ツィーゲの地において一番の商会の座を手にしている『レンブラント商会』権威と勢力は絶対的である。ツィーゲが属しているアイオン王国の王族ですら無視できない程に……。
そしてレンブラント家の豪邸はツィーゲの郊外にあった。
「この度は三人とも呪病からの回復おめでとうございます。改めまして、僕の名前はミスミ・マコト……素顔は重傷で到底、人に見せられるものではないので仮面をつけている無礼、お許しください。よろしくお願いします」
「わしはマコト様の妻、ミスミ・巴じゃ」
「私もマコト様の妻、ミスミ・澪ですわ」
今回、真に巴と澪は呪病から回復し、屋敷内を歩けるようになるまで回復したレンブラント商会の代表であるパトリック・レンブラントの妻であるリサと長女のシフ、次女のユーノと対面していた。
三人からお礼を直接言いたいとパトリックを通じて頼まれたからである。
「ツィーゲの商人レンブラントが妻、リサです。この度は命だけではなく、呪病で醜くなっていた見た目も治してもらい、主人の商売においてもかなり好条件な付き合いをして頂いていると聞いております……感謝の言葉もございません。多大な御恩は忘れず、私に出来る限りの事を以ってマコト様に報いる事を誓います」
「ツィーゲの商人レンブラントが長女シフでございます。お母さまや妹のユーノ共々、死すら覚悟していた日々から救っていただき、感謝してもしきれません。私の全てを懸けても必ず貴方様に報いたく存じます」
「同じく次女ユーノです。また、お父様にお母さま、お姉さまやモリス達と平和に過ごせるようになったのは何もかも、マコト様のお陰です。ボ……私達に出来る事なら何でもお申し付けください」
リサにシフ、ユーノ等はそれぞれ、真に対し深い感謝や畏敬の念を示した。
実際、三人からすれば真は呪病を治療できる魔法薬の素材の提供から呪病の効果で醜くなっていた見た目からの完全復帰、それだけでなくパトリックを通じて治療効果のある薬や栄養豊富であり、ステイタスアップの効果も宿している亜空での果実の提供などして完全治療にまで力を尽くしてくれた救世主のような人物であるのだから当然だ。
「感謝とお言葉、ありがとうございます。ですが、僕はパトリックさんの依頼を受け、満足してもらえるように仕事をしただけなので、あまり気負ったりはしないでください。恩で縛るような事はしたくないですし……とりあえず、親しく交流して頂ければ、僕は満足なので」
「謙虚な態度……若いのに立派な方ですわ。こちらこそ、親密に交流させてください」
「是非、お願いします」
「お願いします」
リサを始め、感動したような表情を浮かべるとそれぞれまた頭を下げた。
そうして、その後は見舞い品として持ってきた亜空の果実を食べながら談笑をしてそれなりに楽しい時間を過ごした。
その後、真はレンブラント商会の店舗へと行き……。
「ありがとう、マコト殿。妻たちに会いに行ってくれて。君たちとの話は楽しかったと言っていたよ」
「なら、良かった……それじゃあ、今回の商談に移ろう」
パトリックから礼を言われると受け取ると幾つかの品を出す。
真はレンブラント商会に亜空での果実や作物、アルケーたちに作らせている薬の一部やエルダードワーフの武具や防具を販売させている。
一応、出所は最果ての荒野の秘境という事にしているがそもそも、『レンブラント商会』の権威と勢力は絶大なので探ろうとする商会は存在しない。そうして亜空での品はどれも高品質、高性能なのもあって需要高く、レンブラント商会は儲けており、その儲けから結構な分を提供代として真はレンブラント商会から得ていた。
「エルダードワーフが外での武器や防具に触れてみたいし、なんなら修理や製造の依頼も受けてみたいと言っている。店員として雇ってやってくれないだろうか?」
「エルダードワーフ……本当にマコト殿は人脈も凄いな……こちらとしてはむしろ願ったり叶ったりだ」
亜空で武具や防具を鍛造しているエルダードワーフの一部、ベレンなどは外の世界でヒューマンの武具や防具に興味を示しているので、真はレンブラント商会に店員として雇ってもらう事を提案し、パトリックはそれを受け入れた。
因みにレンブラント商会は真との取引で奉仕活動に精を出しているが、元々孤児院に向けて財政的な面倒を見たりしており、だからこそ孤児院出身のライムは改めて真に礼を言ったりしている。
レンブラント商会に恩があったのに仇で返すところであったからだ。
「じゃあ、よろしくな」
「ああ、こちらこそ」
そうしてエルダードワーフの件についての話を終えた時……。
『(若様、アンブロシアの花を見つけましたわ)』
そう、澪から念話で連絡が入った。
アンブロシアの花とは秘薬アンブローシアの原料であり、リサ達の呪病を治療するために用意しようとした時にはアンブロシアの花の蜜を吸ったレッドビーことルビーアイの瞳で代用した。
ルビーアイが居た森の近くにアンブロシアの花があるだろうと辺りを付け、植物と意思疎通能力がある澪に真は探らせていたのだ。
「(予想的中で何よりだな。それで気になる事でもあったか?)」
『(どうやらアンブロシアを守る種族がいるようです)』
「(なら、その種族に会う必要があるな)」
澪の意見に真はそう応じ、準備をするのであった……。