亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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百六話

 

 深澄真はグリトニア帝国でやるべき事を済ませたので次のやるべき事をする。

 

 それはこの世界で女神の加護を受けているヒューマンと戦争状態にある種族、魔族の国に行く事である。魔王が真や亜空に興味を持っているとの事だ。

 

 ロナが念話で伝えてきたので真は即座にその魔王からの申し出を受ける事にした。断る理由も無いし、それに同じく女神と敵対する者として協力関係になれないかとも考えている。

 

 魔王自体、中々優れた王だとも聞いている。以前、夏休みの時にとある泉近くにいた竜種を自分の生徒であるジン達が襲われそうになっていたのを真が倒した事があるのだが、後で識達に詳しくその周囲を探ると魔族が暗躍していた。

 

 それはあまりに優れた魔王に反感を抱く者達であった。故に真は容赦なく始末をしたのである。

 

 魔王がヒューマン、人間を憎んでいるなどで話も出来ない者なら会うのはまずいが、話が通じるなら、会談をするのに問題はない。

 

 もっとも、魔族からケリュネオンを奪った事については色々と話をせねばならないだろう。

 

 そもそも今は戦乱……奪われるのが悪い話ではある。

 

 ともかく、今日より真は集合場所に行って先に待っているだろうロナとイオと一緒に魔族の国へと向かう。

 

 共に連れていくと決めたのは、グリトニア帝国の時は巴に識に万に御剣を連れていったので、今回は澪と識を連れていく事とした。

 

 こうして三人でケリュネオンから少し離れた場所へと向かう。

 

 

 

 深い霧が周囲を包む中……。

 

 

 

「こんにちは……魔族の中でも高い地位に実力を有する魔将であるロナさんとイオさん、二人がわざわざ案内役を務めてくれる事、感謝する。今回はよろしくお願いします」

 

 真はロナとイオの二人の姿を発見すると近づき、二人へ礼儀を尽くした仕草をし、言葉も礼儀を尽くしたものとする。

 

「いえいえ、マコト殿の凄まじき力は私達は存分に見知っています。強き者に敬意を表するのは魔族としての礼儀でもありますから」

 

「同じく……それにマコト殿には色々、慈悲を受けた身。ならば礼儀も尽くします」

 

 ロナとイオの二人はそれぞれ、頭を下げて真のように礼儀を尽くす。

 

「まあ、儀礼的なものはこれで良いだろう。また会えて嬉しいぞ、ロナ」

 

「そ、そう……ふむ、んんぅ……」

 

 真は態度を普通のものにするとロナへと近づき、深く口づけする。

 

 

「……っはぁ……も、もう、何するのよ……」

 

 ロナは文句言いながらもその表情は蕩けているし、嬉し気である。

 

「物欲しそうにしてたからな……ともかく、行こう」

 

 こうして、真はロナとイオの二人、二人が従える魔族の兵と共にヒューマンでは訪れる事の出来ない未踏の領域である魔族の国へと向かったのであった……。

 

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