魔将を務めるロナとイオの案内の下、魔族の国であり、都へと向かっている真達。
転移が使えないため、数日かかる道のりを進んでいるが魔族領は地球で言うと南極や北極のような氷と雪の世界だ。進めば進むほど、日の光も差さない寒夜の空に変わっていく。
そうした厳しい環境であるが、真に澪に識にとっては防寒の結界を展開すれば問題無い代物であり、特に真はそれがなくともどうとでも対応出来るものである。
野営をする度、亜空に戻って休んだりもしながら真達は魔族の国へと向かう。
「ようこそ、おいでくださいましたマコト様っ!!」
その道中、魔族の集落に宿泊する事になる。
基本、青い肌に頭部に角を有するのが特徴的な亜人、魔族の者達はヒューマンと敵対しているとはいえ、流石に魔将のロナとイオの客人に対し敵意を向けるような事はしなかった。
因みに雑な扱いをされているとはいえ、女神が生み出した存在ではあるので魔族の者達も基本、美形である。
更に魔族の価値観は力であり、恐れられない程度、かつそれでも圧倒出来るだけの力を漂わせてみせると黄色い声や歓声を送られて歓迎される。
「貴方様ほどの方をこの集落に歓迎できるとは光栄です。どうぞ、一晩、ごゆると休んでください」
「光栄なお言葉だけでなく、手厚い歓迎ありがとうございます」
集落の長を始め、真達は手厚い歓迎を受けた。
魔族は都以外でも一枚岩であり、魔王は善政を敷いて支持を得ているというアピールはあるだろうし、魔王についての話を聞けば、皆が褒めたたえていた。
実際、魔王は王として、優れた者であると識にも真は聞いているので本当に慕われているんだなと思った。
流石に集落では『亜空』に転移もしない。そうして十分、満足できるだけのもてなしを受け……。
『わあああああっ!!』
「ふふ、中々良い歓迎だな。パレードも悪くない」
「皆、若様の威光をしっかりと感じているようですね」
「ええ、若様の覇気は圧倒的ですのでしっかり身に刻んでいるでしょう」
魔族の都に到着すれば真達は豪華な装飾が施されたオープン馬車に乗せられ、門から城まで大行進をする。
その間、真は王者の如く、足を組みながら座り、自分達を見る魔族達に視線を向ける。力はしっかりと漂わせているのもあって魔族達は一瞬、言葉を失いながらも次の瞬間には歓声を送ったのだ。
そして、城に到着すると広々とした部屋に通され、魔王に謁見する準備が出来るまでの間、待機させられる。
「失礼いたします。冒険者マコト=ミスミ様。謁見の準備が整いました」
呼びに来た魔族達に応じて謁見の間に連れられ……。
「ようこそ、魔族の都へ。良く参られたマコト殿。余は魔族の王、名が長くて面倒なのでな、マコト殿にはゼフと覚えておいてもらえれば良い」
短めの金髪、両耳の上あたりから羊のような曲がりくねった太い角を生やした四十になったかならないかぐらいの見た目の魔族の男で豪奢なマントを身に着けたゼフは自ら玉座に座らず立っており、真へと近づいて自己紹介しながら歓迎する。
「王自ら、このように歓迎いただけて本当に恐縮で光栄ですゼフ様、私は冒険者をしているマコト=ミスミ。そしてこちらは私を支えてくれている従者の澪と識です」
真はゼフに自己紹介をし、澪と識にも自己紹介を促した。
「ふふ……まさか、余を以てしてマコト殿たちの強さを計り切れんとは……改めてこの魔族の都に歓迎できたことを嬉しく思う」
「こちらこそ、魔族の都に招かれて嬉しく思います」
苦笑を浮かべながら、ゼフは真に手を差し出し、真はその手に応じて握手を交わすのであった……。