現在、真と澪に識がいる魔族の都は古くから魔族の歴史や魔族の全てが詰まった場所ではある。しかし、魔族は当に遷都を済ませていて、本来の首都は海沿いに都を有する大都市となっている。
まあ、幾らなんでも氷の世界のような環境的に厳しい場所で生活をし続ける理由も無いし、戦争中のヒューマンはともかく、他の亜人との交流によって物資や資金を得る事などを考えればやはり、いろんな面で利便性、交通の事を考えなければならないのでむしろ、遷都はすべきだ。
敢えて真達をこの都に呼んだのは真に魔族という種族の事を良く理解してほしいというゼフの心配りからであった。
そんなゼフの心情を聞き、理解した真は魔族との交流を深める事はしっかり決めていた。そもそも、自分が復讐を誓っている女神と敵対する種族という時点で協力関係を結ぼうとはしているのだ。
状況により、諸刃の剣とはなってしまう可能性もあるが『敵の敵は味方』というものである。
そうして魔族の都を訪れて二日目――真は澪と共に次期魔王候補である『魔王の子』だが実はゼフの実の娘で魔将ロナから教育と指導を受けているサリと魔将のイオとレフトから指導を受けていて、真の好みの女性であった事からロナと同じように篭絡されたルシアの案内でこの都にある地と火の上位精霊がいる神殿へと向かい始めた。
「改めてもマコト殿の大胆さには驚かされる。自分の目的をあの場で明かされるとは……」
都の中を歩く中、サリは真がこの都の城に来て、ゼフとサリにルシアとセムとロシェと軽食を摘まみながら、早々に自分の目的を明かした事に言及する。
「隠す理由も無いからな。それだけ、魔族とは良い関係でいたいんだよ」
真は不敵に笑みを浮かべて言う。サリとルシアそれぞれから敬語は不要だと言われている。
「女神から神の座を奪い、この世界の新しい神となる……普通なら世迷言や与太話の類でしかないが、真殿は本当にやり遂げてしまいそうな雰囲気を感じる」
「やり遂げてしまいそうじゃ無く、やり遂げるんだ。是非とも、魔族にも協力してもらいたいけどな」
「まあ、こちらとしても真殿たちには協力してもらい、ヒューマン及び女神との戦争には勝ちたいと思っている」
「それは当然だろう。それにこの世界とは別の世界から来た者の視点からしてヒューマンの魔族は勿論、亜人たちに対する差別意識は本当に酷いからな。そうした意識を変えてやる必要はあるし、追い詰められるべきだ」
真はサリの言葉にそう断じた。
「一緒に戦うとあらば、私は力になりますよ。マコト殿」
「それは俺も同じだ。ルシア」
ルシアが笑みを浮かべながら好意を込めた声で言えば、真も同じく好意を込めて言う。
「ともかく、仲良くやっていこうサリ」
「っ……は、はい」
サリへと彼女の頭を撫でて真が微笑めば、サリは心地良さを感じ、目を細めると次の瞬間には微笑みを浮かべたのであった……。