真は日本にて通っていた高校の先輩で生徒会長である響と異世界での再会を喜びつつ、この異世界でのこれまでについて話したり、今の立場や目的についても話した。
もっとも真は本来の目的などをかなり偽ったが……亜人側の長をしている事としたのである。そうして彼女がこの学園都市ロッツガルドを訪れた目的の一つであり、レンブラント商会で澪が紹介したエルダードワーフのベレンが渡した剣の手入れをするというそれを真は直接、剣を受け取る事で叶える事にした。
後でベレンにこの剣を渡し、手入れをさせるのだ。
「それじゃあ、響先輩。ローレルまでお気をつけて」
「ええ、ありがとう真君。貴方も頑張ってね。澪さんもまた会いましょう」
「ふふ、そうですわね」
「では送り届けて参りますぞ、若様」
響はこれから、仲間の一人であるチヤの故郷がローレル連邦に向かう予定があると言った。その際、巴が響に興味があるとかで送り届けるついでに色々と話したいと念話で伝えてきたので応じた。
そうして、巴は響と共に真のロッツガルドでの家を出たのである。
「(若様、大事なお話が)」
「(分かった、行こう)」
見送ったところで凪から念話が来たので彼女がいるケリュネオンの方へと真は転移をした。
「で、大事な話というのは?」
「それが……」
そうして、凪は語り出した。
現在の季節はまだ冬だ。つまりは農閑期である。
なのに凪はケリュネオンによる農地面積が増えないのが気に入らないという。
そもそもにしてケリュネオンは北の位置にあり、高い山もある内陸の土地だ。
つまりは冬に農地開拓は結構な無茶である。実際、雪まで降っているのだから……。
「まあ、出来なくはないが逆に進め過ぎて後々、変な影響が出てもいけないから焦らず実験しつつ、やっていこうか」
「分かりました」
実際、環境の改造など真は界の力によって可能だが、彼自身が言うように環境を変えた事によるリスクやデメリットが生じる事も考えられる。なのでゆっくり試していくことが無難であった。
真が諭すように言うと凪は納得したのであった。
現在、将来的に魔族からエリュシオンまでを奪還しようと動いている真はケリュネオンを国として復活させるべく、冒険者を束ねるギルドマスターでもある『万』に頼み特定の条件をクリアした冒険者もそうだが、亜空にいるヒューマン達も住民として移住させたりしていた。
「巴、何してきたんだよ響先輩と……」
「勇者殿の剣の技を受けてみたのですよ。記憶を探ってみれば剣道をやっていたようでしたので」
「再生できるからってそういうやり方は好かないな。俺にとってお前は大切な者の一人なんだから……」
「う、軽率でした」
「次から気をつけてくれれば良い」
巴が戻ってきたので姿を見れば着物がズタズタだったので理由を聞けば、日本で剣道をやっていた響のその技を受けて刀術のさらなる向上に努めようとした結果との事だった。
しかして、真にとっては嫌な事だったので注意をし、巴はそれに対し反省したのであった……。