真は自分が原因で女神が管理する世界に召喚されてしまった者の一人で自分が通う高校の先輩である音無響へと事情を話しながら、謝った。
響は聡明であり、誠実な人であるので直ぐに理解し、謝罪を受け入れてくれたのである。
「私はこの世界のリミア王国の勇者として召喚された以上、魔族との戦争に勝つために力を尽くすつもりよ。魔族がこの世界のヒューマンを苦しめているのは事実だし」
響は自分の考えを言った。
「僕はただでさえ、邪魔だとばかりに荒野に捨てられたのを亜人たちに救われました。だから、この世界で差別や侮蔑されている亜人達のために力を尽くす。せめてこの世界で受け入れられるように……ああ、勿論、響先輩が困っている時は喜んで力を貸しますよ」
「ありがとう、真君。それと亜人との関係については私も出来る限りの事をしてみるわね。私だって色々、思うところはあるもの」
真はとりあえず、亜人側の勢力として活動する事を告げながら響には協力する旨を話した。これは本心からの言葉である。
そして響は礼を言いながら、彼女もヒューマンと亜人の関係が良くなるように力を尽くす事を誓ってくれた。
「でも、本当に驚きよ。まさか、澪さんの主が貴方だなんて……私や智樹はこの世界に来て身体能力が上がったり、女神からの加護で色んなもの貰ってるけど……真君もそうなのね」
「僕の場合は僕を助けてくれた神の加護、後は元々両親がこの世界の者だから、よりこの世界が馴染むというかそういう事だと思います。味方としては頼もしいでしょう?」
「ええ、とっても」
「響、感謝しなさい。若様が味方になってくれる事に……」
「ええ、本当にそう思います」
「感謝と言えば、僕だって感謝してるんですよ。澪に料理を教えてくれたおかげで和食風の物が食べられましたから」
「澪さんには私だって、料理を教える代わりに良い武器や防具を売っている『レンブラント商会』の職人でエルダードワーフのベレンさんを紹介してもらったわけだから構わないわ。他にも冒険者達にも紹介してくれたし」
「知らず知らずのうちに助け合ってたという事ですね……それでこの都市に来たのは僕に会いに来たのとザラ代表にリミア王国の復興支援を頼みに来ただけですか?」
「いえ、ここに一時的にレンブラント商会の支部が出来てるって聞いたから剣の手入れをしてもらおうって思って」
「なら、僕がベレンに頼んでおきますよ。僕の力はそういう事も出来るので……数日、借りますけどね」
「そういう事なら喜んで待つわ。ありがとう真君」
「いえいえ、どういたしまして」
響の武器について自分がベレンに頼むと言って、彼女が佩いている剣を確かに預かったのであった……。