亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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六十九話

 

 ロッツガルドでの『変異体』による誕生と襲撃にリミア王とリリ皇女が手を焼いている間に、魔族はリミア王国とグリトニア帝国へと襲撃を仕掛けた。

 

 もっとも本当の狙いはリミア王国にいる勇者の抹殺であり、グリトニア帝国の方は囮であるが……無論、リミア王とリリ皇女は転移能力を有している巴、及び真に頼み込む事でそれぞれの国まで転移をして帰還したのである。

 

 

 

 無論、タダでは無い。そもそもこの件以外にもリミア王とリリ皇女はローレル連邦の彩律もそうだが、三人は真に対し、北東区画での変異体討伐や魔族による念話妨害の解決を依頼し、それをこなしてもらっている。

 

 

 そして転移も含めれば借りのローンみたいなことになっているし、彩律もいる中で真にしっかりと借りを返す事を誓っての言質を取られているので保護には当然出来ない状況である。

 

 

 

「くく、今回の騒動で俺達は大きく利益を得たわけだな。随分と得をしたな」

 

 今回の変異体騒動により、真はこの都市の人々を積極的に救っており、傭兵に冒険者もそして商人ギルドらも救っているのでそうした者達から感謝の念や敬意をも得ている。

 

 

 

 簡単に言えば英雄のような存在になっているのだ。

 

 

 

「はい、若様……いやぁ、ヒューマン達は本当に愚かですなぁ」

 

「俗に言う『ちょろい』という奴ですわね。勿論、若様の見事な立ち回りあって事ですが……」

 

「そうですね、流石です」

 

 一度、『亜空』に転移して巴に澪、識達と笑い合う。

 

 

 

「さて、それじゃあいよいよだ。やる事は他に出来ちまったがそれ以外は変わらない」

 

 そうして、『亜空』の城にある中庭へと移動すればそれぞれ、専用の武装などに身を固め、戦闘準備をしている亜人にヒューマン、魔族たちがいた。

 

 

 

「さあ、時は来た。いよいよ僕たちの力を糞女神が雑に支配している世界に思い知らせるんだ。手始めに取るのはケリュネオン。そこは僕の両親の大事な国でもである」

 

 真の声に凪ほか、亜人の皆が真剣に聞いていた。

 

 

 

「そして、ケリュネオンに繋がっているエリュシオンもまた、大事な国で取り戻したいと思っている。この願い、叶えてくれるか?」

 

『勿論です、若様!!』

 

 真の望みに亜空で暮らしている皆が気合の入った声を上げる。全員、此処で理想的で幸せな生活が出来ている。それを与えてくれる真の願いなのだから、叶えるべく動くのは当然なのだ。

 

 

 

「ありがとう……本当は僕もいくべきなんだが、残念ながらやる事が他に出来てしまった。でも信じている。皆が完全勝利を遂げる事を……」

 

『はい、完全勝利をしてみせますっ!!』

 

「ああ、よろしく頼む」

 

『お任せください、若様ぁぁぁぁっ!!』

 

 真の言葉に気合を入れながら、絶対に真の望みを叶えると誓うのであった。

 

 

 

「じゃあ、僕はリミア王国の方へ行ってくる、巴に澪、凪、識、ソフィアにランサー……よろしく頼むよ」

 

『はい、若様』

 

 巴達にも声をかけて、真は一人、リミア王国の勇者である響を助けに転移をしたのであった……。

 

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