亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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九十四話

 

 真は万の頼みであり、表向きとしてはギルドマスターであるファルスから魔族の襲撃を受けてそれなりの被害を受けたグリトニア帝国へ支援物資を運ぶ依頼を受けた。

 

 万はグリトニア帝国のリリ皇女と個人的な協力関係にある。万によると彼女はとある事情から女神に対し、復讐の念を抱いているとの事だ。

 

 なのである程度、真の女神を滅ぼす目的に利用できるのでそれなりに関係を築いた方が良いという判断でもあった。

 

 そして更にグリトニア帝国領にあるバニラ砂漠には巴や万と御剣と同じ上位竜の一体、グロントにして砂々波(さざなみ)がいて、仲間として相応しいだけの力はあるので勧誘してはどうかと勧められたので真はそうする事にしたのだ。

 

 まあ、一つ面倒事はある。真に響と同じく日本から女神によってこの世界に転移させられた岩橋智樹の存在だ。

 

 彼は巴に執着しており、手に入れようとしているのである。つまり、真にとっては敵である。

 

 それに自分のせいでこの世界に転移させられた件については少し前にあった『ステラ砦』での魔族との戦争の際に守った事でそれなりに責任は取っている。

 

 ならば後はもう、智樹については自分に敵対するなら敵として対応するし、敵対しないのなら場合によっては色々助けてやっても良いとは思っているが、まあ確実に敵対する事になる。

 

 

 

 しかし、よほど度の過ぎた事でもしない限りは殺しはしない事にしている。もっとも殺さないだけだが……。

 

 そういう対応で行く事を決めながらも支援物資を詰めた『亜空』製の荷車を『界』で隠蔽したオルトに運ばせつつ、オルトの背の上に巴と識の二人と乗って移動をしている真は『ロッツガルド』から黄金街道を進む事でロビンの街へと向かう。

 

 そこからグリトニア帝国の帝都に通じる転移陣を使う事で物資もそして真達も転移するのだ。

 

 ともかく、朝に真は黄金街道を進んでグリトニア帝国領に入ったが、厳寒の地であり、冬の時期なのもあって結構な雪が降っていた。

 

 しかも高い山も多いので場所によっては積雪が数メートルに達するところもあるという。

 

 

 

「中々の冬景色だな」

 

「ですな。ほとんど真っ白な景色ではありますが、これはこれで悪くありません」

 

「他国の気候に触れるのは旅行の楽しみの一つですな」

 

「そうだな、識……魔族領はここからさらに北にあって、山がちなんて本当に魔族はとんでもないところに住まされているな。そら、女神に敵対するわ」

 

「もはや、氷原に追いやられていますからな」

 

「ヒューマンどころか生物にとって極めて厳しい気候の場です」

 

 雪道を進みながら真と巴に識はグリトニア帝国だけでなく、魔族領について話をしたりするのであった……。

 

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