亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

112 / 112
百十一話

 

 真に澪と識は魔族の都へと行けば国賓として扱われた。驚きなのは謁見の間に行けば玉座に座らず、立って真達を出迎えた。

 

 そして軽食を摘まみながら歓談するとして、ゼフの子の四人であるロシェとルシアにセムにサリとも引き合わせられた。

 

 因みに魔族においては『王』を能力で選ぶ。選出の過程には多少権力が影響する事もあるがそれでも結果としては実力に長けていないと魔王にはなれない。

 

 そして、次期魔王の卵を魔族は魔王の子と称するのだ。それは兄弟姉妹に派閥が出来るというものではない。血筋などとは無関係に集められた数百人の有望な子が魔王となるべく王の教育を施される。その集められた子が皆、魔王の子と称されるのだ。

 

 次代の魔王はその中から選ばれるのだ。

 

 そして、魔王候補はロシェとルシアにセムにサリに絞られている。次の選考で魔王が決まるのである。一人が魔王になったとして、王になれなかった三人も相応のポストを与えられ、次代の魔族を王と共に導く役割を担うのだ。

 

 しかし、真は見抜いていた。魔族達の多くもそして、本人すらも知らないがサリは本来、血筋とは無関係の筈の『魔王の子』の中で唯一、ゼフの血を引く娘である事を……。

 

 相手の事を知るために『界』を歓談中に仕掛けてゼフ達の記憶も何もかもを把握していたのである。

 

 そしてゼフは結婚していない。サリはゼフの一時の愛人が生んだのである。

 

 無論、魔族の掟もあってゼフはサリに対して便宜を図ったりなどはしていない。親として遠くから見守る事はしているが……彼女が今、魔王候補の四人の中にいるのは自分の実力だ。

 

「(ゼフの事も考えれば、それとなく目を掛けてやるか)」

 

 真は贔屓しない程度にサリと親しくする事を決める。

 

 それはそれとして……。

 

「では、街案内よろしくお願いします。ルシア殿」

 

「ああ、任された」

 

 真はルシアに街案内を頼む。無論、ルシアが自分の好みだからであり、誰を出せば交流をしやすいかなどを示しておけば交流はやりやすい。

 

 因みにルシアは魔将の二人、イオとレフトを師として武と術を教わっている生粋の武人である。だからこそ、気づいていた。真に対してその力を図ってみたいという気持ちを抱いているのを……。

 

 そうして、街に繰り出しながら……。

 

「さて、ここでは時間も他人の目も気にする必要はない。手合わせをしようか、武人が知り合うならそれが一番だし、稽古をつけてやろう」

 

 『改竄』によって異空間にお互い、転移させた。

 

「……っ、喜んで!!」

 

 ルシアが槍を出すと真も『改竄』でルシアの槍と同じものを出して、手合わせを繰り広げていく。ルシアはイオから相手の急所を見出す手法を継承しており、レフトから後の先を学んだことによる技巧派であった。

 

「中々、美しい槍だな」

 

「真殿には及びません」

 

 真はルシアの槍の技を賞賛したが、ルシアは動きの一つ一つが絶技である槍の舞を見てひたすらに虜となっていた。

 

「今後も望むなら、稽古をつけてやる……これはその証だ」

 

「は、はいぃ……」

 

 戦いが終わった後、真はルシアに口づけし、ルシアはそれを受け入れていくのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚(作者:枝那)(原作:僕のヒーローアカデミア)

超人社会。個性と呼ばれる異能が溢れる世界に、その理を超越する子が誕生した。


総合評価:6933/評価:7.95/連載:28話/更新日時:2026年04月13日(月) 00:00 小説情報

魔法科高校の異端魔術師(作者:もやしになりたい)(原作:魔法科高校の劣等生)

死の間際、佐藤雄馬は他人を庇って命を落とした。▼その死は、本来あるはずのないものだった。▼神の手違いにより、『魔法科高校の劣等生』の世界へ転生した雄馬は、英霊たちとの縁を与えられ、新たな人生を歩み始める。▼そこで彼が触れたのは、魔法が技術として完成された世界と、英霊たちが語る神秘としての魔術だった。▼想子によって情報体へ干渉する“魔法”。▼魔術回路と魔力によ…


総合評価:2445/評価:7.17/連載:37話/更新日時:2026年05月14日(木) 16:46 小説情報

第四の壁を越えて(作者:タカリ)(原作:HUNTER×HUNTER)

死んだと思ったらハンターハンターの世界に転生した。ゴンの兄だった。▼原作にガッツリ関わる立場になっちゃったけど、別に自重しなくていいよね?


総合評価:7360/評価:7.8/連載:66話/更新日時:2026年05月27日(水) 12:25 小説情報

【魔法美容師(マジカルエステ)】を得た転生者は栄耀栄華の夢を見るか(作者:好きな念能力は4次元マンション)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 主人公『修善寺念治』は気づくとリカバリーガールの孫に転生していた。▼ しかし全く『個性』に目覚めずにいると、4歳の誕生日に個性を発現する。しかもなんとHUNTER×HUNTERの【魔法美容師(マジカルエステ)】だった。▼ これは【魔法美容師(マジカルエステ)】を個性に宿した少年がその力を使って栄華を極めるまでの物語だ。


総合評価:11412/評価:8.4/連載:7話/更新日時:2026年05月06日(水) 22:00 小説情報

前世がYAMA育ちな菜月昴の異世界生活(作者:雨天)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

▼ 菜月昴に転生したオリ主が前世での死の経験から終わりに不安を抱えながらも二度目の人生を順調に歩んでいると、原作通りに異世界に召喚されてしまい、色々吹っ切れた結果人助けしながら異世界で生きて行くことを決める話。▼ 尚、菜月昴の前世はYAMA育ちである。▼ タイトルを改訂しました。旧タイトル『菜月昴成り代わりオリ主』▼ 活動報告はXで行っています。▼ → ht…


総合評価:6072/評価:8.06/連載:12話/更新日時:2026年06月29日(月) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>