亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

4 / 102
三話

 

 真は上位竜である『蜃』と契約を交わした。真を主とし、蜃を下僕とする『支配の契約』である。それにより、『蜃』の姿は人間の女性のものとなり更に彼女の領域である『亜空』は日本の自然界の如きものへと変貌した。

 

 その『亜空』にて国を作り、それを拠点に女神が支配している異世界を征服し、女神自身の全てを蹂躙して思い知らせてから殺す目標を掲げた。

 

 そうして、真は『蜃』と二人でリズーことオルトの背に乗ってエマ達が居るハイランドオークの集落へと向かう。

 

 そうして『蜃』の生贄問題は魔族が仕組んだ事である事を『蜃』と共に説明する。

 

「真様。リズーから私を助けて頂いただけでなく、『蜃』様の存在を利用し私達の同胞を手に掛けた魔族への敵討ちまで……本当にありがとうございます」

 

『ありがとうございます』

 

「いや、僕の方こそ丁寧に食事を振る舞ってくれて、一晩泊めてくれて本当に感謝してたんだ。だから、礼をするのは当然の事だよ。魔族が絡んでたのは色々と予想外だったけど」

 

 全てを聞いたエマとオークたちは真に深い感謝を示し、真は苦笑する。

 

 そうしてエマ達は生涯における恩人の真、上位竜の蜃をもてなしたいと生贄のための休息所にしていた集落から村へと移動した。

 

 

 

「おぉ……おお、これでもう娘たちを犠牲にしなくて良いのですね……それになにより、本当に本当にありがとうございます真様」

 

 族長は全てを聞くと村人と共に深い感謝を示した。エマは族長の娘でその絵馬を二度も救い、今後におけるオークたちの生涯をも救った真に対する感謝は絶大である。

 

 そうして大宴会でオークたちは真に『蜃』をもてなし始めた。

 

 

 そんな宴会の最中……。

 

 

「主……」

 

 

「良し、これで問題は無くなった」

 

 蜃が真へと耳打ちした。

 

 日本の自然界を再現したような異界と化した『亜空』を蜃が分体を生み出せる能力を持っていたため、その分体に『亜空』に住めるかどうかなど色々と調査させていた。

 

 結果、十分に生活が出来るという環境であるのが判明した事を蜃が告げてきたのだ。

 

 それを知った真は満足気な笑みを浮かべると族長の下へと行き……。

 

 

 

「族長、もし自然の恵みに溢れる地があれば其処で暮らしたいですか?」

 

「それは勿論、そんな地があれば暮らしたいとは思いますよ。只、そんな地を手に入れても結局は防衛のための戦いを強いられ、他種族との争いの日々が続くので……」

 

「なら、喜んでください。実はあるんですよ、自然の恵みに溢れ、他種族に狙われる心配の無い世界が……まずは論より証拠。蜃、族長とエマさんを」

 

「はい、我が主」

 

 そうして蜃の力により、真に族長、少し遠くで会話を聞いていたエマに蜃で『亜空』へと移動し……。

 

「これはなんと……」

 

「す、凄い」

 

 族長とエマは『亜空』の様子に驚愕し、目を輝かせる。

 

「族長、エマさん。ハイランドオークの皆さんにこの豊かな土地を僕は与えようと思います。只、他の種族も住まわせるつもりなのでそれを了承する事、そして僕の力になってくれるならですが……」

 

『……ありがたきお言葉。真様、我らは貴方に一生、お仕えします』

 

 真の提案に族長とエマは二人、目配せし頷き合うと真へと傅いた。

 

 

 

「決まりだね、それじゃあこれからもよろしく」

 

「ふふ、幸先良いですな主」

 

 真も蜃も満足げに笑みを浮かべ合う。その後はオークの村へと戻り、族長とエマは村人への説得や移転するための準備を始め、真は蜃を伴って寝床として用意された場所へ向かい……。

 

「じゃあ、今日から蜃は巴だ」

 

「おお、実に良い響きですな。流石は主、センスが良い」

 

 この世界では支配の契約を交わした時など、名付ける文化があるらしく蜃は真にそれを要求した。因みに蜃が真の記憶を呼んで気に入ったのは真の趣味である『時代劇鑑賞』のそれ(今後も蜃に対しては時代劇の記憶を見せる事も要求されている)であり、やはり時代劇に出てくる人物のような名付けを頼んだ。

 

 そうして真は女性の武人として有名な巴御前にあやかり、巴の名を与えると蜃は了承。そうして今後、巴として生活するようになったのだ。

 

 そして、喜んでいる巴に対し真は……。

 

「巴、本当に良いな?」

 

「勿論、私の全ては主の物故……遠慮はいりませぬぞ」

 

「なら……」

 

「ふむ、くふ、んん……これは悪くない感覚ですな」

 

 真は自分が掲げた目的を遂げるまでたとえ、地球に戻る手段があっても戻る気は無い。元の世界に対しての未練を断ち切る儀式として巴を抱擁しながら、深く口づけし始める。

 

「こっちも同じだよ」

 

「それはなにより……うく、ふあぅ……」

 

 

 そうして巴と深い男女としての繋がりを一晩中、交わしたのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。