ニュータイプ研究所所長の奇行   作:スターリー

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 流石は連邦の莫大なお金で建てられた施設。

 

 すごく、おっk(殴

 

 それはそれとして私はわざわざ広めの場所に人を集めて挨拶しないタイプの上司なのです。いや〜、みんなの顔を見て〜とか? そういうのが大切なのは一応理解してるんですけどね。

 

 でもね! 聞いて聞いて! 

 このあとちゃんと一つひとつの職場周って従業員みんなと握手するんだ! そうしろってパッパが言ってたんだ! 足を動かしてこそ信頼を勝ち得るんだって! 

 

 あの人が出世する理由がよく分かるぜ。

 流石は我が尊敬する父上だ。現場からすれば迷惑な気もするけど心の距離は確実に近くなる。これが人心掌握術……! 

 

 でも、この広さと従業員数。

 一週間くらいかかるぞおい。やるの? マジでやるの? 

 

 

 うむ。それも一旦置いといて、とりあえず今は所長室からライブで各職場のモニターへダイレクトアタックを仕掛けている最中である。

 

 そう、集会は要らんけど周知はするべきだと言うことで画面を通してパパっと済ませてしまおう作戦である。

 

 それにやっぱ、所長なわけだしぃ? はじめにバーンと言っとかないと! 

 

 

 ここで「イエーイ! みんなみってるー?」とか煽ったら隣にいる無表情な秘書さん(熟練)はツッコミをしてくれるだろうか…………。いや、辞めとこ。目が死んでる。下手すれば殺られる。

 

 何故なら命を刈り取る分厚さの書類を持ってやがるからだ。あれはツッコミには向かないやつだ。

 

 ふっ! しょうがない。今回は許してやろうじゃないか。べっ、別に怖いわけじゃないんだからね! 勘違いしないでよね! 

 

 というか、オーガスタ研究所に入ってからみんな目が死んでるんですけど。

 ここ、ラクーンシティーだったっけ? 

 

 

 さて、気合を入れて挨拶をするとしよう。

 こういうときはハッタリこそ正義である。正々堂々としていれば大抵は騙せるのだ。父上が父上だけにこういうのをやらされる機会が増えてきた今日このごろ。大丈夫だ。一定の慣れはある。最近の成長した私なら行ける! 

 

「き、きょ! 今日から↑…………ちょっと待って、今のナシ。テイク2よろしく」ブチッ

 

 そこから冷静になった私は最高のマイクパフォーマンスで向こう側にいる兄弟たちを沸かせ続けた。

 

 自己紹介など程々でいいのだ! 私こそがトップオブトップ! 大事なのはこれまでじゃねぇ! 聞けぇ! これからの方針を! その未来を指し示すことこそ私の役割なのだぁ! 

 

 資金難だってのに世に出せない研究しても金にならねぇじゃねぇか! そんなんやらねぇ! と高らかに叫び、お上の要求なんて突っぱねてやるぜぇ! と清らかに宣言し、俺達の技術力を宇宙の果てまで轟かせ、お高く止まった高官どもの生意気な口を二度と指図できないようにしてやろうぜ! と腹の底からぶち撒けた。

 

 結果。

 施設内外から響き渡る拍手と歓声の嵐である。

 

 私は思った。

 

 や☆り☆す☆ぎ☆た☆

 

 これが黒歴史。ああ、黒歴史。

 

 その後の挨拶回りはまるで選挙に出るかのようだった。

 

 え? 応援してます? 

 

 違う違う。所長になったの。出ないよ選挙。

 

 仮に選挙に出たとしても、その先は地獄っていうか爆発オチっていうか歴史を繰り返すことになると私のシックスセンスがビンビンしてるからね。

 

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