亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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九十五話

 

 冒険者としてギルドマスターであるファルスからの依頼でリミア王国と同じように魔族の襲撃でそれなりの被害を受けたグリトニア帝国に対する支援物資を運んでいる真は巴に識の二人と共にロッツガルドを出発し、黄金街道を通ってロビンの街へと向かった。

 

 そして、ロビンの街の前でオルトには『亜空』に戻ってもらい、荷車の物資と自分達をそれぞれ転移陣によって、『帝都ルイナス』へと転移した。

 

 正確には、まだ一回の転移が残っているが、高い山の中腹にある転移陣の施設より、ロビンからついてきた案内役が帝都を観察出来るように時間を設けてくれたのでその厚意に従い、真に巴と識の三人で帝都を眺めた。

 

 歪な円形に広がる帝都は三つの外壁によって外周から中枢にかけて区切られている。中央には誰が見ても皇帝がいると分かる城があった。

 

 グリトニア帝国では住人に等級をつける事となっており、外壁によって形成される区画がそのまま、住人の身分の違いを表している階級社会が形成されていた。

 

 

 

「あれだな、帝都という割には風情が無い」

 

「ですな、そういうお国柄というやつなのかもしれませんが」

 

「まあ、直接観光すればまた違うかもしれないが滞在期間は二日だし、街の雰囲気については調査を頼むぞ、識」

 

 真は巴と会話しつつ、識に帝都の調査を頼んだ。

 

「承りました若様。この地理条件でこの時期、街が雪に覆われていないのは相当な国力であると予測できるのですが、確かに風情が無いとも言えますね」

 

「頼んだ、さぁ届ける物届けないとな」

 

 こうして、真は案内役に合図をすると転移陣を使って支援物資も含めて帝都に転移をする。

 

 「これが支援物資だ。確認してくれ」

 

 当然の事だが、支援物資の輸送は話が事前に行っていたようで真が転移陣の前で待っていた対応係へ言いつつ、リストを見せる。

 

 

 

 そうして、リストを見ながら支援物資の確認を済ませると……。

 

 

 

「はい、確かに支援物資を確認しました。ありがとうございます、そしてお疲れ様でした」

 

「ああ、そっちもな」

 

 そう会話を交わしたが、これで真の仕事は終わりではない。次にリリ皇女への挨拶があるからだ。

 

 何度かのセキュリティチェックを受けて真達はリリ皇女のいる城へと向かう。

 

「では、マコト様はこちらの部屋でお待ちくださいませ。そちらのお二人は我々とご一緒に」

 

「分かりました。巴、識、また後でな」

 

 皇女への挨拶は巴と識の主である真だけでするのが普通との事で二人は案内役に連れられて城の奥へと消えた。

 

「(さてとどうなるかな……)」

 

 真は礼儀正しくソファに座り、貴族のような優雅な仕草で出された紅茶を飲みながら、リリ皇女とグリトニア帝国の勇者となっている岩橋智樹が今、自分がいる応接室に向かってくるのを『界』にて見ながら、待つのであった……・

 

 

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