真に澪の二人は魔族の都にある地と火の上位精霊がいる神殿を見学のために『魔王の子』であるサリとルシアに案内されながら街を歩いていた。
しかし、神殿二つが並ぶ場所の景色が歪んでいる事から異変が起きているのを察した。真が見た感じ、地と火の精霊の力が競うように高まりながら混じり合って周囲に力場を発生させていたのである。
どうするか聞いてみると二人とも調査に協力したいと言ったので真は了承した。
神殿に近づいて揺らいだ力場の中でサリがロナ仕込みの魔術によって進入路をこじ開けてみせたのでそれを使って神殿内に入る。
「凄い賑やかだな。今日は精霊たちにとっては祭りなのか?」
神殿内に入ると地と火の精霊が踊り狂って騒ぎまくっていた。密度の濃い属性魔力の塊のような精霊が暴れているのでこの神殿内に人が入ったりすれば間違いなく傷つくし、下手をすれば死んでしまうくらいに危険だ。
そして石や金属が球や突起物と化して空を乱舞しており、それらを取り巻くように色とりどりの炎が新手のアートみたいに派手に暴れている。
かすかに人を象った赤や黄色の光、自我を持たない下位の精霊が現れては消えたかと思えば、カナヘビよりも一回り大きいサイズのトカゲが体に火を纏って、地を這いまわっている。
白雪姫に出てくる小人のような精霊がハンマー片手にそこら中を叩いて回っている。
「そんな事はないですよっ!!」
「流石に骨が折れるっ!!」
サリとルシアは精霊たちによる四方八方からの縦横無尽な攻撃から真と澪を守りつつ、進んでいる。
「いつもはこうした攻撃をしてくる事も無く、安全に進めるのですけどね」
「くう、一体どうしてこんな事に……」
対処がだんだん間に合わなくなってもいた。単純に攻撃の物量が多すぎるのである。
「手を貸そうか?」
「……すみませんが、よろしくお願いします」
「頼みます」
真の申し出にサリとルシアはそれぞれ、ありがたいという表情を浮かべて受け入れた。
「良し、じゃあさっさと進もうか」
真は『界』を展開し、精霊たちの攻撃が触れた瞬間に逸れ続けるようにした。
「ああ、これなら楽ですわね。流石、若様です」
「なんて障壁を……」
「やはり、只者じゃないですね」
こうして進みながら、精霊たちによる乱痴気騒ぎに巻き込まれないよう、身を隠していた神殿へと祈りにやって来た魔族たちの気配を察したので近づき……。
「あれを潜れば神殿から出られるぞ」
空間に穴を空ける事で都の方に出られるようにし、避難させた。
「私が開けるのにあれだけ苦労したというのに……つくづく、凄まじいです」
「魔術の腕も超絶級か……」
「しっかりと刻んでおきなさい。それこそが若様なのです」
驚愕の表情を浮かべるサリとルシアに対し、澪は真の事を誇るのであった……。