亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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五十二話

 

 学園都市ロッツガルドで開催されている創立祭の二日目。

 

 

 

「マコト殿。色々と世話になっているのに用心棒のような事までさせてすまないね」

 

「護衛も冒険者の仕事だからな」

 

 

 

 真はパトリックと約束していたため、待ち合わせをして学園へと訪れた。今より半日近く、立食形式の夕食を終えるまで生徒を対象にした礼法などの評価会なるものが開催される。

 

 生徒とは違って、生徒の身内や招待された者は只々客としてパーティを楽しめば良い。

 

 縁者である生徒の同行を見守ったり、誰彼と歓談したり、開宴の言葉を待つまでも無く好きに振る舞ってられるのだ。

 

 生徒は普段受けている講義に応じて様々な立場でこの催しに参加し、言動を評価されたりするので大変なのだが……。

 

 

 

「ふふ、タキシード姿、中々似合っているよ」

 

「どうも……レンブラントさんも流石だな」

 

 当たり前だがパーティに参加するドレスコードは真もパトリックもしっかりしていた。

 

「あなた、遅れてごめんなさい」

 

 会場にてパトリックの護衛が如く振る舞っていると少しして、青いドレスを着たパトリックの妻であるリサがやって来た。

 

 

 

 

「ああ、リサ。今日は蒼いドレスにしたのか、よく似合っているよ」

 

「ええ、僕も本当にそう思います」

 

「ありがとう二人とも……買ってから、着る機会が無くて可哀そうだと思っていたところだったの」

 

 ややタイトな印象の深い青色のドレスを見せるようにしながら、リサは微笑んだ。

 

「マコト様、主人のお守りは私が代わりますから、マコト様はシフとユーノを見てやってください。二人とも、きっと喜びますから」

 

「そうさせてもらいます」

 

 そうしてパーティも始まる中、パトリックとリサは席の方へと移動を始め、真はゲストの席へと移動する。

 

 そうして、会場を回り……。

 

 

 

「シフ、ユーノ、アベリア……良く、ドレスを着こなしているな。魅力が増しているぞ」

 

「ありがとうございます、先生の方こそ素敵です」

 

「格好良いよ、先生」

 

「本当に格好良いですよ」

 

 真は肩まで布地があって足元近くまで伸びた深紅のドレスを着たシフ、パステルカラーの柔らかい青で肩を見事に露出、膝が隠れるか隠れないくらいの短い丈のドレスを着たユーノ、ホルターネックで体のラインを綺麗に出す光沢の強いエメラルドグリーンのドレスに身を包んだアベリアへ声をかければ、それぞれ嬉しそうに微笑みつつ、真に言葉を返した。

 

 

 

 

 そうして、少し三人と会話を楽しんでいると……。

 

「ミスミ様でございますね? 少々お話をさせて下さいませんか」

 

「喜んで」

 

 物々しい護衛を引き連れた長い黒髪を後ろで束ねて着物のような衣服に身を包んだ女性が近づき、真へそう声をかけた。それに対し、真は応じる。

 

「(しっかり、紛れ込まれてるな)」

 

 そんな中で真は女性が引き連れている護衛が三人、術でヒューマンに偽装している魔族である事を見抜いていた。

 

 ともかく、女性の誘いに応じて移動をしサロンのような場所の一角へ……女性はサロンへの入口辺りを指差し、護衛を外す。

 

「それでお話とはなんでしょうか……まあ、僕は貴女のような魅力的な女性には目が無いので、どんな話でも大歓迎ではありますが」

 

「あら、嬉しい事を言ってくれますね。ではまず、自己紹介から……私はローレル連邦で巫女様とカムロのお世話をさせていただいております者の一人でカハラ=サイリツと申します。ローレル連邦について、ミスミ様は何かご存じかしら?」

 

 ローレル連邦においては巫女は国民の精神的な支柱でカムロはその候補になる存在だ。

 

「書物で読んだ程度ですが……三つの国が一つになった連邦国家で巫女と呼ばれる女性は複数の上位精霊と対話を行なえる強い力を持っていること。巫女が政治上でも発言力を得ているから、ローレルでは相当な地位にある事や精霊との距離が近いため、女神よりも精霊に強い信仰を抱く傾向にある事、独特な文化を発展させていて技術力にも優れるという事くらいですね」

 

「……驚きました。とても良く勉強していらっしゃりますね。マコト様は冒険者とも聞きましたが、我が国に興味はあったりしますか?」

 

「いずれは世界の国々を見て廻りたいとは思っていますよ」

 

「そうでしたか、我が国に立ち寄る際は連絡をください。おもてなしをさせていただきます」

 

「それはありがたい」

 

「しかし、不思議な事もあるものですわね……ローレル連邦の事を書物で知っているにしても私達が秘して一部にのみ伝えてきたあるものを使っておられる」

 

 サイリツは見定めるように真を見ながら、本題に入った。

 

「俺の家の表札にある名前の事か?」

 

「はい、あれは我が国では賢人文字というもので正確に言うならばこの世界の物ですらないどこか遠き場所から参られた異邦の方々が使う文字の事です」

 

「成程……そういう事なら、僕はその賢人ですよ。この世界の女神に呼ばれてやって来た……もっともこの顔が気に入られなかったので荒野に放逐されたんですけどね」

 

 真はサイリツに対して真実を話す。

 

「……苦労されたのですね……」

 

 サイリツは真の話に苦労してきたんだなぁといった表情で言う。

 

「ああ、ただ僕を慕う者や頼れる仲間や愛する妻も出来たからその点に関してはこの世界に来て良かったと思っている。そして、やる事も出来た……という事でまあ、仲良くしてくれると嬉しいです」

 

「ええ、賢人様なら喜んで……信頼していただき、ありがとうございます」

 

「魅力的な女性を信頼するのは男にとっては当たり前の事ですから……」

 

 互いに握手を交わしつつ、真とサイリツは色々と話をするのであった……。

 

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