亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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四十五話

 

 

 学園都市ロッツガルドは夏休みに入った。例年通り、ロッツガルドには観光客が訪れ始めて人が増えていく。

 

 無論、それは都市内だけの事じゃなく……。

 

「なあ、聞いたか? 戦術の講座を開くここの臨時講師、教師試験をこれ以上ない成績で合格したんだってよ」

 

「へぇ、そりゃあ期待できるな」

 

「ただ、俺らと同い年ぐらいらしいぞ」

 

「じゃあ、天才とかなのかな?」

 

「さてさて、どうかなぁ」

 

 

 真が設けた夏季講座に興味を示し、講義が行われるフィールドに集まってきたロッツガルド学園ではない周辺都市の学園に通う学生が会話をしながら真が待ち受ける。

 

「皆さん、ようこそ。僕がこのロッツガルド学園で戦術全般の講義をしているマコト=ミスミだ」

 

「私はマコト様の補佐をしている識と言います」

 

 真と識が夏季講座に参加している学生に自己紹介したが……。

 

「うっわぁ、なんて醜い」

 

「まじかよ、コボルトそのものじゃねえか」

 

「なんて可哀そうな……」

 

「大丈夫かなぁ」

 

 やはり、真の顔はこの世界基準では受け入れられず、お決まりのように学生たちは陰口を言った。

 

「……まあ、まずは俺たちの実力を見せるところからだな」

 

 そうして、最初に自分がこのロッツガルド学園で初めて授業をしたときと同じように識と軽く手合わせ(余波が学生たちに及ばないようにしつつ、傍目には激戦としか思えないもの)をした。

 

 

 

 

「お、俺……体調が……」

 

「ば、ばば……化け物……」

 

 一部は完全にびびり、講座を止めようとする者も幾人か出たが……。

 

 

 

「知らなかったのか、講座を止める事は不可能だと……」

 

『ええええええっ!?』

 

「大丈夫だ、僕の講座を受ける以上、見違えるほどに強くしてやる」

 

『全然安心出来ませぇぇんっ!?』

 

 学生の悲鳴は何の意味もなさず、講座は始まった。

 

「良し、じゃあまた明日なー」

 

 『はいっ(厳しいけど、指導はまともだった……)』

 

 なんだかんだ指導は厳しくとも丁寧であり、確実な手応えを感じて学生たちは最初の夏季講座を終えるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 この世界のシステムとして戦闘で敵を倒す事で経験値を得る事が出来、それは貯まれば自分の力となる。しっかりと『レベル上げ』の概念があって、そうして能力は上がっていくのだ。

 

 因みに冒険者になればギルドマスターであるルトが施した仕込みにより、成長速度が上がったりもする。

 

 基本、学生はギルドカードを主に連絡用インターフェイスとして利用するためもあってギルドに登録しているのだ。

 

 真は実戦経験を積むためと能力を高めさせるために、定期的に本来の自分の講義を受けているロッツガルド学園の生徒達にフィールドワークやら迷宮探索をさせていた。

 

 そうして、それは夏休み中でも変わらない。

 

 というより、授業を受けているシフやユーノもそうだがジン達が夏休み中でも講義を続けてほしいと頼んだので、真もそれに応じて講義をしているのだ。

 

 

 

『(りゅ、竜だ)』

 

 レベル上げのためのフィールドワーク中、ジン達の湖にて水を飲んでいる最下級の亜竜の一種を見つけてしまった。しかも向こうもこちらを認識してしまっている。

 

 自分たちでは対処できない怪物を前に何とか逃げようと考えた時……。

 

「悪いな、お前の相手はこの俺だ」

 

 真が突如、現れたかと思えば真の身体が液体の膜に覆われつつ、瞬時に巨大な人型を形成し、巨拳を亜竜へと伸ばして粉砕した。

 

 

 

「お試しとしては上々だな」

 

真はそう、呟く。

 

「せ、先生……それは?」

 

「ああ、これはな魔力の物資化って奴を探求してみたら出来るようになったものだ。『魔力体』とでも名付けるとして……これは莫大な魔力を莫大に使うから強いなんていう当たり前のものでどっちかというと非効率的なものだよ」

 

 真は当然ながら、フィールドワークや迷宮探索をしている生徒たちの様子を見守っており、不測の事態があったり、危険な状況に生徒達が出くわせば助けられるようにしている。

 

 そして今回は図書館にて見つけた魔術についての本で『魔力の物質化』を記したそれを試し、追求する事で出来るようになったものを試したのである。

 

 

 

「(まあ、これからだな)」

 

 『界』との併用を考えながら、『魔力体』を向上させる方法など真は考える。

 

『(先生、やっぱり滅茶苦茶だ)』

 

 ジン達は改めて真の実力が規格外である事を認識したのであった……。

 

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