亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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百七話

 

 真は澪と識の二人をお供に魔将に地位にあるロナとイオの二人に彼女達が率いる魔族の兵と共に魔族の国へと向かう事になった。

 

 魔王と今後の関係などについて会談をする事になっているし賓客として丁重にもてなされる事にもなっている。

 

 戦争しているのもあるが、魔族の国はヒューマンが訪れた事の無い未踏の地だ。そもそもにしてヒューマン達が足を踏み入れるのはかなり厳しい環境というのもある。

 

 何故なら……。

 

「いや、これはヒューマンの国を取りたくもなるような。こんな過酷な環境の地で暮らすしかないってなったら」

 

 防衛の関係上、転移を使えないので数日間の道のりを進む事になっているが、魔族の領地は雪と氷の世界であった。

 

 見る分には美しかったりするが、吹雪は起きたりなど防寒の結界を展開したりなどしないと進むのは厳しい。

 

 時折、野生の魔物も襲ってきたがそれは魔族の兵が片付けた。

 

 そうして夜も近づいてきたので天幕を張り、野営をして一日過ごす。まあ、実際は強固な結界で覆ってから一旦、『亜空』に戻って食事をしたりなどして休んだが……。

 

 そして、『亜空』から野営地に戻って魔族との移動を再開。

 

 

 

 二日目は午前中は普通に進んでいたが、午後からは薄暗くなってきたと思ったらそこから一気に空が暗くなってきた。小一時間も進めば夜そのものとなり、地面は所々、完全に凍結しているので一歩一歩踏みしめて進まねばならなかった。

 

 雪も降るというより、地表を殴りつけるみたいに勢いが強く、とても人が足を踏み入れられる環境ではない。

 

 魔族は適応しているために普通に進んでいた。常闇とも言える状況で、真達は吹雪の氷原を進む。

 

「(南極か、北極とかもこんな感じかな……オーロラとか見えると良いんだが)」

 

 呑気な事を真は考えながら、今日も野営が始まると強固な結界を展開し、また『亜空』に戻ってしっかり休んだ。

 

 三日目の朝――太陽など昇らなかった。寒夜の世界を真達は進んでいく。

 

『ガアアアッ!!』

 

 何度かあった魔物による襲来が今回もあったが、今回の相手は中々の強さのものが出てきた。

 

 体毛が純白な巨躯のライオンの魔物である雪獅子であり、それが数匹の群れを形成していた。

 

「うぐっ!!」

 

 雪獅子は強く、陣形を整えようとした魔族の兵が噛み殺され、あるいは爪で引き裂かれる。

 

「氷の世界で暮らすだけあって中々、強いようだな」

 

 真は『界』を展開し、指を鳴らしながら『改竄能力』を発動。

 

 雪獅子の襲撃前まで時間軸を戻した。

 

 

 

「っ!?」

 

 雪獅子も魔族達も記憶は残っているために戸惑い、思考停止していた。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 その間に真は魔力体を応用した弓とそれに番える数本の矢を形成し、雪獅子に放つ事で全て射殺した。

 

 

「この魔物、素材として貰うからな」

 

「え、ええ……助けてくれてありがとう」

 

「同胞を助けていただき感謝する」

 

 真が雪獅子の死体を回収しながら話すとロナにイオは雪獅子を倒し、魔族の兵の命を救った事に感謝するのであった……。

 

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