお姿が...まさか、逸れてしまったのでしょうか!?」

 

「せっかく先生用のうちわ作ってきたのに...」

 

『♡脇腹撃って♡』

 

「やめな」

 

黒い義姉は食い気味で止める。

下手したら自責の念でサオリが死にかねない。

 

「冗談冗談」

 

「冗談じゃ済まないから」

 

「これを捲ると...はいっ」

 

『♡脇見せて♡』

 

「なんでレパートリーが変態寄りなの?」

 

「ライブ中にサッちゃんの脇が見たい時があるかもと思って...」

 

「どんな状況」

 

「他にも『♡足舐めて♡』と『♡首輪付けて♡』があるよ」

 

「そんな変態行為、先生がするわけないでしょ」

 

「アツコ、もう無難に『♡こっち見て♡』でいいんじゃないか?」

 

「捻りがないけど...そうしようか」

 

「逆に何で捻ろうと思ったの」

 

ここはライブ会場であって大喜利会場ではないのだ。

頼むから本番前にバテさせないでくれ、と人混みも悪さをして疲労が溜まる一方のミサキはため息を吐く。

 

「じ、自分のことではないのに緊張してきました...!リーダー、大丈夫でしょうか?」

 

「DJには俺たちで釘を刺したし、きっとのびのびやってるよ。それよりヒヨリ姉さんの方がビクビクしてるし。はい、イカ焼き」

 

「ありがとうございます...あはぁ、おいひぃ」

 

「ヒヨリ、唐揚げ棒もあるよ」

 

「たべまひゅ!」

 

餌付け大会開催。

ヒヨリの幸福度と満腹度を上げるのが目的なこの大会、主催はバカップル二人、管理者はミサキ。

なお、ミサキには摂取カロリーが見えているものとする。

 

「そういえば...ごくんっ。皆さん、聞いたことはありませんか?DJステージでテンションぶち上げでパーリーピーポーできる人は、モテモテになれるらしいです!」

 

「そういう人は節操の無いヤリチン野郎って相場が決まってるの。カナエ、なっちゃダメだから」

 

「ミサキ姉さん、逆に俺がなると思う?」

 

「...ないか」

 

「むぅ。カナエ、浮気はダメ。この前内緒で子ウサギ公園に行ったこと、まだ許してないからね」

 

「いやあれはあくまで支援物資を届けに行っただけであって...」

 

「言い訳しない。たこ焼きちょうだい」

 

「はいはい」

 

意外にも束縛の強いアツコの尻に敷かれるカナエだが、その様子は満更でもない。

 

「そもそも周りはヘルメット団だらけだし、今モテても意味ない」

 

「そうそう」

 

ミサキの冷めた最もな意見に、力強く同調するアツコ。

 

「ふーん...そんなにアツコは俺のことが信用ならないのか」

 

尻に敷かれるのは満更でもない。だが、それでも信頼と信用を無下にされるのは気に食わなくて、少年は珍しく拗ねた。

 

「か、カナエ?」

 

「...俺にはキミしか見えないのに、酷いよな。どれだけ想っててもそっちが疑ってるんじゃ、どうしようも...」

 

「ご、ごめん、ごめんなさい。ちょっと揶揄っただけだよ...私も、カナエだけだから」

 

「何が?」

 

「...好きな人」

 

「そっか。俺もだよ」

 

「わわっ」

 

ギューッと。

人目を気にせず少女を抱えてハートを飛ばしまくる。

いきなり悄らしくなったアツコを見て我慢できなくなったのだろう。一瞬の不穏が嘘のようで、ミサキとヒヨリは「はいはい茶番茶番」と手持ちの祭り飯を食す。

 

「ふふ、意地悪」

 

「そっちが先だからおあいこだよ」

 

「本当だ...うん、私が悪かったね」

 

「俺も、ムキになって子供だったな」

 

小規模なメリーゴーランドになった新婚二人は、そのままクルクル回り続ける。こいつらに浮気や寝取られの心配は不要かと、小姑二人は再認識。

 

「アツコ、カナエ、あまり騒がないで。リーダーに見つかる」

 

「あ、そうだね。ごめんごめん」

 

ガシャッ

 

「...待って。今何か聞こえなかった?」

 

「音、ですか?」

 

具体的に言えば、物が倒れる音。

ちょうど、ステージを照らす背丈以上のライトが倒れればそんな音がするような...。

 

「突撃いいぃッ!!!」

 

「撃て!撃てえええ!!」

 

アリウススクワッド四人の思考を切り割いて、物音を立てた張本人達が現れた。

昼間に相手をしたスケバン、それらが全員集結しての特攻である。

 

「な、スケバン!?」

 

「奇襲だ!」

 

「姐様の仇、打たせてもらうぜ!」

 

彼女らはやる気に満ち満ちていた。

憧れであり、敬愛する姐御のためにヘルメット団へ一泡吹かせようと、感情を昂らせ、銃を持って突撃する。

だが、

 

「く、くそ...」

 

「そんな人数で、勝てると思ったのか?」

 

10分と保たず、スケバン達は制圧されてしまった。

 

「戦力差が見えないのか?負けるに決まってるだろ」

 

「何がしたいんだ?おまえら」

 

「ちくしょう...!」

 

メインのステージにすら近づけなかった彼女らを遠目で見ていたカナエ達は、

 

「いったい何がしたかったのでしょうか...もぐ」

 

「さっきはDJさんを連れて行こうとしてたよね...もぐ」

 

「夏の思い出でも作りにきたんじゃないか...もぐ」

 

「傍迷惑な連中...もぐ」

 

観戦気分でチョコバナナをもぐもぐしていた。

危険が及べば避難も検討するところだったが、予想以上にヘルメット団の連携は良く、突然の乱入にも完璧に対処していたので、余程このメインイベントに力を入れているらしい。

 

「これでまた延長ですかねぇ」

 

「そうかも...」

 

ドンッ

 

「...ッ!?三人とも、伏せて!」

 

「きゃっ!?」

 

「うわぁ!?」

 

「ひいいいぃぃ!?」

 

砲撃音。

緩やかな軌跡を描いて、一発の爆撃が会場を襲う。

爆発と衝撃が起き、ヘルメット団の数人がこれにより戦闘不能となった。

 

「げほっ、げほっ!す、スケバン共め...!ロケットランチャーまで使うとは...!」

 

「そ、そんなもん持ってきてねえ!」

 

「なら、一体誰が...」

 

 

 

「うふふふふっ、お久しぶりですわね。ヘルメット団の皆さん」

 

 

 

爆煙を払い、一人の女性が現れる。

 

「毎日毎日、心配でしたわ。元気に過ごされていたかしら?」

 

お嬢様然とした口調、しかし煙の中に見えるシルエットが映し出すのは、それに似つかわしくない鋼の肉体。

筋骨隆々、丸太のように太い豪腕、凶暴なまでに割れた腹筋、手に持つ装備は、無骨な機関銃とロケットランチャー。

 

「そうでなければ───困ってしまいますわ」

 

かつて起こった、ヴァルキューレ警察学校にとって悪夢のような大事件。

12台の警備車両、2台の戦車が全損し、怪我人も多数。これだけの甚大な被害をたった一人で引き起こした女がいた。

 

「やはり、シャバの空気は格別です」

 

災厄の狐、狐坂ワカモ。

慈愛の怪盗、清澄アキラ。

五塵の獼猴、申谷カイ。

悪名高き彼女らに並ぶ7囚人の一人。

 

「栗浜アケミ...!」

 

人は彼女を『伝説のスケバン』と呼ぶ。

 

「あらあら、覚えているようで何よりですわ」

 

「何しにここにきた!」

 

「何をしに?ここへ?うふふふ、そんな決まりきったこと、態々聞く必要があって?」

 

砂浜に突き立てられる、アケミの武器。

見るからに脅威と取れるビジュアルに、会場にいる殆どが息を呑む。

 

「あなた方の密告のおかげで、私はヴァルキューレに捕まったのですよ?今思えば矯正局暮らしが懐かしいですわ.........アンタたちにどう復讐しようか考えていた毎日がァ!!」

 

「ひぃ!?」

 

「───ふふふ、怖がってももう遅いのですよ?覚悟なさい、皆さん」

 

「か、覚悟?」

 

「ええ。この私に、ブッ殺される覚悟をです」

 

指の骨がバキバキと鳴らされ、一歩、また一歩とアケミとヘルメット団との距離が縮まっていく。

 

「ね、姐様...!」

 

その進撃を止めたのは、地面に転がされていたスケバン達だった。

 

「...あら?」

 

「姐様あああ!!」

 

鎮圧されたダメージを吹き飛ばし、彼女らはアケミの元に集う。

そう、スケバン達の言う姐様とは、栗浜アケミのことを指していたのだ。

 

「まあまあ皆さん、お元気そうで何よりです!どうしてこちらへ?」

 

「お久しぶりです姐様!もちろん、あなたの仇を取るためです!元々ワタシらを庇って捕まったんですから、アイツらに復讐をと...!」

 

「...アツコ、姉さん達、大丈夫?」

 

笑顔と涙を浮かべ、感動の再会に浸る敵に警戒しつつ、少年は伏せたまま同行者達に怪我の有無を聞いた。

 

「大丈夫...」

 

「私も。ヒヨリは?」

 

「私のチョコバナナがぁ...」

 

「無事だね。早くここから離れないと」

 

ミサキの判断は正しい。

四人がいるのはステージの最前列であり、戦場となるであろう場所と明らかに距離が近すぎる。

装甲が紙のカナエがいる現状、その選択は正解であった。

だが、

 

「せっかくのサオリ姉さんのステージが...」

 

当の、庇護されるべき少年が、その場を離れることを躊躇した。

 

「カナエ、早く行く...っ!?カナエ!」

 

「わっ!?」

 

ガガガッ!

 

「ミサキ姉さん!」

 

「ミサキ!?」

 

勃発した戦闘、その流れ弾がカナエを射る直後、ミサキが彼を庇った。

 

「大丈夫...大したことない」

 

確かに、血が出ていないのを見るにそれは本当なのだろう。ヘイローのある少女達特有の、少年にはない頑丈さだ。

 

「そこまでだ!!」

 

そんな家族のピンチを見たからか、仕事をこなすべく体が動いたのか。

 

「サッちゃん...!」

 

栗浜アケミの前に、我らがアリウススクワッドのリーダー、錠前サオリが立ち塞がった。

既に護衛であるヘルメット団各位は壊滅状態、この惨状を見て首を突っ込む身の程知らずにキツイお灸を据えようと、アケミは機関銃を構えた。

しかし、

 

「甘い!」

 

「なっ!?」

 

最強の傭兵が放つ弾丸が、その銃身を弾いた。

 

「私のエリザベスを、よくも...!」

 

「大人しく立ち去れ。本来なら私の家族を傷つけた報いを受けさせるところだが...今なら見逃してやる」

 

「...随分と腕に自信があるようですわね。たった一度のラッキーパンチで、調子に乗られては困りますわ」

 

「そうか...なら、仕方ない」

 

戦闘体勢に移る、強者たる二人。

 

「正直に告白しよう。これは私情だが、ミサキを撃ったおまえをこの手で倒せることを、嬉しく思う」

 

「もう勝ったおつもり?驕りは敵でしてよ...私の前に立ち塞がる者は、一人残らず徹底的に教育して差し上げましょう!!」

 

アリウススクワッドリーダー、錠前サオリ。

伝説のスケバン、栗浜アケミ。

二人の一騎打ちが、今開始された。

 

 

 

縦横無尽に砂浜を駆け回る、黒の閃光。

相手を起点とし、四方八方からアケミの装填モーションを上回る速度で攻撃を続ける。

これにより、サオリは7囚人である伝説のスケバンの動きを抑制、一方的にダメージを与えることに成功していた。

 

「機敏、そして優雅...私が飼っているムササビのカルレス君のようですわね!」

 

「帰る気になったか?」

 

「その逆ですわ。目障り過ぎて、叩き落としたい気分です!」

 

「なら、嫌でもその気にさせてやるっ!」

 

ギアをもう一つ上げ、サオリの姿が掻き消える。

砂を巻き上げ煙幕代わりにし、隠密。相手が姿を見失ったところで、死角から速射。

対聖園ミカ戦において行ったヒット&アウェイ戦法を、日々の鍛錬により更に昇華させた連続攻撃である。

 

「ぐっ!?困りましたわね...まさかここまで腕の立つ方がヘルメット団にいるなんて」

 

苦し紛れに発射するロケットランチャーは、素早いサオリを捉えることができない。

かと言って武装の中で取り回しのいい機関銃に手を伸ばそうとすれば、的確に手を撃ち落とされる。

側から見ればサオリ優勢、アケミが防戦一方と捉えられるだろうが、それは違った。

アケミの動きを自由にさせれば、形勢は即ひっくり返る。相対するサオリは、もしかすると起きるかもしれない『まさか』を予期し、行動を抑制。歴戦の経験値から導き出された立ち回りを武器に、戦況を優位に成り立てているのだ。

 

「思うようにいかないものです。けれど、人生は山あり谷あり。この程度で怖気付くつもりは、毛頭ありません。それこそ、伝説のスケバンの名が泣くというもの」

 

武器を置き、身体の節々へと力を込めるアケミ。

 

「強きあなたに敬意を表して、私も気合を入れ、加減せずお相手いたしましょう!」

 

目を閉じ、ボディービルダーさながらの見事なポージングを見せると共に、瞑想を行った。

 

「はああっ!!」

 

「...っ!?」

 

溢れ出る気迫、プレッシャー。先ほどとは明らかに確執したその威圧感に、サオリは息を呑む。

次いで、反応速度を上回って放たれた銃撃をモロに受けてしまった。

 

「サオリ!」

 

「大丈夫だ、先生...今の攻撃は?」

 

駆け寄る先生を手で制し、サオリは痛みを押し殺して立ち上がる。

装備が変わったわけでも無いにも関わらず、突然出力と速度が急上昇した。その原理がわからない彼女の前で、アケミはフラリと体勢を崩す。

 

「ふ、ふぅ...やはり、脱獄明けの体にこのスキルは負担が大き過ぎましたか。ですが、こうでもしないとあなたは倒せません...お覚悟を」

 

「姐様、ウチらも加勢します!」

 

「ここからは皆で!姐様を一人で戦わせるなんて、そんなの嫌です!」

 

流れが変わる。

サオリに傾いていた形勢が、アケミの奮闘によりスケバン達の士気を向上させ、調律が拮抗を通り越してスケバン側に振り切った。

 

「...驚いたな、一度の攻防で彼女らの士気を取り戻すとは」

 

自分にはできないこと。

これが伝説のスケバンのカリスマか、と敵ながら惚れ惚れするその在り方。

 

「行くぞ、おまえたち!」

 

あとは数ですり潰されるのみ。

サオリは構えを取るものの、その表情には余裕の無さが見受けられた。

武器を手にし、あらゆる方向から攻め入るスケバン達、迎え撃つスクワッドリーダー───、

 

 

 

その両者の間に割って入る、黒い物体。

 

 

 

「なっ」

 

「こいつは...!?」

 

突如現れた第三者───あらゆる兵装を取り付けられた漆黒のドローンから、四発のミサイルとマシンガンが連射された。

 

「のあああッ!?」

 

「あれはアツコの...しかし、あんなにゴツかったか?」

 

爆発と銃撃により吹き飛ぶスケバン達。

いつもの見た目とかけ離れている秤アツコお抱えドローンに、困惑の声を漏らすサオリ。

そんな彼女を、傍らに立ち支える少女がいた。

 

「ご名答。今日も暑いね、サッちゃん」

 

「アツコ!?」

 

来ていたのか、ではない。なぜ出てきたのか。

アツコをはじめ、他のメンバーもこの浜辺にいるのはサオリも知っていた。

わざわざ出てくることも無かったのに、彼女はそう思っているのだ。

 

「目障りな羽虫が飛んでいますわね...ふんっ!」

 

「まさか、ロケットランチャーの弾頭を素手で投げるのか!?」

 

隠していた本領を、再び傾倒する流れを元に戻すべく発揮。

オーバースローで繰り出される爆薬の投擲は、放たれれば甚大な被害をもたらす事が可能だろう。

 

それをさせなかったのは、アリウススクワッド狙撃手、槌永ヒヨリだった。

 

アケミの手から弾頭が離れる寸前、ここぞというタイミングでソレを撃ち抜いた。

爆薬は0距離で持ち主へと、その火力を叩き込んだ。

 

「ゲホッ...くっ、スナイパー!?どこから!」

 

「カナエ、ミサキ、今!」

 

「「了解!」」

 

元姫君の号令により、ドローンとミサキが動く。

浮遊物は対象の前で停止し、

 

「閃光!」

 

その身を、極光をもって輝かせた。

 

「目眩し!?」

 

「ロケランはうちの姉さんの十八番なんだよ!!」

 

ドンッ!!

 

頭上で火薬の花が咲き、アケミを含む周囲のスケバン達へと降り注ぐ。

 

「みんな...」

 

「まったく、世話が焼けるんだから」

 

「ミサキ...すまない、助かった」

 

「まだ動ける?」

 

「ああ、問題ない」

 

サオリが懐から取り出したのは、ガスマスク。

顔の下半分を覆い隠す、アリウスにとっての戦装束の一つ。

リーダーに呼応するように、アツコは右目部分の欠けたガスマスクを、ミサキは黒い通常のマスクを、ヒヨリはサングラスをそれぞれ装着。

 

「カナエも、はい」

 

「お、俺もか」

 

アツコからカナエに手渡されたのは、アツコとは色違いの発光部分が赤い代物。

手伝ってもらいながら着用を終え、準備は整った。

 

「先生、指揮を」

 

「うん───アリウススクワッド、出陣だ!」

 

最高位の軍師の元、最強の傭兵達と最近になって加わった花屋の少年はスケバン達とぶつかり合う。

 




(俺場違いじゃないか...?)

姫ちゃんのマスクが欠けたままなのは、新しいスペアを貰ってないからです。
その方が良いと私が判断した。

次回でイベスト完結です。お楽しみに!
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