亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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三十四話

 

 広大なロッツガルド学園では建物の増築や改築も盛んだ。それに伴って使われなくなり、廃棄を待つだけの区画もある程度存在するのだ。

 

 そんな場所の一角にて夜中のそれに紛れるように接触している者たちがいた。

 

「暗殺者ギルドなどと大仰な名前を掲げておいて、依頼を失敗するとはな……講師志望の者たちを暗殺できずとも、試験から追い出せば良いと簡単な依頼をしたはずだがな。金も払ってやったというのに」

 

 一人はロッツガルド学園の常勤講師で行う講義は満席を維持しているブライト。もう一人は暗殺者ギルドの者であった。

 

 そして、依頼主が故に自分の依頼を失敗した者に怒っている。

 

 

 

「お言葉ですが、任務を担当させたものは我がギルドでも随一の実力者。それを撃退できる程の者が試験に混じるなど教えていただけませんでしたが?」

 

「事前に講師の試験に来る者は実力者だと伝えたぞ。それに地方から集まる受験者全ての精確な実力など調べようも無いし、その分報酬は払っている」

 

 反論に対し、ブライトは鼻息を鳴らしながら返答した。

 

「ともかく、お前らは早急に今回戦術全般で通った臨時講師を消せ。臨時とはいえ講師になってしまった者を消すのは手間がかかるが、しっかりやれよ」

 

 そうして、ブライトは臨時講師としてこの学園に入った真の暗殺を依頼した。

 

 

 

「はい、しっかり挽回させていただきます」

 

「そうしてくれ。かなりの実力者のようだから追加の依頼料を払っている。絶対にやり遂げろよ」

 

 

 ブライトは更なる金を渡し、受け取った者は闇に姿を消した。

 

「くそ、何がどうなっている。妙なカリスマを発揮されないように実技の実の試験で講師になった凄腕と噂が広まらないようにしたはずなのに広まり始めているとは……」

 

 不満を口にしながら歩くブライトだが彼は知る由もない。もうすでに暗殺者ギルドは彼が暗殺を依頼した者の傘下になっている事を。

 

 

 

 

 なにより……。

 

「僕の暗殺を依頼したか……じゃあ、こっちも遠慮なく対応させてもらおう。まずは思う存分、遊び倒してやるよ。最後には殺すけどな」

 

 暗殺を依頼する場面を暗殺対象に見られていたなど知る由は無かった。

 

 そして、ロッツガルドで借りている建物の中で『界』を使って様子を見た真は方針を決めて、呟くのであった。

 

 その翌日、二度目の授業が始まり……。

 

 

 

「それじゃあ、今日から指導を始めさせてもらう。良いな」

 

『はい、マコト先生!!』

 

 真は識と交代で近接戦闘と魔術の指導を一人一人に行なっていき、模擬戦闘なども交わしていく。懇切丁寧で確かに実力の上達を生徒たちへ感じさせる。

 

 更に……。

 

「せっかくなので食事どうです。奢らせてもらいますよ」

 

『喜んで』

 

 同じ臨時講師、常勤講師にも声をかけて食事をするなど交流も盛んであり、時には仕事を手伝ったりする真は講師たちにも受け入れられていく。

 

 当然、人気は上がっていき……。

 

「ちくしょうがっ!!」

 

 真の暗殺を依頼しているブライトは人を惹きつけていく真に苛立ちを募らせていったのだった……。

 

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