亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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百五話

 

 表向きとしてはロッツガルドからギルドマスターのファルスという身分を持っている『万』からの依頼としてリミア王国と同じように魔族の襲撃を受け、被害が出たグリトニア帝国の帝都ルイナスへと冒険者である真は支援物資を届けた。

 

 それはあくまで表向きの事であり、本当は真と同じように女神への復讐への想いを心の内に秘めていたリリ皇女と手を結ぶために会う口実が欲しかった。

 

 真は勿論、巴の力をもってすれば相手に意識させずにその心の内を覗くなど造作も無い事である。こうして、リリ皇女と話をしようとした真は巴を欲するグリトニア側の勇者として女神からこの世界に転移させられた智樹に絡まれた。

 

 どこまでも自分本位な態度で目上に対する礼儀も何も無い智樹へ自分に敵対する事がどれだけ愚かな事かを思い知らせつつ、悪用する事で面倒な事にしかならない智樹の『魅了』を宿す目を引き抜いて潰す事で対応した。

 

 片目を失った智樹に普通の目を与える治療をしてやるという情けくらいはかけたが……しかして、物理的のもそうだが、この世界に転移するまでは引き籠りで虐められていた智樹のそのトラウマを抉ってやったのですっかり、智樹は真への恐怖に自分の力が通じなかったショックも含めてグリトニア帝国での自室に引き篭もるようになってしまった。

 

 

 

 真が智樹に対応している間にリリ皇女と話し合っていた巴と識により、リリ皇女は女神への復讐を企む者として真との協力関係を結ぶ事を良しとした。

 

 元々、そうだったが智樹はリリ皇女により、都合の良い兵器のようなものとして利用される事になるだろうとリリ皇女の優秀さから真は確信した。

 

 そして、グリトニア帝国に行くための表向きの理由を欲したのはもう一つ、あった。

 

 グリトニア帝国の秘境であるバニラ砂漠こと『白の砂海』を縄張りとし、訪れる者に試練を与え、乗り越えた者に自分の力であり、加護を与える上位竜の一体、グロント。

 

 又の名を『砂々波』に真は巴と万に御剣を連れて会いに行き、そうして戦いを通して彼女に勝利するとグロントは真の仲間になる事を誓い、真と支配契約を交わす事で『沙』の名を得たのであった。

 

 

 

 もっとも魅了を有する智樹の存在もあるので近々、若返る事でバニラ砂漠を去る予定だったとも聞いた。

 

 ともかく、グリトニア帝国での目的を果たした真は次の予定を済ませる事とする。

 

 魔族達への接触だ。

 

 

 

「魔族の国は若様が訪れるのに相応しいかどうか、しっかりと見極めて差し上げますわ」

 

「ああ、よろしくな澪」

 

「ははは」

 

 魔族の国に向かうのは真と澪に識であり、気合を入れた澪に対し真は笑みを浮かべ、識は苦笑するのであった。そうして、三人で待ち合わせ場所となっているケリュネオンから少し離れた場所へと向かうのであった……。

 

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