真に巴と澪が最果ての荒野攻略の前線基地であるベース、『絶野』において冒険者活動を始めて一日でそれまで悪事を働きながら、絶野内の主力陣として君臨していたミルスたちを打倒し、新たに『絶野の英雄』として君臨した。
それにより、今まで滞っていた仕事(特別ランクに変更するなどして仕事を受けられるように処置)は片付き、真に巴と澪はAランクに昇格。
更に他の冒険者達の仕事も手伝う事でレベリングを支え、全体的な冒険者達の戦力増強をした。
そうして、三週間近く経過し……。
「マコト様、巴様、澪様……お話、よろしいでしょうか?」
冒険者ギルドに行くと職員から声をかけられ、応接室へと真達三人は呼ばれた。
「それで話というのは?」
「はい、実は真様達にこの仕事をやっていただきたいのです」
真からの問いかけに職員は一つの依頼書を見せた。
ランクとしては特殊ランクであり、依頼業務としては素材調達、希望素材はルビーアイの瞳6個という仕事。依頼主は『レンブラント商会』であった。
「レンブラント商会?」
「はい、レンブラント商会はこの絶野からベースを3つ経由して辿り着くアイオン王国の街、ツィーゲで一番の商会であり、そのトップのレンブラント氏は冒険者ギルドにとってもお得意様になります」
「しかし、ツィーゲにも当然、冒険者ギルドはありますよね。 どうしてわざわざ、僕たちに依頼を? ルビーアイの依頼はそんなにも難しいのですか?」
「いえ、確かにルビーアイはレアモンスターですし討伐も採取も難しくはありますが、本来は特殊ランクになるようなものではありません。ただ……」
真からの問いに職員は真達に依頼を受けてもらおうとする理由を説明し始めた。レンブラント商会による依頼は前からツィーゲで出されていたが現地の冒険者達はこの依頼を受けようとしなかったり、偽物を渡したり、他の地から来た冒険者の妨害をしたりなどレンブラント商会をどういう訳だか敵視している事を……。
「なら、ツィーゲの冒険者達にバレないように動く必要がありますね」
「おお、引き受けてくれますか」
「勿論。ただ、ツィーゲに行くならそこで冒険者としての活動や観光をさせてほしいですが……元々、この世界各地を旅しながら活動しようと思っているので」
「それはご自由に。真さん達のおかげで絶野の冒険者たちの戦力は上がりましたし、依頼も大分、片付きましたから」
「では、そうさせていただきます」
職員とのやり取りを交わすと真達は自分たちが拠点としている屋敷へと戻り、一緒に暮らしているトアたちにツィーゲに行く事を言うと彼女達も同行する事を申し出たので、依頼の内容やツィーゲの冒険者達の事を考えて別々に行動する事にした。
一人あたり金貨二十枚くらい、荷物は別料金で順番待ちになるが転移魔法陣を使って絶野のベースからツィーゲまで転移魔法陣を乗り継ぐ事で僅かな日数で移動する事が出来るのだ。
なのでトアたちに先に現地入りして宿の用意やら冒険者達の情報収集などをしてもらうために必要な資金を渡し、先に行ってもらった。
その後、真に巴と澪の三人はというと……。
「やっぱり、良いな。オルトの乗り心地は……」
「高い視点も良い感じですな」
「馬車を使うより、遥かに早いですしね」
『ありがとうございます、若、巴様、澪様』
エルダードワーフ特製の鐙や手綱を装着したオルトに真は巴に澪は乗って移動していた。無論、『隠蔽』の界をして自分たちの姿と気配を隠してだ。
その速度はとても速く、本来馬などで移動する結構かかる移動日数よりも短い日数でツィーゲまでのベースを次々と越えていき……。
『む、若……』
「ああ、いるな」
森の中を移動していたオルトの嗅覚と真の『索敵』の界が十km近くの遠距離にいるルビーアイという蜂型のモンスターを捉える。その数は六匹だ。
そして、オルトが動きを止めると真は背中に背負っていた長弓を持ち構えると、矢筒を三本ずつ、二回引き抜きながら超速連射する事でルビーアイ六匹の腹部を全て射抜き殺すと依頼の数より倍、十二個のルビーアイの瞳や他の素材も収穫した。
もっとも今までの道中でもルビーアイの通常種、レッドビーとサイズアント等ルビーアイ以外のモンスターを倒し、素材を収穫していたりもするが……。
「良し、これで依頼自体は達成だ」
「流石の幸運ですな、若」
「若様ならば当然ですわ」
順調に依頼達成に必要な素材を獲得した真はそのまま、レンブラント商会に向かうべく、オルトを再び走らせてツィーゲにとてつもなく速いペースで向かうのだった……。