この世界に女神により、日本から転移させられた音無響は勇者として活躍しながら、そのカリスマによってヒューマン達の支持を得ていた。
女神によるものだろう多数のアイテムに夜には不死身になる特性、強力な戦闘能力、魅了能力は厄介だが第二皇女の操り人形のような勇者である岩橋智樹より、魔族たちは響が厄介だと判断し、抹殺計画を立てた。
グリトニア帝国には学園都市のロッツガルドで反女神同盟が研究していた『変異体』の実験結を活かして真が夏休みの時期に捕えた反魔王派の魔族を改造した数体を刺客として送り込んでいる。
岩橋智樹については抹殺できてもできなくても良い感じではある。
しかし、音無響の抹殺は絶対だ。
だからこそイオたちを魔族はリミア王国へと進撃させたが……。
「つくづくお前の力には驚かされるな」
イオとリミア王国を襲っていた魔族たちは突如、謎のコロシアム内に転移させられたので混乱したが目の前にステラ砦で勇者たちと戦争をしたときに現れた鎧姿の者がいた事で全てを察する。
「それはどうも……悪いが、勇者の音無響は僕にとっても大事な人なんでね。抹殺させるわけにはいかない」
「そうか、だが私も引き下がる訳にはいかん」
「勿論、分かっている。じゃあやるか、あの時より、少しは強くなったんだろうな?」
「当然だっ!!」
イオは真との戦いを経て腕に付けたそれぞれ、地水火風の属性を宿した四つのガントレットを使い属性を宿した格闘攻撃を仕掛ける。
「ああ、確かに強くなっているな」
それに対し真は魔力体を応用した魔力の膜で四肢を覆い、攻撃力や防御力を強化しつつ捌いていく。
「くっ、まだまだ届かんとは……やはり、これしかないっ!!」
格闘攻撃のラッシュを止めると覚悟を秘めた表情を浮かべる。
そして懐から薔薇を模した青い土くれであり、工芸品のようにも見えるアイテムを取り出した。
このアイテムは別名、力の麻薬や魂喰いと呼ばれるものであり、魂を喰らい尽くす代わりに使用者に絶大な力を与える『
ヒューマン達が持っていた物を回収し、それをロナが改良したものだ。
この『薔薇の欠片』はイオとその部下たち全員が持ってもいる。
しかし、ロナからはイオは絶対に使うなとは言われていた。
だが、真は命を懸けなければ倒せない存在であるが……。
「おっと、幾らなんでもそういうのはつまらない」
「っ!?」
真がそう告げたかと思えば、イオの手元にあった筈の薔薇の欠片が真の手元に移っていた。
「ドーピングなんて止めとけよ」
「くっ……命を懸ける事すら出来ないのか……だが、それでもぉぉっ!!」
『我らも戦います』
「ああ、来な」
イオとその部下たちが闘志を燃やしながら手招きする真へと向かっていったのであった……。