真は現在、変異体の襲撃によって損壊した『学園都市ロッツガルド』の復興作業に協力しつつ、亜空が用意した物資や必需品をレンブラント商会を通して売ったりなどする傍らでそこから遠いところにある亡国のエリュシオンを拠点に魔族が領している衛星国家『エリュシオン』の奪還に動いていた。
「ふっ、はあっ!!」
真は占領した砦から近くにある小城へと近づくと隔離するための効果を有した『界』を展開する。
そうして魔力体を薄い膜にして体と弓に纏わせるとそのまま、魔力の矢を別に造って番えながら弦を引き絞って放つ事で門を破壊。
これによって亜空軍と共に城へと乗り込む。
そうして鏃の無い非殺傷の魔力の矢を放って打ち倒していきながら接近してくる魔族に対しては武闘の動きに乗せて魔力体による手による拳撃や足による蹴撃を伸ばすようにしながら放つ事で蹴散らしていく。
瞬く間に小城を制圧して魔族の説得をして取り込み、拠点になるように手を施していった。
ゆっくりと着実に衛星国家エリュシオン周辺の砦や城を奪還していく中……。
変異体襲撃から数か月後、季節は冬となった。
ロッツガルドの状態としても相当数の死者を出しつつ、建物も破壊されていたが復興という状態からは脱した。
まだ一部に更地はあるものの、その更地も区画整理の途中のような状態となっている。
そして、そうした状態の時に……。
「おや、響先輩が来た」
真は街の全体の動きを知るために千里眼の機能を有する『界』を展開しているのだが、それによってリミア王国の勇者として活動している音無響が仲間と共にロッツガルドに来ているのを発見した。
そして響は王の補佐を務める第二王子ヨシュアと共にこの都市の商売を管轄しているザラと昼食をしながらの会談を始めたのだ。
「いやー、流石は響先輩……うちの学校では将来は女性初の総理大臣になりそうな人とも言われていた人だ。交渉と駆け引きが上手い」
響は会談の中で堂々とザラに対しリミアの復興に金を出せと伝えたのである。
しかも商会が機に乗じて貯め込もうとしている物の出どころ、その一部はリミアの物でそれならリミアの復興に金を出すべきだ。他国にでも働きかけて事件の後のお金の流れや帰属すべき所有者を徹底的に明らかにしてやろうか?
なんていう脅しを忍ばせた会話までするのだ。その上でザラが皮肉気にグリトニアと関係を築いているのだからそっちの方に頼むのが筋ではなんて嫌味で答えると、グリトニアは寒冷地でリミアよりも厳しいという建前を以って返してみせた。
勿論、グリトニアに借りを作るのが嫌なのだ。魔族を滅ぼすために関係を築いてはいてもリミアとグリトニアは握手しながら笑顔で殴り合っている状態なのである。
「会談もそうだが、やっぱり、僕に会いに来たようだな……隠しては無いから居場所なんてすぐに分かるもんだが」
そして会談の後の様子を見ると響は真にも会いに来たようだった。
「折角だ、一度会うか」
そうして真も響に会うために部屋を出たのであった……。