亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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百十話

 

 真は澪と識と共に魔将のロナとイオ、魔将二人が率いる魔族の兵と共に魔族の都へと向かった。

 

 都の近くにて集落に立ち寄ると元々、真達がロナとイオの客人である事は伝わっていた事や強さを尊ぶが故に戦争中とはいえ、ヒューマンであっても種族が関わらない冒険者とかそういうものなら敵視もしない事から真達は歓迎されたし、もてなされたのだ。

 

 逆にヒューマンでも『荒野』で活動する者は『荒野』に来た魔族を普通に受け入れるし、協力もするのである。無論、荒野は実力が無いと開拓も何も出来ない厳しい環境であるという前提があるが……。

 

 ともかく、そうして次に魔族の都へと向かった。すると城までパレードによる歓迎をされた。城の中に入って『謁見の間』に向かえば、魔王ゼフが直々に出迎えた上で友好的に接してきたのだ。

 

 そうして、軽食をつまみながら話をする事になる。

 

 話をするのは真と澪と識、ゼフ側は身内、彼の子の四名という事になった。

 

 

 短く切り揃えた藍色の髪に山羊みたいな角、背は高いが物腰は柔らかそうな魔族の男であるロシェ。

 

 落ち着いた雰囲気を纏い、軽装ながら鎧を身に着けている魔族の女性のルシア。

 

 長い銀髪を束ね、眼鏡を切れ長の細い目の上に掛けた魔族の男のセム。

 

 長いストレートの金髪に未熟な一本の角、小柄な少女の姿をしているサリ。

 

 この四人である。

 

「魔族領では友好的に接してもらえたから、俺も心の内を多少開きましょう」

 

 席に着くと真はそう、前置きする。

 

「まず、ゼフ殿たちは気になっているでしょう。私達が何を目指しているか……最終的な目標はこの世界を管理する女神から神の座を奪い、徹底的に蹂躙した上で殺す事。そして、俺がこの世界の新しい神になる事です」

 

『っ!?』

 

 真は自分の目的をゼフ達に話した。

 

 「私の正体は勇者である音無響や岩橋智樹と同じ世界から来た者です。ただ、女神から顔が見にくいからと荒野に捨てられました。幸い、力はあったのでこうして生きる事が出来ていますが」

 

「つまりは復讐という事か?」

 

「有体に言えば、そうです。あまりにも理不尽な目に遭いましたから……だから、私は魔族とも女神に敵対する者どうしとして、協力したいと考えています」

 

「……ふむ、だったらなぜ、音無響の抹殺やステラ砦の際は妨害したのだ?」

 

「音無響は私と同郷であり、身内ですからね……そして、岩橋智樹も私の代わりにこの世界に女神によって召喚された者なので責任として守っただけです。まあ、岩橋智樹は屑だったのでもうどうでも良いですよ。音無響は困りますが……」

 

 

 ゼフの言葉に真はそう返す。

 

 

「本当に協力したいと思っているのか?」

 

「ロナにもその旨は伝えています……ただ、女神に復讐する上で地盤が欲しい。ケリュネオンを含む衛星国家『エリュシオン』を譲ってもらいたいんです。そうして頂けたなら、魔族に対して国として友好的に交流しますし、戦争の際には助力もしますよ……この都での生活を通して色々と判断して頂ければ……」

 

「堂々と言うとはな……ならば、見極めさせてもらおうとしよう」

 

「ええ、そうして頂ければ」

 

 互いに笑みを向けながら、真にゼフ、そして真が気持ちを語りながら滲ませている雰囲気に圧倒されるロシェにルシアとセムにサリは息を呑むのであった……。

 

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