亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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十八話

 

 ツィーゲから少し果ての森は、Ⅽランク以上の冒険者でないと入れないだろうと冒険者ギルドからは評価されている。そこへと向かった者も捜索しに向かった者も全員が帰ってこなくなったからだ。

 

 どんどんと森における依頼のランクも跳ね上がってさえいる。澪が真の頼みでアンブロシアの花の一群が咲いているのを見つけたのはその森であった。

 

 彼女の能力でアンブロシアの花と意思疎通したところあくまで自称であるが、森を管理する種族がいて住んでいるとの事。真は一旦、澪を亜空へと帰らせ、巴と共に待機させる事にし、真は自分一人で森へと向かった。

 

 一人で行動した方が出会う者に対し、油断させやすいからである。

 

 

 

 

「おっと……やり合っていたか」

 

 探索の界を広げてみれば冒険者六人が赤い瞳に白髪は同じだが、長髪と短髪、褐色肌は同じだが高身長に低身長、グラマーにスレンダーと特徴は対照的な亜人で真のいた世界で言うエルフに似たような二人の女性に襲われていた。

 

 白い長髪に高身長、グラマーなスタイルの方の武装は弓、白い短髪に低身長、スレンダーなスタイルの方の武装は杖で術師である。

 

「とりあえず、助けるか」

 

 真は自分を中心に界の範囲を冒険者達まで広げると転移能力を付与すると自分の下まで転移させる。

 

『え?』

 

「じゃあ、邪魔だから帰ってくれ」

 

 界の範囲を狭めると記憶を弄る魔法を発動して忘れさせ、そのまま森に立ち入らないようにする暗示をかけるとツィーゲへと帰らせた。

 

 

 

「な、ど、どういう事だ!?」

 

「アクア。ヤバいよ、絶対、碌でもない事が起きる前触れだよ。これ」

 

 二人の亜人はいきなり冒険者達が消えた事に混乱する。

 

 

「(巴、あの亜人の種族は分かるか?)」

 

『(はい、若……あの者たちは森鬼です)』

 

 離れた場所の事象を映像として認識できる能力を使って状況を見ている巴に念話で尋ねてみれば二人の亜人の種族名は森鬼と返事をした。

 

 森に住みながら、精霊と決別した古きエルフの祖の一柱、森と同化する道を理想とする同族に反発し、植物との対話能力を自ら捨てた種族でその生き方は真の世界で言うなら、古来の樵の生き方に近いという。

 

 もっと言えば巴は森鬼の一人に昔、血の涙を流して乞われたのでその集落に対し、霧幻結界を施してやったとの事。

 

「ともかく、話すとしようか」

 

 そうして転移の界によって森鬼の二人の前へと転移した。

 

 

 

「失礼、森鬼のお二人さん。僕の名前はミスミ・マコトと言う。話を聞いてくれないだろうか?」

 

「っ、コボルト!? いや、それにしては……ともかく、どこから。というより、何故我等の事と我等の言葉を……」

 

「アクア、下手な事をしない方が良いよ。まじでヤバいって啓示がびんびんだもん」

 

 仮面を外してヒューマンたちが言うコボルトの亜人に似た顔の真が急に現れた事にアクアという森鬼はやはり動揺、そんなアクアを巫女であるエリスが自分が感じ取っているものから真剣な様子で注意を促した。

 

「話さえしてくれたら、なにもヤバい事にはならないよ。もっとも手を出してくるというなら抵抗はさせてもらうが」

 

『!?』

 

 真は森鬼たちに対し、魔力の一部を解放してみせると空間を震わせながら、力の差を理解させた。

 

「さて、僕の方は名乗ったから名乗ってくれないか?」

 

「……アクアだ」

 

「エリス」

 

 白い長髪の弓使いがアクアと名乗り、短髪の術師がエリスと名乗った。

 

「よろしく、アクアにエリス。さてどうやら君たち森鬼はこの森の管理者をしていて、アンブロシアの花を守っているようだが残念だけど、ヒューマンたちはそれを知らない。周知するためにも村へと案内してくれないかな?」

 

「威圧しといて、よく言う。脅しではないか」

 

「アクア、頼むから下手な事を言わないで」

 

「いや、間違ってないから構わないよ。でも結局、こういうのは相手より有利になる方が早いからね」

 

 そうしてアクアとエリスに案内させて森鬼の村へと行き、二人が事前に入り、そうして説明したので後は村の代表たちに会って話をするように促された。

 

「(何か邪悪な奴が紛れ込んでいるな)」

 

 森鬼の村になにやら邪悪な存在が紛れ込んでいるのを感知しながら、真は複数の長老たちがいる部屋に案内されると……。

 

「この方が色々と手っ取り早そうだから、させてもらう」

 

 真は霧を巡らせて本来の『亜空』へと自分と長老たちを隔離すると……。

 

 

 

 

「久しいのぅ、ニルギストリ。壮健で何よりじゃ」

 

「確かに私はニルギストリだが、お前は誰だ?」

 

「ほう、血の涙を流して儂に霧幻結界を乞うたくせに死にたいのかの……姿が変わったくらいで分からぬとは耄碌したか」

 

「っ、し、蜃様!?」

 

 巴を呼び込み、そんなやり取りの後、森鬼の長老たちと巴を交えて色々と話を交わすのであった……。

 

 

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