真は魔族の中でも戦闘能力に優れる将であり、魔族にとって重要な『ステラ砦』を守るイオとその部下達がリミア王国の勇者となっている響を殺そうとするのを阻止するために霧による転移で巴が本来使う『亜空』の空間に転移させた。
無論、この『亜空』では全ての事象が真の思い通りになる。そうして、闘技場を作ってイオとその部下達の相手を始めたのである。
そうして……。
「まあ、良く頑張ったほうだ。誇ると良い……少なくともお前たちの力は勇者響より、遥かに上だ。僕が介入しなければ間違いなく勇者響を殺せただろう。それをさせるわけにはいかなかったが」
「く……だからといって、殺すことすらしないのか……」
イオもその部下達も真は圧倒してみせ、そうしてそんな真へイオたちは倒れ伏しつつ、意見を言う。
「敗者に対する生死は勝者の自由だろ。僕はお前達を殺す気も無いし、魔族を滅ぼすつもりもない」
「ならばお前は一体、どういうつもりなんだ?」
真の言葉に対し、イオが彼の思惑について問いかける。
「それは後で話す事にしよう……さて、ロナに連絡してやる」
そして、闘技場から一瞬でとある平原に自分とイオたちで転移する。
「マコト、貴方は私達の協力者じゃなかったの?」
ロナに連絡し、場所を教えつつ肉体的な繋がりもあったので彼女の居場所に霧の門を出現させる事で平原に移動できるようにするとすぐさま、移動しそして文句を言ってきた。
「ああ、協力者ではある。ただ、勇者響とは恋人とかそういう関係じゃないが、親しくはあってな。殺されるのは困るんだ」
「そう言われてもこっちは勇者響にいてもらうのは困るのよ。私達が滅ぼされるかもしれないし」
「そうはならないようにしてやるから、任せろ……大体こっちだって文句はあるんだ。あの変異体やら念話妨害の装置とか色々とかき回してくれたじゃないか」
「でも、そっちも対処してくれたじゃない。完全に成功していれば学園都市ロッツガルドを壊滅させられただろうし、上手くいけばヒューマンの重鎮共を抹殺できたかもしれないのに……」
「ロッツガルドには僕の身内もかなりいたんだから、止めただけだ……僕たちの目的とか、詳しい話はお前たちの魔王と会ってからだよ。だからイオたちも殺しては無いだろ」
ロナへと言いつつ真は言いつつ……。
「どうしても文句があるってんなら……」
『っ!?』
真が霧の門を出現させると直後にかなり質の良い武具に防具や道具、金塊などが出てきた。
「賠償金代わりだ。受け取れ」
「……良いわ、今回は退いてあげる」
「その物分かりの良いところが本当に好きだし、愛してる」
「ちょ……ふむ、んく……こ、こんなので誤魔化されたりなんてしないんだから……」
ロナが頷いた事で真は一瞬で彼女へ近づき、抱き締めながら深く口づけすると顔を赤らめ、蕩けながらロナは言葉を口にするも明らかに嬉しそうであった。
「(あのロナが……)」
イオとその部下はロナの様子を驚愕の表情で見ていたが……。
ともかく、イオとその部下は真の力で回復されるとロナと共にこの場から撤退した。
「さて、あっちはどうなっているかな」
真はロナ達が去るのを見ると巴達が攻めている『ケリュネオン』へと転移したのであった……。