真にとっての真の活動拠点にして国は当然、異界ともいえる空間内にある『亜空』である。
そんな『亜空』にはとある性質があった。
それは『亜空』の使い手である真に巴以外に澪や識、凪も使える『亜空』への出入り口であり、門。
詠唱を含める事で一つの印を刻むタイプのそれを設置した場所によって気候が変化するのである。巴は四季が程良く巡り、過ごしやすくなる設置場所を探しての調査を進んでやっていた。
そして……。
「若、例の件についてご報告が……」
『亜空』における真が使う屋敷内――玉座に腰掛ける真へと巴が一度、膝をつき、礼をしてから報告があるという。
「例の件……良い設置場所を見つけたか?」
「ええ、とっても良き場所を見つけました」
「なら、聞かせてもらおうか」
真が促せば……。
「はい。その場所とは儂らが目標としているケリュネオンを含むエリュシオンと同じような魔族の完全なる支配領域であり、ヒューマンがもし順調に戦争に勝ち進んだとしてもあと数年はかかる程の場所です」
「そうか……なら、丁度僕たちがエリュシオンを得るための練習になるな。招集をかけろ。会議を開くぞ」
「若なら、そう言っていただけると思っておりました」
「訓練ばかりで良い軍隊が得られる訳じゃないからな」
真は少し考えるとその支配領域を獲得する作戦を練る会議をすることを決め、重要幹部たちを招集、そうして会議をすると……。
「此処か……」
「はい」
巴が選んだ魔族の支配領域近くに霧の門を利用する転移をした。
真に巴と澪に識、凪にソフィアに御剣と万、トアは勿論、エルダードワーフ特製の装備で身を包んだ亜人にヒューマンによる軍隊が移動をして巴の言う場所へと辿り着けば、ヒューマンが建造しただろう古城が見えた。
「良し……お前達、今までの訓練の成果を発揮する時だ。僕たちの実力なら完全なる勝利を掴めるだろう。それを証明してみせてくれ」
『おおおおおっ!!』
真からの戦前の言葉に皆が気合の入った声を上げる。
亜人たちにとっては自分達を受け入れて、安全なる領域まで与えてくれた偉大なる主に報いる事が出来る。故に気合は当然、入った。
「だが、良いか。虐殺はするな。そしてなるべく殺傷は避けろ、降伏をしてくる者は受け入れるんだ」
『はい』
真が注意を告げると皆が賛同の声を発し、あるいは頷く。
そうして……。
「良し、なら始めよう」
真は古城を眺めながら、言いつつ……魔力体を応用した事による巨大な液体状の弓矢を出し、弓を構え矢を引き絞り……。
「これが開戦の号砲だ」
そうして矢を放つ。数秒後に城の門が完全に砕け散った。
「行け」
『うおおおおおっ!!』
そうして、亜人とヒューマンによる『亜空』の軍隊が城へと向かっていき……。
「一度だけ聞く。降伏し、従うなら命は奪わない事を約束しよう。だが、降伏しないなら死んでもらう。どっちが良い?」
『こ、降伏する』
そう時間もかからず、魔族の支配領域の一つを真達は活動拠点として獲得し魔族の捕虜を自分たちの傘下に加える事が出来たのであった……。