ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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とうとう本家の終わりが近づいてきてるのが実感しました…一番付き合いの長いアプリゲーなので感慨深く感じてます。


第二十一話

 

 

 私たちが各々で戦況を繰り広げる最中、船員さん達が、黒ひげさんの船から伸びていた連結索を切断していき、声を上げる。

 

「連結索切り離しました!姉御、すぐにでも……」

「いや、まだだね……おい髭、部下が一人逝ったのに随分と大人しいじゃないか?」

「キャフフフフ!バーサーカーなど、我ら黒髭四天王で最も格下!」

 

 と、さっきと同じくふざけた雰囲気で喋る黒ひげさん。

 

「なんて……」

 

 だけど直後、黒ひげさんは口端をあげて海賊らしく刺々しい表情へと変貌する。

 

「俺にも必要だからよ、宝具を解放する時間ってのがよォ!」

「ッ!」

(宝具!?)

 

 それはまずい、黒ひげさんの宝具がどういうものかわからないからこそ恐怖が増している気がする。まずいまずいまずい!

 それは船長さんも同じなのか、声を荒げながら言い放つ。

 

「アーチャー!」

 

 すかさずアーチャーさんが黒ひげさんの背後に現れ、闇討を狙うものの……

 

「甘い」

「ですわ」

 

 だけど、黒ひげさん側の女の子のアーチャー二人がその闇討を防ぐ。

 

「これは、マズイ…」

『マシュ!』

「はい!私の宝具で……」

 

 ならばとすかさずロマンから指示が出て、マシュも盾を構えようとするものの……

 

「それも織り込み済みさ。」

 

 ランサーの横からの一撃が迫り、それを即座に防がざるを得ない。

 

(マシュも妨害された!)

(こりゃ手詰まり!?髭の野郎の船、その砲塔に魔力が集まってる。アレからの一斉射が来るぞ。だったら……)

 

 黒ひげさんの宝具が解放される刹那、船長さんの声が私たちに向けられた。

 

「全員聞けェ!生き残りたい奴は今から、アタシの言う通りに動けェッ!」

「ああ、やっぱりテメェはそう言う女か。だが遅ぇ、刻め“星の開拓者(フランシス・ドレイク)”」

 

 大海賊、黒ひげの宝具が今ぞ放たれる。

 

「これが黒髭の“アン女王の復讐(クイーンズ・アンズ・リベンジ)”だ!!」

 

 轟く砲撃、それがオケアノスの大海原に広がり爆炎と火薬の匂いが充満したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 だけど

 

 

(助かった……けど)

 

結論的には、私達は船長さんの咄嗟の機転で一命を取り留めた。宝具を放たれ、直撃前に船体を傾けて威力を分散させることに成功した。

 流石は船長さん、私はそう思わざるを得なかった。だけどあくまで上手く逃げ切れただけ。黒ひげさんが追撃、もしくはまた対面してしまったらそれこそ次はないだろう。だから私達は、体勢を立て直そうと思い、どこかの島でまずは休もうとしてたのだけど…………

 

「な、なんで飛竜がまた!?海でも遭遇するなんて……」

「おい頼む、早く倒してくれ!船の至る所から浸水が止まらねぇんだよ!」

(そ、そんな……もうすぐ陸地なのに……)

 

 私達の視界には、もう島の陸地が見えている。だけど大量に迫る飛竜の猛攻を凌ぐのに手一杯だ。

 

「ギャァ!」

「……え?な、なに?」

 

 だけど直後、数本の光の矢が飛竜達を穿ってそれに私達は目を奪われた。

 

「助太刀みたいだね、あの島からサーヴァントの気配を感じる。しかも、あの島から飛竜を一掃するなんて中々強力な英霊だろうね。」

 

 アーチャーさんが冷静にそう言い放ち、窮地を脱した私達は島に到着し助けてくれたサーヴァントの人と思われる人と対面する。

 その人は銀髪の綺麗な女性で、その腕にはクマのぬいぐるみらしきものがいた。その人に、船長さんが声を掛ける。

 

「礼を言うよ、アンタの助けがなかったら船は今頃海底のオブジェになってた。で?アンタはなんでアタシ達を助けたんだい?」

「んーと……」

 

 船長さんの問い掛けに、女性が口を開いた…

 

「なんて話すんだっけ、ダーリン?」

「いや俺は喋らないって段取りだっただろ!?」

(……え?)

「あ」

 

 女性の持っていたぬいぐるみが、そんなツッコミをしていた。え?何でぬいぐるみが、喋って……

 

「あ、え、あの、サーヴァントの世界ってぬいぐるみが喋るケースあるんですか?」

「落ち着いてください、先輩。サーヴァントというか魔術的には珍しくはありませんが……

「なんか怪しいねぇ、燃やすかい?」

 

 と、マシュが冷静にフォローし、さらに船長が中々物騒な事を言って逆に私は動揺してた心が落ち着き始めた。

 

『いやいや船長、やめてあげてください。おそらくそのぬいぐるみは使い魔だろう。ひとまず解析を……あれ?使い魔なのに霊基がある?というかこっちが本体ってなってる様な……でも力のほとんどが女性に傾いてる、君たちは一体?』

 

 どうやら何か変な結果になっている様で、するとぬいぐるみの方から声が出る。

 

「しゃーない、自己紹介するよ。弓兵(アーチャー)の“オリオン”だ、よろしくな。」

「あ、はい……って、オリオンって確か星座の人……」

「はい、そうですね。ギリシャの神話に登場する狩人です。しかし、ぬいぐるみではなかったはずですが……」

「いろいろ事情があんの!まあ、後で話すよ。で、次にこいつだが……」

「私はね、ダーリンのお嫁さん!」

 

 そう言いながら女性は、ぬいぐるみを胸元に抱き寄せながらそう言い放っていた。

 

(ぬいぐるみのお嫁さん?)

(確かにさっき、ダーリンと言ってたけど……)

「じゃなくて真名ね!私の名前は……」

 

 とてへぺろな顔を浮かべており、オリオンさんと同じ自体の人なら……と思ってると。

 

「“アルテミス”!月の女神やってまーす、よろしくね!」

「!?」

「あ、はい……よろ、しくお願い、します……」

 

 なんかどこかで聞いたことある様な気が、と思ってるとマシュどころか船長さんの顔が凍りついていた。なんか、とんでもない人……いや、女神っていってたから、神様?

 

「ドクター……」

『ああ、確認した。神格を落とし、英霊サイズに納まってるが間違いない。彼女は本物の神霊だ。』

「神霊、って?」

『文字通り神様だ。存在していたのか?と言う疑問が浮かぶだろうが、正確には居たということだ。そして、神霊とは英霊とは別の存在で、サーヴァントとして召喚されることはあり得ないんだ。』

(サイズオーバーで無理、と言う感じかな?)

 

 そんなイメージで何となく納得したが、だけどやはりこんな疑問が残る。

 

「あ、その、それじゃ女神のアルテミスさんはどうして目の前に?」

『えーと……』

「ダーリンが召喚されるのが不安で、わたしが代わったの!」

「ついてきたんです、この女神(ひと)……」

(どうしよう、理由が分からない……)

『こ、この二人は神話では恋仲だったからね……つまり結論としてアルテミスはオリオンの召喚に割り込んだ。滅茶苦茶な出来事だが、神霊なら可能なことなんだろう。そして、割り込んだ故にオリオンの力と技はアルテミスに流れ、肝心のオリオンは……』

「何故かぬいぐるみになってました……」

 

 それは何とも可哀想なことが……と感じざるを得なかった。

 

「まあ、サーヴァントであることには違いない。お嬢ちゃん、マスターだろ?契約してくれねぇか?」

 

 と、オリオンが手を差し出しながらそう問いかけた。なら、わたしの返答は決まってる。

 

「あ、はい……勿論です。よろしくお願いします、お二人とも。」

「……話はまとまったみたいですね。」

 

 何はともあれ、オリオンさん達が私達の仲間になってくれた。色々あったが、仲間が増えてくれたのは私としても心強く感じる。

 そして、アーチャーさんが船長さんに問いかける。

 

「さて、キャプテンこれからどうする?」

「もちろん、黒髭をぶっ飛ばす。」

「ですが、そのためには船を修理しないと……」

「だったら飛竜の鱗を使ったら?」

「そりゃいい、加工すれば鋼よりも堅くなる。幸い、飛竜自体この島にたくさんいるぞ。」

「決まりだね、暫くこの島を根城にして船の修繕に専念する。飛竜の島での楽しい狩猟生活だ、やるよ野郎共!!」

「ハイホー!」

 

 こうして、私達は船の修繕をするためにこの島で活動を始めた。私もマシュも、初めてのことだらけで戸惑ってたばかりだったけど……

 資材集めのために木を切ったり、飛竜を狩ったりしていき……そして。

 

「船は完成した、明日には黒髭にカチコミに行く!なのでその前夜として宴だ、飲むぞ野郎共!!」

「カンパーイ!」

 

 焚き火を囲み、乾杯の音頭をあげて宴が始まった。そして船長さんが酔いながら、エウリュアレさんとアステリオスさんに近寄る。

 

「アステリオス、エウリュアレ!いっしょに呑むよ!」

「しょうがないわねぇ、一杯だけよ。」

「お二人とも、大分打ち解けましたね……」

「あ、はい……」

 

 あの迷宮で初めて会った時と比較したら、とても想像できない光景だ。と、思ってたら足元にオリオンさんが私とマシュに近付いてきていた。

 

「マシュちゅわ〜ん、喉乾いちゃったから一杯ちょーだい♡あ、マスターのでも良いぞ?できればく・ち・う・つ・」

「憤怒ッ」

「死」

 

 オリオンさんは最後までそれを言うことは叶わず、アルテミスさんの肘鉄で地面に打ち付けられてしまった。

 

「オリオンさん達も、楽しい方で良かったですね。」

「あ、は、は、はいぃ……」

 

 そして赤く染まるオリオンさんのその姿を見ながらも、変わらずそんなコメントが出るマシュに若干の恐怖を覚えてしまった。

 

(ま、まぁ……なんだかんだみんな気分が立て直せそうで良かった……ぁ)

 

 そう思っていたらふと、少し離れた場所で清姫ちゃんとアーチャーさんがいっしょに座ってる姿が移る。

 決して険悪な雰囲気ではないけど、どこか緊張している様な感覚を得る。よし、ならばここは私がマスターとして人肌脱がなきゃ。私は立ち上がり、お気に入りのメガネ(星型)を掛けて踊っている船員さん達の方へと向かう。大丈夫、船員さん達はノリがいいからきっとうまく混ざれるはず!

 

「ウ、ウェーーーイ!!チョ、チョリース!盛り上がってるかおめぃらー!!」

「え、カルデアのマスター何してるんだ?」

「知らん……何あれ……怖……」

 

 しかし私の割り込みに、船員さん達は困惑の顔をし始めた。その一方でマシュはまるで他人の様な顔をしており、船長さんはゲラゲラと笑っていた。

 やらかした、と思った直後。アーチャーさんが楽器を片手に私の隣へと来た。

 

「まあまあ、折角カルデアのマスターが身体を張ってくれたんだ。ではより、宴を盛り上げよう。本当なら、僕の一番得意な楽器は違うものなんだけどね。先陣をきってくれないかい?」

「あ、は、はい」

 

そうして、なんだかんだと楽しい宴となった。歌い踊る、コミュ症な私には結構しんどいことだけど、けどそれ以上に良い時間と感じられ……

 その光景を見ていたエウリュアレさんの歌声は、とても綺麗に感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、夜が明ける。

 

「よし、挨拶代わりに一発ぶちかましな。」

「アイ・キャプテン」

 

 大海原に出て、黒髭さんの船が見えた直後に船長さんが言い放つ。すかさず爆破音、船体に直撃したと確信する。

 

黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)パワーアップ成功だ、竜鱗が触媒になって聖杯からの魔力供給の効率が……』

「届く様になった、御託はいらないさ。カルヴァン砲用意、アーチャー組もいいね!」

「全砲門開け!アン氏も頼みますぞ〜」

 

 砲撃を直撃されて、黒ひげさん側も何もしないわけもなく。互いの砲口が向かい合う。こうなれば、何が起きるか素人の私でもわかる。

 

『砲撃戦 撃てぇーー!!!』

 

 両船長のそんな号令が重なり、大海原に砲撃音の大音響が響き渡り再び開戦したのだった。直後、私にも砲撃が迫り直撃しそうになったところでマシュが防いでくれた。

 

「大丈夫ですかマスター!」

「あ、は、はい!」

「ぼっち、ふんばりな!人間だけどアタシ達は戦闘要員だぞ!」

「はい……もちろんやるべき事をきちんとやります。」

 

 

 

 

 

 

 それは、出航前日のことだった。それを思い出す。ロマンさんの通信が入る。

 

【黒髭の船の解析が終わったよ。黒髭自身も言ってたけど、あの船自身が彼の宝具だ。最後に受けた砲撃は強烈だったが、何より脅威なのはその性質だ。】

【あ、その性質って?】

【黒髭の船だが、実はある時点で弱体化してるんだ。】

【ある時点?】

【アステリオスが、斧のサーヴァントを撃破した直後だよ。】

 

 ロマンさんのその言葉で、全員の視線がアステリオスさんへと集まる。

 

【つまり“部下を失って弱くなった”、逆説になるが彼の船は“部下が増えるごとに強力になる”性質なんだ。】

【ではエウリュアレさんを狙っていたのは、船の強化目的なのでしょうか?】

【あ、いや…多分黒ひげさんの趣味もあると思いますが……】

【まあ、仕掛けがわかったのはいいが僕らの不利は変わらない。それほどにあの船の火力は厄介だよ。】

【そうだ、いくら弱体化しても砲撃を喰らい続ければ沈む。そうなる前に、髭と白兵戦に持ち込みたいがね……】

 

 アーチャーさんと船長さんの言葉が、私達に緊張をもたらす。実際、例え弱くなったとしても船長さんが咄嗟に船を傾けてなければ私たちは死んでたのかもしれないのだから。

 

【海の上である以上、邂逅は必然として遠距離となる。近づかなければ勝負にならないのに、接近がとても難しい……この問題をどうにかしないと……】

【そこでだ】

 

 みんなが悩んでいた時、船長さんが私とオリオンさんに腕を回しながら前のめりに出た。

 

【今回はぼっちとオリオンに、頑張ってもらうのさ。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

「さて、そろそろ頃合いかね。行くぞ!」

 

 船の激しい砲撃戦が続く、派手な見た目ではあるものの実際はほぼ均衡状態に等しかった。だけど私達は一つの“仕掛け”を実行しており、その効果がそろそろ発揮するだろう。

 それを見越し、船長さんが船の前進を加速させる様指示を下した。

 

(加速した!?)

「弾薬装填!有効射程に入り次第、全力射撃を……」

 

 私たちが加速したのを認知し、黒ひげさんが指示を下した時だった。

 

「!?」

 

 黒ひげさんの船の一部が、一人でに爆発した。それを見て、船長さんが笑みを浮かべる。そう、これこそが最初の狙い。

 

(オリオンさん、うまくやれたんだ!)

 

マシュから説明を受けたものの、詳しい部分はあまり覚えてない。だけどどうやら、オリオンさんは水面をまるで地面の様に歩くことが出来るらしい。

 なので、水面から黒ひげさんの船に侵入し、弾薬庫を爆破し砲撃を機能不全にするということだ。それが上手くいき、後は彼が無事に戻ってくればいいんだけど……

 

「ハヒ……ハヒ……歩いて船に侵入し、弾薬庫を爆破する。そりゃ確かにあの中じゃ俺にしかできないことだ……なんだけどさ、俺が帰還することまるで配慮されてない作戦だよねぇぇぇ!!?」

(ご、ごめんなさい……どうにか無事に戻ってきてください。)

 

 海面を歩けるとは言え、徒歩で砲撃や弾丸が交差する戦地を徒歩で帰らないといけないのはとても可哀想だと私も思った。かと言って、私も泳ぎは得意じゃないから助け出せないのだけど……

 ともあれ、作戦の一つは成功した。今度は私がやる番だ。船をどうにかぶつけ、船長さんを白兵戦の距離まで積めないといけない。砲撃を機能不全にしたものの……暫くすると、私たちの船に何かが被弾して大きく揺れる。

 

「アババ!?」

「船底に着弾!向こうの銃使いの攻撃です!」

「来なすったね……ぼっち!アルテミス!」

「あ、は、はい!」

「はいはーい」

 

 船長の指示が下り、私とアルテミスさんは帆柱の一番上へと移動しそして正面を向く。

 

「さぁ、こっからが重要だ。私達はあの二人に賭けてる。アタシの役割は待つのみさ。」

 

 船長さんのそんな言葉を聞き、私は唾を飲み込む。その様子を見て、アルテミスさんは鈴を鳴らすかの様な声で語りかける。

 

「マスター、勝負は一瞬よ。頑張ってね。」

「あ、はい……」

 

 頷き、そして私は再び出航前の記憶を思い出す。

 

【砲撃を無効化したとしてもまだ安心できない、あの銃使いがいるからね。こと射撃に関しては、僕をはじめとしたこちら側のアーチャーでも射程の問題で敵わないだろう。】

【そうなのですか?】

【ああ、あちらのアーチャーは海賊の英霊だ。船上での狙撃の経験の差は如実に射程距離現れる。だから、僕たちが安定した狙撃を行う前に強化した船だとしても沈めることも可能だろう。】

【そ、そんな……】

 

 それじゃ船を強化した意味がない。そんな雰囲気が充満しそうな時に、船長さんの声が差し込んできた。

 

【だから、そこでぼっちの出番さ。こいつのギターでアルテミスの射程を強化して延ばす。但し相手も馬鹿じゃない、ぼっちの演奏に気付けば逆に撃たれるリスクがある。だから勝負は一瞬。

射程に入ったその瞬間に、最速の一矢を番え強化しブチかますのさ!!】

 

 もう間も無く射程に入る、敵のアーチャーが私たちの船底の同じ場所を何度も狙撃しそろそろ限界になりそうなのが無意識に伝わってくる。

 私はギターの弦に手を添え、演奏の準備を始める。

 

『……細かい魔術操作はこちらでやる。ぼっちちゃんはタイミングさえ逃さなければ大丈夫さ。』

「あ、はい……わかってます。」

「怖がってるのね?」

「……アルテミスさんは、平気なのですか?」

「ええ!」

 

 私の問いかけに、アルテミスさんは躊躇いを一切感じさせない声色で返答する。

 

「あのヘラヘラの声の人が言ってたでしょ?今の私にはダーリンの力と技が宿っている。怖いはずがないわ。

だってダーリンは女神(わたし)を射止めた狩人だもの!」

 

 そんな言葉を紡ぐアルテミスさんは、さっきまでどこか人離れした雰囲気があったのにその瞬間だけ女性らしい美しさを感じさせた。

 

「きっと、ちょっとぐらいタイミングずれても大丈夫よ!」

「あ……は、はい!」

 

 続けて彼女はウインクしながらそう言われ、少し私の緊張も和らいだ。そして……

 

「さぁ射程に入るわ、合わせてねマスター!」

 

 頷き、弓を構えたアルテミスさんに合わせて私もギターの弦を弾き、喜多ちゃんの情熱的なイメージをしながら演奏をする。

 

(礼装起動(プラグ・セット)!!)

 

 そして弓に白銀の輝きが集まり、そしてそこに私のギターから迸る赤い輝きがソレへと混ざっていく。

 

「“瞬間強化(ブーステッド)”」

「“汝・速射の白銀(ラピッドファイア・オルテュギアー)”!!」

「___」

 

 海上を疾走する紅蓮と白銀の矢、それが僅かに敵のアーチャーの反応より一歩早くその体を穿った。つまり、出航前の作戦が二つとも成功し……

 

『黒髭の船と接触、作戦成功だ!!』

 

 最大の目的だった白兵戦へ持ち込むことに成功した。

 

(よ、よかった……無傷だけど死ぬかと思った……)

「やっと戻って来れたー、死ぬかと思ったー!!」

「ダーリンお帰りー♪」

 

 私達が降りたら、どうやらオリオンさんも無事に戻って来れた様で少し安心だ。

 だからこそ後は……船長さんが前に出る。

 

「三人ともご苦労さん。後はアタシ達に任せて少し休みな。いい加減、互いのツラも見飽きた。終わらすには頃合いさ。」

 

 向こうの船頭からも、黒ひげさんを始めとしたメンバーの顔が見えた。たがいにさついをぶつけあってるのが何となく伝わる。

 

「つーわけだ、行くよ!アタシの頼れるアホウども!!

略奪開始!!髭のお宝全部いただくよ!!」

 

 黒ひげさんとの直接戦闘、それの開幕となった。

 

 

 

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