真はリミア国王にリリ皇女と彩律を通じて学園長から依頼された北東区画での仕事を果たし、学園へと戻れば様子を窺わせつつ、防衛をさせていたアクアとエリスが『亜空』での日々の中で開発した氷の防護結界で学生寮を覆っていた。
硬さは文句ないし、物理で触れようとすればその接触箇所から冷気で凍てつくという極悪性能も有している。ただ、術者であるアクアとエリスの二人はこれの解除法を用意してないので外部から解除や破壊しなければならない面倒さはあるが……。
それと欠点としては地面は覆ってないので地面を通じて結界の中に侵入する事が出来てしまう。
因みにアクアとエリスが何故、この結界を使ってしまったのかというとなにやら功を焦った学園長が生徒を動かそうとしたの事。
そんな事をされれば真にとっては生徒達の救助をするという面倒くさい手間が生じてしまうので相談も無く、結界を張ったのは思うところはあるが結果的には無駄な事をしなくて良かったので……。
「まあ、結果オーライという事にしてやる」
「ありがとうございます、若様」
「流石、若様。話が分かる」
アクアは安堵の息を吐きながら頭を下げ、エリスは嬉しそうに言った。
そうして、シェルターの方へと戻り、報告をしようとすれば……。
「真様、今お戻りですか?」
「ええ、対処出来ましたよ。もうじき援助物資の方はこちらにも運ばれる手筈が出来ています」
「それは大変、嬉しいです。流石は賢人様ですね」
「お褒めに与り、光栄です。それでどうやらまだ何かありそうですが?」
「ええ、今でもかなりの負担を真様達にかけているのは重々承知ですが、どうとしても念話の回復をお願いしたいのです。勿論、これはリミア国王もリリ皇女からの依頼でもあります。重ね重ねすみません」
「いや、本当に大変な事態ですしね……少し準備はかかりますがやってみせましょう」
「ありがとうございます……どうか、くれぐれもよろしくお願いします」
「お任せください」
彩律が深々と頭を下げての依頼に真は笑みを浮かべて応じた。
そうして、夜にて……。
「さぁてと……ふっ!!」
真は夜空に向けて魔力体を応用した弓を形成し、魔術の矢を放った。
それは上空へ向かったかと思えば途中で幾多もの閃光に分裂し、ロッツガルドのあらゆる場所へと向かう。
こうして、真は位置を把握していた念話の妨害装置を破壊し尽くした。
その後……。
「マコト、話がある」
「また貴方の力を頼らねばならないようです」
「本当にすみません」
念話が出来るようにした真へ少しするとリミア国王とリリ皇女、彩律が現れ、申し訳なさそうな顔を皆が浮かべていた。
そうして三人からとある話を聞き……。
「(ようやく、動いたか)」
その話は真が待っていた事でもあるので、内心、喜んでいたのであった……。