亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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五十九話

 

 学園都市であるロッツガルドにて開催されている『創立祭』であり、その催し物の一つである闘技大会団体戦は決勝を行うのみとなった。

 

 しかして、真たち『亜空』陣営の者だけはこの後に学園都市にとっては災いとなる出来事が起こるのが分かっていた。

 

「(流石はロナだ……仕込みは上々じゃないかよ。用意も周到だし)」

 

 ロナによる仕込みがロッツガルドの至る所に及んでいるのを把握している。

 

 その仕込みとは対象とした人物を投薬に魔術、首飾りの効果を組み合わせて人ならざる者であり、怪物とも言える『変異体』にする事であり。しかも変異体のために魔力を捧げる餌に変える仕込みもある。

 

 ロナはこの学園都市にて変異体を大暴れさせるのだ。

 

 そしてその変異体と変異体の餌になるのがこの闘技大会の会場にもいる。

 

「(本当、皮肉だよなぁ……英雄どころかお前は魔族と取引をしたヒューマンの裏切り者でしかない。取り巻きまで巻き込んでいるしな)」

 

 ホープレイズ一味であり、ホープレイズは変異体に変わり始めるその兆候は出始めている。

 

 この段階なら変異体にならないようにできる薬を真は製薬しているので治してやれる。

 

 だが、散々不正やら妨害やらをしようとした彼を真は助ける気にはならない。

 

 

 

「(その体だけは治してやるかな)」

 

 だが、変異体になった体を元の姿に戻してはやる。

 

 それというのも彼が変異体になってから、観戦しているホープレイズ家の当主に変異体となったイルムガンドを治してやることを伝える。

 

 勿論、精神は元通りにならないし、下手をすれば心神喪失や記憶も失う廃人状態になっている可能性が高い事も伝える。

 

 というより、変異体になれば間違いなくその時点で記憶も精神も失ってしまう。

 

 その上でホープレイズ家に恩を売るのである。また、イルムガンドのそれに乗じて街の各地で暴れる変異体に対してはそこそこの被害を学園都市に与えてもらいながらも討伐と都市の者たちの救援に動く事で様々な者たちに多大な恩やら借りを作るし、名声を得るのだ。

 

 真にとってこの世界のヒューマンは自分と交流が深いか、交流して得のある者以外は心底どうでも良い存在なのである。

 

 

 

「(お前の計画を利用させてもらうし、筋書きは変えさせてもらうからな。ロナ)」

 

 ロナへと心の中で告げつつ、ジンとユーノ、イズモが決勝にてイルムガンド一味を問題無く、圧倒していきそうして、変異体に変わり始めているため、段々様子がおかしくなっていくイルムガンドに嫌な予感を感じながらも対処していき……。

 

「とどめっ!!」

 

 イズモによるエアリアルという対象と周囲数メートルの範囲にある者の自由を縛り、風で押し上げる魔術でイルムガンドは空中へと押し上げられ、ユーノがそのイルムガンドを追ってエアリアルによる魔法の円柱の中に入り、そうして空中で木槍による乱舞を叩き込んだ後、円柱のエリア外に出ながら加速と魔力の付与を行ないながら、イルムガンドの額に槍を投擲し、炸裂させた。

 

「団体戦決勝、勝者はジン=ロアン、イズモ=イクサベ、ユーノ=レンブラント!!」

 

 こうしてジン達は優勝したものの……倒れ伏したイルムガンドから魔力がにじみ出し、感情と絡み合いながら波動を放出し始めた。

 

 変異体としての本格的な変異が始まったのだ。

 

「そろそろだ。準備は良いな?」

 

『勿論です、若様』

 

 巴に澪に識へと呼びかければ、皆が真へとそう返事をしたのであった……。

 

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