リミア王国とグリトニア帝国がそれぞれの勇者を旗印に連合軍を組み、魔族に奪われた『ステラ砦』を奪還しようと決戦を仕掛けようとした。しかし、魔族は罠を仕掛けており、『奈落』によって軍の大半を失ってしまう。
総力戦は一瞬にして撤退戦へと変わったがなんと魔族は女神による呪いの対策をしており、ヒューマンや勇者に与えている祝福の無効化をする道具をも作り出していた。
どう見てもヒューマンたちの危機だ。グリトニア側の勇者である岩橋智樹は不死の加護も無くなったので瞬時に逃げ出したが、リミア王国の勇者で自分の高校の先輩である響が戦おうとしていたので真は介入する事にし、魔族がリミア王国へと別動隊を出しているのを教えながら、響を撤退させた。
そして、今……。
「ぬうんっ!!」
ステラ砦の守りを任されている四つ腕の巨人にして魔将の中でも最強の戦闘能力に加え澪には及ばないが、高い再生能力を有するイオが真へと拳を放つ。
「ふ」
それを真は軽く手を動かす事で払った。
「くっ」
イオは次々と真の倍のある数の腕を使っての拳撃と蹴撃による奇襲も行い、卓越した格闘技を駆使するが……。
「成程、中々だな」
真はその全てを軽く手を動かす事で払ってしまい、そして……。
「はあっ!!」
「ごおっ!!」
イオの攻撃を払った事で彼に隙が出来た瞬間、拳撃を放つと炸裂し、胴体を吹っ飛ばして大きな穴を空けるとイオは大きくよろけながら、血を吐き出し、片膝を突く。
そして、腹部に空いた穴はかなりの勢いと速さで再生して傷が塞がるとイオは立ち上がった。
「高い巨体から繰り出すパワーと四つ腕という手数、再生能力に鍛錬と実戦で磨き抜いた戦闘技術に積んできた豊富な戦闘経験……強い戦士だ。ふふ、『奈落』や女神の祝福を消す指輪無くても、女神の呪いを対策しただけの状態で十分ヒューマンたちを壊滅出来ただろう」
「私としてもあの奈落や指輪は不服でね……策士気取りの女狐に押し付けられたのだよ。しかし、そんな私を凌駕してみせる君は本当に何者かな。少なくとも勇者以上の存在だ」
「悪いが、秘密とさせてもらおう。さて、そろそろ本気を出してはどうだ? ウォーミングアップは済んだだろう」
「そうだな、そうするより他にあるまい」
真の言葉にイオは本気を出し、薄紫の体が黒に染まった。
「いくぞおおっ!!」
そして、真へと凄まじい速さで突撃しながら四つ腕を活かした超手数重視の拳撃によるラッシュを放つ、それはまさに疾風怒濤の勢いであり、真を蹂躙するのに十分な暴威であったが……。
「こっちもだ」
「っ、ぐああああああっ!!」
イオの手数を上回る超絶的な速度にて真は両拳によるラッシュを放ち、それはイオの腕を破壊していくと肉体へと伝っていき、そのまま蹂躙する事で肉片へと変えていく。
「この程度なら、再生は出来るだろう。中々楽しかったぞ……一度は酒を飲み交わしたいもんだ」
真はイオの肉体をある程度破壊したところでラッシュを止めてそう語る。
「じゃあな」
そう告げるとステラ砦を守っているもう一人の魔将であるロナに彼女の部隊とイオの部隊を攪乱させていた識に命じて共に転移を開始したのであった。
その後……。
「酒か……あぁ、機会があれば付き合おう」
「くうぅ、ラルヴァの奴ぅぅ……主とか言う奴も含めて、覚えてなさいよぉぉぉっ!!」
再生し終えたイオは真が去り際に残した事に対し、返答し……識がリッチとしての姿になって散々、真の魔力を貯蔵した指輪を使用して幾つもの魔術を放って嫌がらせしたロナは作戦を妨害された事も含めて大いに怒り狂ったのであった……。