真に澪と識は魔族の都へと行けば国賓として扱われた。驚きなのは謁見の間に行けば玉座に座らず、立って真達を出迎えた。
そして軽食を摘まみながら歓談するとして、ゼフの子の四人であるロシェとルシアにセムにサリとも引き合わせられた。
因みに魔族においては『王』を能力で選ぶ。選出の過程には多少権力が影響する事もあるがそれでも結果としては実力に長けていないと魔王にはなれない。
そして、次期魔王の卵を魔族は魔王の子と称するのだ。それは兄弟姉妹に派閥が出来るというものではない。血筋などとは無関係に集められた数百人の有望な子が魔王となるべく王の教育を施される。その集められた子が皆、魔王の子と称されるのだ。
次代の魔王はその中から選ばれるのだ。
そして、魔王候補はロシェとルシアにセムにサリに絞られている。次の選考で魔王が決まるのである。一人が魔王になったとして、王になれなかった三人も相応のポストを与えられ、次代の魔族を王と共に導く役割を担うのだ。
しかし、真は見抜いていた。魔族達の多くもそして、本人すらも知らないがサリは本来、血筋とは無関係の筈の『魔王の子』の中で唯一、ゼフの血を引く娘である事を……。
相手の事を知るために『界』を歓談中に仕掛けてゼフ達の記憶も何もかもを把握していたのである。
そしてゼフは結婚していない。サリはゼフの一時の愛人が生んだのである。
無論、魔族の掟もあってゼフはサリに対して便宜を図ったりなどはしていない。親として遠くから見守る事はしているが……彼女が今、魔王候補の四人の中にいるのは自分の実力だ。
「(ゼフの事も考えれば、それとなく目を掛けてやるか)」
真は贔屓しない程度にサリと親しくする事を決める。
それはそれとして……。
「では、街案内よろしくお願いします。ルシア殿」
「ああ、任された」
真はルシアに街案内を頼む。無論、ルシアが自分の好みだからであり、誰を出せば交流をしやすいかなどを示しておけば交流はやりやすい。
因みにルシアは魔将の二人、イオとレフトを師として武と術を教わっている生粋の武人である。だからこそ、気づいていた。真に対してその力を図ってみたいという気持ちを抱いているのを……。
そうして、街に繰り出しながら……。
「さて、ここでは時間も他人の目も気にする必要はない。手合わせをしようか、武人が知り合うならそれが一番だし、稽古をつけてやろう」
『改竄』によって異空間にお互い、転移させた。
「……っ、喜んで!!」
ルシアが槍を出すと真も『改竄』でルシアの槍と同じものを出して、手合わせを繰り広げていく。ルシアはイオから相手の急所を見出す手法を継承しており、レフトから後の先を学んだことによる技巧派であった。
「中々、美しい槍だな」
「真殿には及びません」
真はルシアの槍の技を賞賛したが、ルシアは動きの一つ一つが絶技である槍の舞を見てひたすらに虜となっていた。
「今後も望むなら、稽古をつけてやる……これはその証だ」
「は、はいぃ……」
戦いが終わった後、真はルシアに口づけし、ルシアはそれを受け入れていくのであった……。