火と玻璃の海の向こう   作:KenRB

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国家 | Nations

自由国家同盟

Allied Free Nations

第二次東西大戦を契機に西側諸国がエヴァンゲリカ神聖連合に対抗するために結成した軍事同盟及び、戦後に常設される集団安全保障機構。通称同盟(Allies/Soyuzniki)。西側の主な国々はほとんどこれに加盟している。

政治・経済的な連合ではなくあくまで安保同盟であり、各加盟国の権利は平等で単一の意思決定機関が存在せず、各国の合意により運営されるはずだが、実際にはウラシヤの裕福な国々、特にロストフ・アルヤとウルッバ諸国の意向が強く反映されており、これに対し不満を持つ加盟国も少なくない。

エヴァンゲリカへの対抗に起源するとは言え、全加盟国は自由と民主主義を掲げており、宗教の信仰も建前上自由ではあるが、エヴァンゲリカの脅威が高まるにつれ宗教への風当たりも日増しに強くなり、特に第三次東西大戦の勃発後にエヴァンゲリカの工作を防ぐという名目で公然と宗教を弾圧する国も現れ、それらの国から同盟非加盟国への政治的難民の流れも発生している。

 

ロストフ連邦共和国

Federal Republic of Rostov

ウラシヤ大陸中央と北東部に位置する連邦制の大国で、大陸最大の国であり、自由国家同盟の主要構成国。通称ロストフ、またはロストフ連邦(Rostov Federation)。首都はロストフヴェリーキー(Rostov Veliky)。

かつてはロストフ連合王国(United Kingdom of Rostov)と呼ばれ、第一次東西大戦時に一度エヴァンゲリカにクラ海峡を越えられ侵攻されるも、周辺諸国の支援を受けこれを撃退。しかしその後すぐに恩を仇で返すが如く周辺諸国を侵略するという不可解な暴挙に出るが、国内で戦争に反対する市民たちによる民主化革命が勃発し独裁のミドヴェージェフ(Medvedev)王家が倒され、しばし内乱の時代を経て現在のロストフ連邦に再建された。

エヴァンゲリカの脅威を最前線で晒され続けているため科学・軍事力が高く、世界に先んじて核兵器の開発に成功し、宇宙開発にも乗り出している。またその歴史からエヴァンゲリカを憎み専制政治を嫌い、同盟では主導的な地位を占め、他国の紛争や革命・内乱にも積極的に介入し軍事支援を行うことから「自由の灯火」や「民主主義の兵器廠」と称賛される一方、その振る舞いを「世界警察」と揶揄し快く思っていない人も多い。

国土が広く天然資源が豊富だが自然環境の厳しい土地も多く、地域間の経済格差や民族間の軋轢など国内に様々な問題を抱えている。また貧しい地方の出身者や少数民族が多く徴兵されていることも度々問題視され、政府は格差解消の就業支援と称しているが一部国民の不満を買っているのも確か。

 

アルヤ共和国

Republic of Alya

ウラシヤ大陸東部に位置する大国で、同盟の主要国の一つ。通称アルヤ。首都は浪花(Namihana)。

古代では周辺の小国を服従させるなど東アシヤ地域で大きな勢力を誇った一大帝国であったが、近代になると資本主義の発展と民主主義思想の台頭により数度の革命や内乱を経て、一時的に立憲君主制を取ったものの、最終的には旧皇族・貴族らが政治の表舞台から完全に追放され、現在の道州制の民主共和国の形となった。

国土は主にウラシヤ大陸東岸にある大陸部各州と、その東の中央洋に浮かぶアルヤ諸島各州によって構成される。国土面積はロストフ連邦より小さいものの、温和な気候に恵まれ西側諸国では最多の人口を持つ。独特の文化を持つ古国でありながら、貿易や工業も繁栄で、経済・文化両面でバランスのよい発展を遂げ、同盟の中ではロストフに次ぐ国力を誇る。

またその地理的位置から、クラ海峡有事の際には同盟軍の後方拠点として機能する戦略的要地で、大陸東岸における同盟海空軍最大の拠点が置かれている軍事大国でもある。しかしながら第三次東西大戦では真っ先にエヴァンゲリカの奇襲を受け、諸島部は陥落、沿海部も激戦地となるなど国全体が実質壊滅状態に陥られ、国民の多くが難民となり各国に避難せざるを得ない憂き目を見た。さらに追い打ちをかけるように、難民の大量受け入れへの反発が出る中、開戦初期同盟軍の惨敗は実はアルヤが敵と内通していたのではないかという悪質なデマも流され、エヴァンゲリカへの恐怖心から各地でアルヤ難民排斥の動きも一部見られる。

なお国名の「アルヤ」はウラシヤ大陸の地名の多くに見られるマシュリク語での呼び方が後に一般化したもので、アルヤ語では自国のことを「アメノミ(Amenomi)」と呼ぶ。

 

ウルッバ諸国

Urubba Nations

ウラシヤ大陸の北西部に位置する国々の総称。主な国はプリソニア(Prythonia)、ワルハランド(Walhaland)、アルマイン(Almain)、エトルリア(Etruria)、エスペリア(Hesperia)、レンディア(Lendia)など。現在ほとんどの国が同盟に加盟している。

多種多様の民族と文化を誇り、域内や周辺諸国との交流が盛んな一方、国同士の小競り合いや民族紛争・宗教戦争を繰り返してきた歴史を持つ。近世以降は新天地を求める商人たちが遠い海外へも進出し商業・金融業・製造業などが大きく発展し裕福になった国も多いが、東方のロストフやアルヤと違って地域全体を統一するほどの力を持つ強国がつい現れず、皮肉なことに勢力図は中世からほぼ変わっていない。近年では地域経済共同体の構想も持ち上げられているが実現にはまだ至っていない。

 

南西諸国

Southwest Nations

ウラシヤ大陸の南西部から内陸部にかけて存在する国々の総称。主な国はマシュリク(Mashriq)、コーデュエネ(Cordyene)、アッカディア(Akkadia)、ホワラーサーン(Xwarasan)、アシュヴァカン(Ashvakan)など。ほとんどの国が同盟に加盟している。

古くからアシヤとウルッバ地域や、ウラシヤとフラカ大陸をつなぐ交易の中心地で、歴史と文化が豊かな大国が多い一方、自らの民族・宗教が地域における主導権を争うための凄惨な戦争を繰り返しきたことが発展の妨げとなり、近世以降はウルッバ諸国やロストフ・アルヤの後塵を拝することとなる。

なお地域名の「南西」はあくまでウラシヤ大陸における南西方向を意味し、西側世界全体から見ればむしろ中心近くに位置するが、現在ではこの地域のことを指す単なる固有名詞となっている。

 

アシヤ諸国

Asiya Nations

ウラシヤ大陸の南東部と南部に位置する、アルヤを含む国々の総称。アルヤ以外の主な国はチョーラス(Cholas)、ヤルルン(Yarlung)、タウング(Taungu)、クルンタイ(Krungtai)、カムブジャ(Kambuja)、チャムパカ(Champaka)など。多くの国が同盟に加盟している。

古くからウラシヤ大陸と南のスンダリ諸島などを結ぶ交易が盛んな地域で歴史のある国が多い。一方でアルヤに隣接する一部の国は近世までアルヤの属国で、反乱や戦争などでアルヤから独立を勝ち取った過去を持つ。現代においても政情が不安定な国が依然多く、繰り返し起こる政変や内乱・民族紛争などに悩まされ、度々同盟からの軍事介入を招く。そのため同盟、特にアルヤに対し良くない印象を持つ人々も多い。

 

マガラバ諸国

Magharaba Nations

フラカ大陸の北部沿岸、クブラ砂漠の北側に位置する国々の総称。主な国はクーマト(Kumat)、ノバ(Noba)、アクスム(Axum)、リブ(Libu)、イヌミデン(Inumiden)、アムラクシュ(Amur Akush)など。すべての国が同盟に加盟している。

古来よりフラカ大陸の入り口としてウラシヤ大陸のウルッバや南西諸国との交流が盛んで長い歴史を持つ古国が多い。しかし近年では気候変動と砂漠化の進行に脅かされ、水と食料の不足による紛争や他地域への移民が増加している。

 

クガラ諸国

Kgala Nations

フラカ大陸の中南部、クブラ砂漠の南側に位置する国々の総称。主な国はクワズール(Kwa Zul)、ンゼレ(Nzere)、ソンガイ(Songhay)、アザニア(Azania)、キリニャガ(Kirinyaga)など。

赤道を跨がる地域ゆえ、熱帯雨林・サバンナ・砂漠と多様な気候が入れ替わり、豊かな自然と豊富な天然資源を有するが、かつては無数の部族と小国に分かれ争いが絶えず、地域を主導するような大きな勢力が不在で、文明の発展がウラシヤ大陸よりも遅れている。また近世以降はウルッバ諸国の入植により農園や鉱山などが建設され近代化が急速に進められてきたが、原住民との衝突も少なからず起きており、現在に至るまで戦乱の多い地域でもある。資源目当てにやってくるウラシヤの大国への不信感やエヴァンゲリカの脅威への認識の薄さから一部の大国を除き同盟に加盟している国は少ない。

 

スンダリ諸国

Sundari Nations

スンダリ諸島に位置する国々の総称。主な国はメラユ(Melayu)、ヌサンタラ(Nusantara)、タワリシ(Tawalisi)、ソアラハ(Soa Raha)など。ほとんどの国が同盟に加盟している。

古来ウラシヤ大陸のアシヤと南西諸国と交易などの関係が深く、その歴史から現在地域の人口は島の原住民族よりもむしろアルヤ含むアシヤ系と南西系移民の末裔の方が多い。近世以降は入植してきたウルッバ諸国の勢力も加わり、度々紛争も起きている。現代では農業や加工業と、豊かな自然による観光業も盛ん。第二次東西大戦では一部の地域が戦場にもなったが、現在は常夏の楽園として特に気候の寒いウルッバやロストフの人々に人気なリゾート地でもある。

 

ストラヤ連邦

Commonwealth of Straya

ストラヤ大陸とその周辺の島々を占める国家。同盟の加盟国。通称ストラヤ。首都はポートフレオ(Port Freo)。

元はウルッバ諸国がストラヤ大陸に開いた入植地などが本国から独立した後、先住民やスンダリなど他地域からの移民と共に、人種・民族・宗教など従来の枠に囚われない新しい国を打ち立てるという理想の元で、ストラヤ自由州連邦(Commonwealth of Free Strayan States)として発足した新興国。建国の歴史がまだ浅い故に広大な国土に比べ人口が少なく、国の産業も農業や鉱業などの一次産業が中心だが、東西の文明世界の近代化を支える重要な原料産地として大きく発展を遂げ、世界各国から夢を追う移民たちが殺到した。後にエヴァンゲリカのクヤニア大陸制圧によって国を追われた多くのクヤニア難民も受け入れている。

しかしCE 360年にエヴァンゲリカの侵攻を受け第二次東西大戦の主戦場となり、戦争末期には史上初めて核兵器が実戦使用され、多くの都市が焼け野原と化した上に放射性物質に汚染される惨状となった。

戦後は西側諸国の援助を受け復興と再建が進められ、その際首都は大陸北部のユルナ(Yulluna)から西海岸にある被害の少なかったポートフレオに移転され、国名もより簡単な「ストラヤ連邦」に改められた。国民の中には同盟の参戦により侵略者を追い払ったことに感謝する声がある一方、実質的に核兵器の実験場にされ甚大な被害を被ったことに憤慨や不信を覚える者も少なくなく、同盟、特にロストフに対し実に複雑な感情を抱いている。

 

エヴァンゲリカ神聖連合

Holy Union of Evangelical States

東側大陸のほぼ全域を制圧した巨大宗教国家。通称エヴァンゲリカ、エヴァンス(Evans)、またはHUES(ССЕГ)。首都はパームビーチ(Palm Beach)。

エヴァンゲリカ(Evangelica)*1と呼ばれる一神教を熱狂的に信奉する教団が国そのものである政教一致の神権国家。反科学的で荒唐無稽とも思える教義で国民を洗脳し、自らが神の選民であり、人類全体を神の教えに帰依させることを自らの義務とし周辺諸国への侵攻を繰り返してきた。その歪んだ価値観は近代文明国のそれとは根本からかけ離れており、これまで西側諸国からの対話や交渉の試みが悉く挫折し、神に従わない不信心者どもはあくまで殲滅すべきという強硬な姿勢を崩さない。技術の発展がいびつで武器装備などは基本西側のものより一世代以上遅れているものの、人口が多く狂信的な兵士を大量に使い捨てる人海戦術を用いるほか、何より「天使」と呼ばれる人知を超える怪物を召喚し軍事利用しているため、戦場では非常に手強い相手であることに変わりはなく、西側諸国からは文明世界への最大の脅威だと恐れられている。

国内では一見国民たちが教義を守り田園牧歌的なのどかな暮らしを送っているが、実際には国民同士の監視や密告を推奨し、不穏分子を徹底的に取り締まる恐怖政治を敷いている。そのため西側陣営の諜報活動も困難を極め、大きな代償を払いながらも今までに得られた情報が非常に限られ、国の内情や教団の実態は未だに謎が多い。ただしエヴァンゲリカの支配層の中でも決して一枚岩の結束ではなく、囚人や一般国民をもっと動員し西側に追いつく近代兵器の生産を強化すべきと主張する主に制服組が主導する軍備派と、いくら戦車や航空機を量産しても天使の比にならず、より強力な天使を召喚するための生贄の数を増やすべきという教団の聖職者が中心の天使派の二つの派閥に分かれ主導権争いをしていることもわかっている。

本国エヴァンゲリカは最初はローレンティア大陸の東側に位置する国だが、AD 1840年代に大陸西側のララミディアを攻略しこれを併合。さらにクラ海峡を越えウラシヤ大陸に攻め入るが失敗し、以降南方のクヤニア大陸の征服に舵を切る。AD 1930年代についにクヤニア諸国を支配下に置くことに成功し、二つの大陸に跨がる史上例を見ない巨大国家の樹立に至った。

なお通称の「エヴァンゲリカ」は宗教の名前から西側諸国がそう呼んでいるだけで、教団と信者らは自国のことを単に「神の国(Kingdom of God)」や「天国王国(Kingdom of Heaven)」などと呼ぶ。しかしローレンティア大陸の統一を果たした際、国際社会にも広く知らしめるためか、教団側も初めて公式的にこの名前を取り入れ、「エヴァンゲリカ神聖連合」を正式な国号として定めた。

 

ララミディア合州国

United Laramidian States

ローレンティア大陸の西部、キシスカ海の西側にかつて存在した国。通称ララミディア。首都はイェルバブエナ(Hierba Buena)。

かねてからクラ海峡を越える陸路と海上貿易を通じてウラシヤ大陸の国々とも交流のあった文明国。エヴァンゲリカと隣接する関係で、国内にも一部の信者がおり、貿易も行っているものの、教団の迫害から逃れた亡命者も受け入れるなど長年緊張状態が続いていた。AD 1840年代にエヴァンゲリカによる武力侵攻で、西側諸国の支援を受けながら善戦するも最後は敗れ、エヴァンゲリカに併合される形で滅亡。

 

クヤニア諸国

Cuyania Nations

クヤニア大陸とその周辺の島々に存在した国々の総称。主な国はタワンティン(Tawantin)、ウォールマプ(Wallmapu)、ピンドレマ(Pindorema)、ムイスカ(Muisca)など。

独特の文化を持つ歴史ある国も多いが、古くから宣教活動などを通じてエヴァンゲリカの影響力も大きい。AD 1900から1930年代にエヴァンゲリカの大陸征服に向けた活動が活発になると、政治工作や武力介入により各国が次々とエヴァンゲリカの支配下に入り、最終的にすべての国がエヴァンゲリカ神聖連合の属国となった。

*1
発音は各国の言語によって違う。なお自国語では「イヴァンジェリカ」。

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