ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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ついにぼざろ二期が決定!いつやるのか続報が来るのが楽しみで夜しか眠れません。


第十九話

 

 

 

 

ミノタウロスと対峙する私達、最初に動き出したのはミノタウロスだった。動き自体は決して俊敏さは無く、距離を詰めるよりも早く船長さんの射撃が放たれる。だけど、まるで降り注ぐ雨を気にすることなく走る車のように止まる様子がない。

 

「ええぃ、頑丈だねぇ!」

「下がってください、来ます!」

 

 船長さんとの距離を詰めたミノタウロス、その間を割り込むようにマシュが滑り込む。振り下ろされる斧と盾が激突し、金属音と地響きが私達の鼓膜を揺らす。

 

「がは………」

(衝撃が盾を超えて、この膂力はジークフリートさん以上の……)

 

 マシュにとったも想定外の威力だったらしく、大きなダメージは無いものの強い痺れが身体中に走ってるみたいだった。

 

「引きなマシュ!銃が効かねぇなら……」

 

 船長さんの背後から現れた砲口から、火砲が弾けてミノタウロスへと放たれる。爆炎が全身を包み込み、流石に効いたと思った。だが……

 

「……」

「ちっ、斧で防いだが。反応まで怪物並みとはね……」

 

 そう感心の言葉を漏らす船長さん、その直後に私は疑問が遮った。

 

(鉄砲の弾は防がなかったのに、砲撃は防いだ?なら、なんでも無敵に防げる肉体じゃないなら……)

「あ、あの!」

 

 私は、思いついたことをそのまま言葉にした。すると……

 

「先輩、それは……」

「ぼっち、アンタは思ってたより向こう見ずだねぇ。だけど面白い、のった!」

 

 二人とも動揺してた様だけど、どうやら同意は得られた。あとは実行するだけ、と思った時だった。

 

「しゃべ、るな……!!」

 

 話してる隙をつかれ、ミノタウロスは距離を詰めていた。すかさず斧の一撃を、マシュは盾で防ぐ。

 だけど……

 

「うっ……」

 

 やはりミノタウロスのパワーがとても高く、大振り一つでましゅは大きく後退する。

 

「考えてる余裕はないね、やるよマシュが」

「___」

 

 船長のその言葉に、マシュは無言で頷いて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【サーヴァントは皆、それぞれに能力(スキル)を有している。】

 

 これは、オケアノスへレイシフトする前のマシュとダヴィンチとの会話の記憶である。

 

【……?知っていますが……】

【スキルとは、英霊の生前の活躍や所持した技術の再現。例えば君は、元の英霊の影響で騎乗というスキルを持っている。それ故に、フランスでは触れたこともない馬という乗り物を乗りこなせた。ちなみに私が持つ“星の開拓者”というスキルは……】

【あ、あの!意図が分かりません。ダヴィンチちゃんは、何が言いたいのですか?】

【……アドバイスさ。君はまだ、元の英霊の力を全て引き出す事はできてない。それでも少ない手札から、価値筋を見つける事は不可能ではないんだよ。】

 

 

 

 

 

「……!!」

 

 マシュが突撃しながら盾をミノタウロスにぶつけるものの、怯む事なく斧を横薙ぎに放ちマシュを弾き飛ばす。

 が、その直後に……

 

「甘いね、本命は……」

 

 船長さんがスライディングでミノタウロスよ足元へと接近する。そしてその直後に、砲身を出して至近距離から砲撃を繰り出そうとした。

 

「こっち……っ!?」

 

 だけど、現れた砲身をミノタウロスは斧の先を突き刺して砲撃を無理矢理止めたのだった。

 

「し……ね!」

 

 そして、同じ要領で斧の先端で船長をさんを串刺しにしようと振り下ろした。

 

「っ!?」

 

 だが、それを食い止める“半透明な城壁”がそれを防いだのだった。

 

「これ、は……!?」

 

 それこそがマシュの新たに獲得したスキル。堅牢な城壁を任意の場所に展開し、守護する効果を発揮する。

 その名は“時に煙る白亜の壁”と、ダヴィンチちゃんは言ってたとか。

 

「殺ったよ」

 

 そして、その効果によって生まれる隙を私達は狙っていた。ミノタウロスの顔面近くに、船長さんの展開する砲身が現れる。

 

「カルヴァリン砲、奈落の底までカッ飛びな!!」

 

 轟く砲撃、激しい爆音と共に爆炎がミノタウロスの全身を包む。幾ら巨大を有するミノタウロスと言えど、これだけの砲撃を喰らえば瀕死になるはず……と思った時だった。

 

「!!」

 

 煙が晴れれば、そこには牛の仮面が割れて血濡れた素顔を晒したミノタウロスが居た。その顔は人間っぽさはあるけど、どこか人から外れたような異形さを有していて……

 

「ま、もる……まも、る!!」

「ミ、ミノタウロス健在です!!」

 

 ミノタウロスはそう呟きながら、戦闘を続けようとしていた。だけど、彼の言葉に私は違和感を抱く。

 

(まもる?私たちを殺すとかじゃなくて?もしかして、誰かを守ろうとして私達と戦ってたんじゃ……)

 

 そう思った時だった。

 

「お待ちなさい!」

 

 不意に聞きなれない女の子の声が聞こえた。すると私達とミノタウロスの間に、小柄で綺麗な女の子が険しい顔をしながら現れた。

 

「ついていけばいいんでしょ?」

「……………はい?」

 

 そう女の子が、意図のわからないそんな言葉を言ってきたものだからつい私はそんな空返事をしてしまう。

 

「だからもうお止めなさい、貴女達のお目当ては私だけでしょ?」

「……あ、えっと……違いますけど……」

「………う?」

 

 どうやらすれ違いがあったらしく、さっきまで殺意全開だったミノタウロスも間の抜けたそんな言葉が漏れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、二人に私たちの事情を説明し終えれたら………

 

「な、に、よソレ!!失礼にも程があるでしょう!」

「あ、すみません……」

 

 女の子の声が迷宮内に響き渡る。その大きな不服の声につい、私は謝ってしまう。

 

「まあ良いわ、貴女達は聖杯を探すためにこの島に来ただけで私たちを追ってきたわけじゃないのね?」

「あ、はい……えっと、お二人は誰かに追われてる感じでしょうか?」

「追われてるのは私だけ、この子とはこの島で出会って守ってもらっていたの。私を求めてる奴は、かなり面倒な奴だから。」

「へぇ、なるほどね。その追ってる奴と私達を勘違いしてたわけだ。で、この迷宮の結界に入り込んだからアタシたちは島から出られなくなってたと。なんともお互い難儀だねぇ、あー二人はサーヴァントで……」

「アーチャーのエウリュアレと、バーサーカーのアステリオスよ。」

「あ……え?ミノタウロスさん、ではなくて?」

 

 その聞きなれない名前につい、私はそう口走ってしまう。するとマシュが、私の疑問に応えるために説明してくれた。

 

「はい、ミノタウロスのは本来の名前ではないのです。父親に与えられた本当の名前は“雷光”を示すアステリオス。

そしてエウリュアレさんは、ギリシア神話に登場する“ゴルゴン三姉妹”の次女に当たる方です。」

「な、なるほどです……」

 

 思ったよりカッコいい名前と由来だな、と我ながら呑気なことを考えていたらエウリュアレさんの口が開いた。

 

「とはいえ困ったわね、貴女達は島から出たいのよね?」

「あ、そうですね……出るためには結界を解除する必要がありますが、そうなるとお二人に危険が……」

「なんだい、そんなの簡単だろ?」

 

 エウリュアレさんが頭を悩ませていると、船長さんが明快な声で答えた。

 

「二人ともアタシの船に乗れば解決さ。」

「………?」

「アタシらは聖杯探しの戦力が欲しい、そしてアンタらは追っ手を倒す戦力が欲しい。なら一緒に行動すれば問題解決、いい“商談”だろう?」

 

 船長さんは自信たっぷりにそう話を差し出し、実際互いにメリットはある気がする。こういうのを、確か“WIN-WIN”って言うんだっけ?

 

「………私たちが何かわかっててその話をしてて?」

「女神と迷宮育ちの用心棒だろ?そんな二人とない人材でワクワクするねぇ。」

「……貴女、変な人間ね。」

 

 船長さんが笑いながらそう言うと、エウリュアレさんは何処か複雑そうな顔をしながらそう言ってた。その直後に、アステリオスさんへと顔を向ける。

 

「どうするアステリオス?」

「……おまえ、が、いく、ならついていく。ひとひは、さびしい。」

「そう、じゃあ結界を解いて船に行きましょう。」

 

 二人からの了承は得られたようで話は進んだようだ。ただ、返事をしたアステリオスさんを見て、私は……

 

(思ったより素直だし、なんだか人間味を感じるような……)

 

 と思った直後、不意に大きな揺らめきが発生した。

 

「あ、え、わわっ!?」

 

 だけど、その揺れは次第に止み……気がついたら迷宮の痕跡が完全になくなって、周囲は普通の洞窟へと変わっていた。

 

(これが、アステリオスの能力……なのかな?)

「私たちが入ってきた入り口がすぐそこに、これだけの距離があれだけ大きな迷宮に変わってたんですね。」

「ん?なんだい、まだ奥があるみたいじゃないかい。アステリオス、アンタこの先行ったことあるかい?」

 

 船長さんの問いかけに、アステリオスさんは首を横に振って答えた。

 

「良いね、お宝とかありそうだ。」

「えっ」

「あ、あのドレイク船長!目的は達成しました、戻らないと……」

「いいや、冒険は行けるところまで行ってこそさ。途中で終わるなんて、つまらないだろ?」

 

 マシュの静止の声を、船長さんはそう言い返してさらに奥の方へと進み始めた。その後を、私達は追いかける形となる。

 

「ま、待ってください船長!」

「……ねぇ、これ私達も行くの?」

「う……」

「あ、はい……多分、行けるところまで行かないと船へ戻らないかと思うので……」

「はぁ、しょうがないわね……」

 

 そんな感じで、私達は新しいメンバーと共に洞窟の更に奥まで進んで行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 そして暫く進んで行ったら……

 

「ぜぇ………ぜぇ……」

「何バテてるのよ、だらしないわねぇ……」

 

 生身の船長さんと私の息が切れていて、その様子を見てエウリュアレさんは呆れた声を出していた。

 とは言え無理もないと思う、何せエネミーが結構多かったし、大岩のトラップから必死に逃げないといけない時だってあったのだから。それに……

 

「あん?何見てんだい、ぼっち?」

「あ、いえ……」

(ゴーストのエネミーが出た時、船長さん隠れてたような……もしかして、そう言うの苦手なのかな?だけど言ったら藪蛇な気がするが、黙っとこう……)

 

 なんて思ってたら、目の前から外からの光が差し込んでいるのが見えた。

 

「ぼっち見な、もうすぐ出口だよ。」

「あ、はい……本当ですね。」

「あぁクソ……結局お宝はなかったかァッ!」

「い、いえ船長さんまだ諦める時間じゃありません!きっと出口に出た途端、誰もが見たことのない神秘的な生物が居るはずです!その子がきっと、私達に一生食うのに困らない富と名声をくれる筈です!」

「アンタ思ったより強欲だねぼっち!だけどその浪漫には乗った、行くよ!ゴールは目の前だ!」

「はい、船長さん!!」

 

 そして私と船長さんは、光の刺す出口へと全力疾走をし始めた。浪漫を追い求める、勢いだけのノリで。

 

アタシ()達の冒険は!!これからだぁっ!!!」

 

 そして私達二人は同時に、出口に到着し外へと身を乗り出した。その先には……

 

「フォウ?」

「………」

「………」

 

 先に到着してたフォウさんが、不思議そうに私達を見る姿があったのだった。

 

(徒労……)

(無駄足だった……)

 

 そのショックのままに、倒れ込んでしまうのだった。

 が、その直後に通信機から音が聞こえ……

 

『あぁ良かった、やっと繋がった!ぼっちちゃん聞こえるかい?結界が解けたのに繋がらないから心配したよ!』

「あ、はい聞こえます。その……」

 

 私はそのまま、さっきまでの出来事をそのままロマンさんに伝えた。

 

『お、お宝探しって……夢があるのは良いが状況を考えてくれよぼっちちゃん!あと、ミス・ドレイクも!』

「あ、はいすみませんつい……」

「あーはいはいわかったよ、五月蝿いねぇ……」

『まったくもう……いや、別に羨ましくはないけどね……』

 

 と、小声でぼやくロマンさんの声は敢えてスルーした直後……

 

「ですがドクター、船長さんは約束を守ってくれました。」

 

 背後で空へと体を向けるマシュから、そんな声が聞こえた。

 

「洞窟探索、行けるところまで行って、良かったと思えました。こんな素敵なものが見れるなんて……」

 

 マシュの見ている景色を、私も見てみた。その映像はカルデアにも映ってるようで…….

 

『キレイ……』

 

 通信機越しに、職員の人からそんな感想の声が漏れていた。私もつい、心の中で同意してしまう。

 

『………星の、開拓者か。』

「こんな色彩(いろ)をしているのですね……」

 

 そこには、広大な海が朝日の輝きを照らしながら映っていた。それはあの日、江ノ島で久々に見た海とよく似ていて、それ以上の広大さが私の心に響いていく。

 そして……

 

【ありません、外の世界に出たことがないので】

 

 おそらく雪景色(無色)しか見れなかったマシュにとって、その感動はどれほどのものか私には想像がつかない。だけど、きっとそれは無意味だったり無価値なものではないと思う。だって、マシュの顔には確かに嬉しさで満ちているから。

 

「先輩、海がとても綺麗です。一緒に見てくれませんか?」

「あ、はい……」

 

 その美しい景色とマシュのその顔が、とてもマッチしてるなと思えた。

 

「うんうん、青春だねぇ。」

「何ニヤついてるのよ、早く船に連れて行きなさいよ。」

「う……」

 

 背後から聞こえる船長さんやエウリュアレさんのそんな声。だけど、それでもあと少しだけ、この刹那の時を譲って欲しいと思った。

 この色彩の感動は、きっとマシュにとってかけがえのない掛け替えの無い(不変なる)想い出になると思えたから。

 

 

 

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