亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

105 / 107
百四話

 

 真はグリトニア帝国の秘境であるバニラ砂漠とも呼ばれる『白の砂海』へと向かい、その砂漠の主である上位竜の一体、グロントこと砂々波に会いに行った。

 

『女神』を倒すための戦力にするためで出来る事なら仲間にし、それが無理でも協力者になってもらおうとしていたのだ。

 

 そうして、少しでも有利に話が出来るように同じ上位竜の巴に万、御剣を連れてもいったが砂々波は竜としての誇りを尊ぶ性格と生真面目さがあり、真に力を証明してもらうと戦いをする事になった。

 

 真は砂々波に対して最近、出来るようになった『事象改竄』を試しながら、その実力を証明し、砂々波は真の仲間になる事を承諾。

 

 こうして、真は砂々波と支配契約を結ぶと彼女は妙齢の女性にしてスタイルも抜群な褐色肌で砂国の貴族めいていてアジアンテイストな衣服を着た姿となり、名は砂に関連した『沙』という名を与えられたのであった。

 

「若様……私は一生を貴方に捧げます。だから、どうか」

 

「ああ、しっかりと愛してやるよ」

 

「ありがとうございます」

 

 真は沙の心身ともにしっかり繋がり、彼女を自身の虜にもしたのである。

 

 また、愛し合いながら『沙』に話を色々聞いてみたところ、近々、沙は白の砂海を出てグリトニア帝国を留守にするつもりだったとの事。

 

 その理由は『魅了の力(今は無いが)』を持つ勇者岩橋智樹のせいである。彼の魅了にかからないよう若返りながら、逃げるつもりだったという。

 

 

 

「凄い迷惑かけまくってんな」

 

 真はそれを聞いて、只そう呟いた。

 

 まあ、リリ皇女も智樹の魅了の力を強化する実験をする事で沙を手駒にするように仕向ける事を考えるかどうかといえば、するほうだろう。

 

 女神を倒すために彼女は手段を選ばないのだから……そういう徹底さは真も持ってはいる。とはいえ、沙はもう自分の大事な仲間で女なので勿論、渡したり、奪わせたりなどしないが……。

 

 ともかく、一旦やる事は終わったのでリリ皇女に挨拶をして『亜空』に戻る事にする。そうして、次は魔族領で魔族との会談をすることになっている。

 

 というのも流石にケリュネオンを真達が領した事を向こうも察したのだ。まあ、国として経営を始めているので無理も無い事ではあるが……。

 

 なので、そうした話も含めての会談を行うのだ。

 

 それに備えようと考える一方で識と亜空よりライムを呼んで帝国を色々と探らせた結果、智樹はこの国に銃の概念を広めており、リリはそれの製造を色々と模索しながらやっている事が分かった。

 

 ライフリング技術など色々と智樹が雑な程度でしか語れなかったので暴発率やサイズの問題をクリアできずに結局、形に出来たのは多量の魔力を必要とし、何回かに一回は金属の弾を飛ばせる程度の物にしかなっていなかった。

 

 そしてその中で火薬の可能性に目をつけ、爆弾を色々と模索しながら作ろうとしているのが分かった。

 

 もし、智樹の魅了の力を失わせていなければ、彼の魅了で自爆要員が増えて……なんて最悪な事もあっただろう。

 

 

 

 まあ、結局のところ……。

 

 

 

「あいつはどこまで迷惑をかけりゃ、気が済むんだ。(いたずら)にいらん知識を伝えやがって……凄いのは多少なりとも形にしたり、そこから上手く扱いやすい物を考えるリリ皇女だが」

 

 

 真は智樹が面倒くさい物をこの世界に広めようとした事に怒りながらも、智樹の半端な知識から有用なものを考え付いてみせるリリ皇女の優秀さを称賛したのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。