カリスマが高く、次々にこの世界のヒューマンを味方にしていくなど影響力が高い響は魔族にとって脅威になり得る存在だ。
故にグリトニア帝国の襲撃を囮としてリミア王国へはステラ砦を守っている魔族の中でも強いイオとその部下達に襲わせる事で速やかに魔族は響を抹殺しようとしていた。
響の抹殺を阻止するために真がリミア王国へと向かったのと並行的に真を主とする巴に澪、凪、識ら『亜空』の勢力は魔族が領している『ケリュネオン』を襲撃した。
『ケリュネオン』は現在、魔族に滅ぼされた国であるし元は同じく、魔族に滅ぼされた衛星国家の『エリュシオン』内にある小国の一つである。
そして真の両親は今、真がいる世界の住人で父はケリュネオンの貴族であり、母は神殿に属する高位の神官であった事を同じく、ケリュネオンの貴族であったエヴァからの情報で知った。
ならば両親の郷国を取り戻し、更にそこを起点に『エリュシオン』を魔族から奪還して新国家を立ち上げようと……。
どのみち、いずれはこの世界の全てを女神から奪い、女神は神の座から引きずり降ろして色々とその身も心も蹂躙し尽くしてから殺そうとしているのだ。
そろそろ国家の一つは手に入れねばならないのだ。おまけに本当の自分たちの国は異空間にあるので何者からも侵略や煩わしい干渉をされないですむ。
こうして、まずはケリュネオンを手に入れようと動いた。
自分の主である真の計画の本格的始動をなんとしても実現しようと『亜空』の皆が士気は凄まじく高かった。
真と契約を交わしている巴に澪、凪に識、ソフィアもランサーは実力が並外れているが、それに従う『亜空』の者達も日々の鍛錬に装備の準備もあり、戦闘力自体も高い。
故に次々とケリュネオンの侵攻は進んでいき……。
「……殺せ、私が忠を捧げるは魔王様のみだ」
真が戻った時にはケリュネオンを守っていた魔族達は敗北して捕まり、捕虜となっている中で魔族の将の一人で下半身が蛇となっているレフトは殺すよう求める。
「誰が殺すか……別に従う気が無いならそれはそれで構わない。今は駄目だが、いずれ魔王の下へ帰してやる。別に捕虜としても奴隷としても扱わないから安心しろ」
「な、何故そんな事を……」
戦に勝った者が敗者にする事に対してあまりにもでたらめで甘すぎる対応である。レフトは戸惑って質問した。
「僕は別に魔族と敵対する気は無いんだ」
そうしてレフトたちの対応を終わらせると……。
「皆、ご苦労だった。良くやってくれたな」
『ありがとうございます。若様』
真はケリュネオンの玉座に座り、両肘掛けに両手を乗せて目の前にいる皆に声をかけると亜空の者達は皆、臣下の礼をしたのであった……。