学園都市であるロッツガルドでの『夏休み』も後半に入った。
真の夏季講座は後期においては設けておらず、更に元々の生徒達への授業も設けていない。
こうした予定は元からである。
ならば真はどう後半の夏休みを過ごすかと言えば……。
「マコト殿~、娘たちが全く話もしてくれないんだが」
「まあ、無理やり戻したようなものだから仕方ないんじゃないか」
パトリックに頼まれていたのでシフにユーノを連れて『ツィーゲ』に戻っていた。
他に識とトアにリノンも連れていて、里帰りのような状態である。
そしてパトリックは娘たちを自分の下に帰らせてくれたマコトに感謝したが、シフとユーノは元々、帰るつもりは無かったしそれにマコトの手を借りるというパトリックが取った手段に怒りすら抱いていて、時間の多くを部屋に籠ったり、外に出ての行動などなるべくパトリックと交流しないようにしている。
なので嘆いており、マコトは容赦なくツッコんだ。
「まあ、父親なんだからシフたちとのふれあいは自分でなんとかするんだな。それでなにやら、仕事の上での相談があると言っていたが?」
娘に対しての相談だけでなく、商売上での相談があると言われていたので真はパトリックに尋ねる。
真は『レンブラント』商会を仲介して亜空に生えている果物やドワーフによる武具、アルケーによる薬品などそうした商品を売っているのだ。
そうした商品は高品質であり、高性能であるために非常に良く売れているのだが……。
「神殿が最近、マコト殿が用意する解毒や傷薬、そうした薬品についてうるさいんですよ」
「あぁ……つまりは製法を明かせとかそういう事か」
神殿とはこの世界を管理する女神を信仰する神殿の事である。
信者たちの怪我や病気に対して薬を用いるので品質がずば抜けている『レンブラント商会』の薬品について興味津々なのだろう。
何なら自分たちで独占しようとしていてもおかしくはないとの事。
「とことん躱しているのですが、本当にしつこいのです」
「そんなにか……なら、仕方ない。それとなく俺の事を明かして良いぞ」
真は困り果てている様子のパトリックへ自分の事を明かす許可を出した。
「(製法については滅茶苦茶手間取るやり方を用意しておくか)」
製法について聞かれた際の手段を真は考えてもいる。
「すまない、マコト殿」
「いやいや、いずれはどこかで公表する事にはなるだろうからな」
申し訳なさそうにするパトリックに真は苦笑を浮かべる。
そうして……。
「さて、久々に冒険者としての仕事をしようか。頼むぞオルト」
『はっ!!』
せっかく、帰ってきたのもあって冒険者である真はその仕事をする事にし、荒野での依頼を果たすべく、オルトの背に乗り、オルトは嬉しそうに疾走を開始するのであった……。