学園祭中の『変異体襲撃事件』により、中々の被害を受けた『学園都市ロッツガルド』。
しかして学園都市内の者の尽力により、復興は予定よりもかなり早く進められていった。
そんな『ロッツガルド』にて、色々な手管で財を蓄えているだろうとリミア王国の勇者である音無響は睨み、魔族による襲撃で損害を受けたリミア王国の復興支援をしてもらおうとロッツガルドに残っているヨシュアに頼み、ロッツガルドの商人たちを纏めている『商人ギルド』の代表であるザラに会えるようにしてもらった。
そうして交渉を開始し、響はザラにリミア王国の復興支援をしてもらえる方向で興味を惹かせ、考えさせる事を約束させたのである。
「これで目的の一つは終わったわね、後は……」
そして響にはロッツガルドに行こうと思ったもう一つの目的があった。
それはこの『ロッツガルド』にツィーゲなどで大きく活躍している冒険者であり、ロッツガルド学園の臨時講師をしており、『変異体襲撃事件』でも英雄的活躍をしたマコト・ミスミに会いに来た。
「(どう考えても真君よね?)」
深澄真――音無響と同じ高校に通う学生で彼女の一年下の後輩である。
顔は普通ながら勉強の成績は一番であり、スポーツにおいてもあらゆる種目で一位になるくらいの自分と並ぶ運動神経と能力の持ち主であった。
そしてなにより、弓道部においては百射百中のエースでもあったのだ。
密かに響は真を気にしていた。というのもある日の高校で……。
『先輩、つまらなそうですね』
『っ!?』
生徒会長として、学生として力を発揮する中で響が感じていた退屈感を真は指摘してみせたのである。これにより、響は真を気にするようになった。
しかし、真には長谷川温深という彼女が出来たので遠慮するようにはなったが……。
だが、ある日真が修行の旅に出たとかで姿を消した。
そんな真がこの世界にいるようなので響は驚いてしまったのである。
ともかくロッツガルドの人に話を聞いて真に会いに行こうと街の中を歩いていると……。
「おや、響じゃないですか……久しぶりですね」
「っ、澪さん……そして……」
料理を教える代わりにレンブラント商会での武具の紹介をしてもらった澪との再会にも驚いたが、やはり一番驚いたのは……。
「凄いところで出会いましたね、響先輩」
「やっぱり、マコト=ミスミは貴方だったのね。真君」
深澄真が本当にこの世界にいた事であり、真の苦笑に対し、響も苦笑を返す。
「ともかく、立ち話もなんですから家にご招待しますよ」
「ありがとう。よろしくお願いするわ」
そうして真の招待に応じ、彼の家へと響は歩いていくのであった……。