真は『学園都市ロッツガルド』の臨時講師という立場はまだ辞めるつもりは無い。
単純に色々と都合が良いし、試験に折角合格したのだからという思い、今授業をしている生徒達を最後まで育てたいという思いがあった。
ともかく、そんな真は今のロッツガルドでは復興作業の手伝いをしている。
だが、それとは別に毎回、まだこのロッツガルドに残っているリミア王国の関係者にローレル連邦の彩律達、神殿関係者と話をしている。
その話とは単純に真とその仲間の強大な戦闘力や技術、道具などを手に入れたいという思い。要は自分たちの側に真を取り込みたいという事である。
こうして今日、真は学園の会議室にいるリミアの王子であるヨシュアの下へと向かった。
「お久しぶりです、ヨシュア様。本日はお招きいただき光栄です」
「ええ、お久しぶりですマコト殿。呼び出しに応じてもらえて光栄です」
真とヨシュアはどちらも頭を下げ、そうして席に着く。
「本当に大変な事になりましたね、此処も……そしてリミア王国もグリトニア帝国も……魔族にしてやられた形だ」
「全くですね。女神様の力無ければ、我が国の勇者は危なかったです」
リミア王国の勇者を抹殺しようと魔族が襲撃し、消えたのはこの世界の女神による奇跡の力とされていたりする。
「重い腰を上げてくれたみたいですね」
「苦労をかけて申し訳ないとは思っていますが」
そんなやり取りを真はヨシュアと交わす。
「それと女神様もですが、やはりマコト殿の御力とご活躍も凄かったです。本当に頼りになりましたし、お疲れ様でした」
「困った時はお互い様ですよ……とはいえ、僕は特定の国に仕えるとかそういう事はしませんよ。中立派です」
「……釘を刺されてしまいましたか」
真が少し核心を突いた発言をするとヨシュアは苦笑する。
「大体、皆さんが考える事は読めるんですよ……それにそれぞれ、今回で借りを作ってるんですからそれを返してもらわなければなりませんし」
「ですよね。どんなお返しを要求されるか恐ろしいですよ」
「そこまで無理難題を要求するつもりは無いですけどね」
「とはいえ、借りを返すのは必ずやり遂げてマコト殿を満足させますよ」
「期待させてもらいますね。まあ、借りを踏み倒そうというならこっちもそれなりの手は打たせてもらう事になりますが」
「それは絶対に無いですし、マコト殿達を敵には回しませんよ」
その後、少しの談笑をして真はヨシュアとの会話を終えた。
復興や他国の重鎮や神殿の者達と話を交わしたりしながら過ごす日々の中、『ケリュネオン』では『エリュシオン』奪還の計画を練りつつ、それを終えた後も考えた計画に準備もしていくが……。
「若、一大事です。この『亜空』にとんでもない者達が……」
「ああ、この『亜空』に来れる時点でとんでもないのは確かだろうな」
『亜空』で時間を過ごしている時、起き上がりにとんでもない力と気配を持った複数の者達が訪れてきたのを真は感知しており、会う事としたのであった……。