ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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年末の繁忙期の波に飲まれてしまいました、申し訳ない。FGO原作、そしてカワグチ先生の更新もどんどん終着に到達しそうで焦りますなぁ…


第三十六話

 

 

私達の倒すべき敵が判明してから二日後、私達はニューメキシコへと向かっていた。

 その間に私達は話し合いをして二つの方針が決まった。一つは……

 

「イタタタイタイ!もうちょっと手加減できんのか!?余は心臓が潰されてるのだぞ!?」

「黙って、心臓を砕かれているのですよ。」

「ぐぬっ……」

 

 ラーマさんの治療の継続。ロマンさん曰く、ラーマくんに刻まれてる呪いを解く方法は三つ。

1.クー・フーリンさんを倒す

2.呪いを解ける人を探す

3.治療の精度を上げる

 とのこと。その中で、一番現実的なのが三番という結論に至った。だけど、その為にはラーマさんの体の構造を知ってる人が必要で、ここに居る人でわかる人はいない。だけど、幸いラーマさんが知ってる人が居るとのこと。その為にクー・フーリンさんと戦ったらしいけど結果はこうなった。ともあれ、これで私たちの一つ目の指針が決まり、そして二つ目は……

 

 

「“戦力の拡張”各地で召喚されたサーヴァントとできる限り多くと合流する」

「……この間、聞きましたよ?」

「なに、ただの確認さ」

 

 と、ジェロニモさんとヘクトールさんが馬車の前方の席でそう話している。

 

「我々は二つの勢力に比べてあまりにも少数、エジソンのようにケルトを蹴散らしながら、進軍など不可能。ならばとれる方法は一つ。

暗殺(アサシネイト)”合流したサーヴァントと協力しケルト中枢部に潜入、“(キング)”を撃ち取ることで、この特異点を修復する。」

「ですなぁ、まさしくそんな話でしたよ。で、我々は召喚されたサーヴァントと合流した移動を続けていると。」

「ラーマを知るものを探すのと同時に、ね。彼が強力な戦力であることはもちろんだが、個人的にも彼の望みはかなえてやりたい。」

「お優しいことで、まぁおじさんはただの槍なんでね、そういうことは今回は無縁で行きますよ。」

「そうか……確認することは以上だ。すまないね、付き合わせて。」

「いえいえ、必要なことです。」

「ああそうだ、もう一つ確認することがあった。」

 

 と、ジェロニモさんは一呼吸おいて再び口を開き

 

「ヘクトール、君は後藤ひとりのサーヴァントで間違いないな?」

「もちろん、俺と“あの少女”は契約関係だ」

 

 その問いかけに対してヘクトールさんは、ためらいのない口調でそう答えた。その返答にたいし、通信機越しにダヴィンチちゃんの声が差し込まれる。

 

『いやいやヘクトールの奴、忠誠のなさを隠そうともしてないね!清姫がこの場にいなくてよかったー!!』

『ぼっちちゃんがマスターの器か見定めているんだろうね…彼女は今、戸惑っている。“クーフーリン(恩人)”が敵になったわけだからね……』

『特異点が違うんだ、別人のようなもんだぜ?』

『理屈ではそうだとしても、彼女はそんな風に器用に割り切れないだろう。マシュだってそう、動揺している。ヘクトールがぼっちちゃんを“主”と認めるか否かは、敵への向き合い方で決まるだろうね……』

 

 といった話を聞いているうちに、私たちはニューメキシコ州7のルナ群デミング市に到着した。

 

 

「本来ならこの土地は、まだスペイン領なのだがね。エジソンが統治したことで、アメリカ合衆国としての呼び名で呼ばれている。」

『ここには未知のサーヴァントが二騎滞在していて、合流できれば大きな戦力になる…そうだね?』

「先立って仲間のサーヴァントが接触し確認している、それより…」

 

 そうジェロニモさんとロマンさんが話をし、ふとジェロニモさんが婦長さんに視線を向ける。

 

「ナイチンゲール…その恰好は…」

 

 視線の先の婦長さんは、まるで寝袋に包まれたかのようなラーマさんを背負っている姿があった。

 

「ラーマバッグです。」

「ラーマバッグ」

「彼は私の治療がなければ、すぐ死んでしまうので移動中も治療できるようこのように」

「生きたいけど死にたい」

 

 実際、背負われているラーマさんは死んだ目でそう呟いていた。

 

「余はコサラの王ラーマであるぞ!それがどうし」

 

 と叫んだ直後、婦長さんの頭突きが彼の後頭部に刺さって気絶した。か、かわいそうだな…

 

「沈静しました、行きましょう」

「……」

「あの、先輩…」

『ま・す・た・ぁ♡』

 

 マシュのほうへと振り向こうとした瞬間、突如通信で清姫ちゃんの声が差し込まれた。

 

「き、清姫ちゃん・」

『はい、おぺれーたーの方と“代わっていただいた”ので暫くは私が♡』

 

 ちゃんと穏便に代わってくれてたのかな?それなら良いけど…

 

「あ、そうなんですね、あり……」

「…」

 

 ふと、映像先の清姫ちゃんが笑顔で私のかをのぞき込んでいた。

 

 

「あ、あの清姫ちゃん?」

『いえ!ささ、ひとり様!新たなサーヴァントと合流しなければ』

「あ、はい…」

 

 いったい何だったんだろう。そんな疑問を私やロマンさん達は疑問に思ったものの先を進めることにした。

 

 

「そ、そうですね。幸い丁寧に看板で案内してくれてます。」

 

 マシュの視線の先にある看板へと向く。するとそこには…

 

「ブロードウェイ、開催中?」

「アメリカのショービジネスの中心地だったかと」

「ミュージカルとか、でしょうか?そういうのが好きなサーヴァントの方がやってるとか?」

「ああ、であればエリザベートさんとかでしょうか?第二特異点でも会いましたし。」

『え”?』

 

 清姫ちゃんの露骨の声が聞こえたものの、一応簡単に説明しておこうと思った。

 

「えっと、そこであったんです。いろんな土地に行けて楽しそうでした。」

『相変わらず能天気な…』

「第二特異点はローマだったのですが、ネロさんにもとてもお世話になりましたね。」

「ネロというと“暴君ネロ”か?いいイメージはないが…」

 

 次いでジェロニモさんも聞いてきた。マシュは続けて話し始めた。

 

「歴史に伝えられる限りは、その通りかと。暗殺と迫害と醜聞に満ちた人生。ですが私たちが出会った生前の彼女は、そんな人ではありませんでした。」

 

 私の脳内、そしてマシュの記憶にはきっと、それこそ華やかな笑みを浮かべているネロさんが浮かび上がっていたのだと思う。

 

「華やかな、薔薇のような笑顔で民を愛し、国を愛し、世界を深い愛で満たすような、そんな人でした。」

『…楽しかったのですね、今までの旅と同じくらい。』

「はい、帰ったら清姫さんにもお話したいです。」

『ええ、楽しみ』

「では合流するのは、その二人かもな。星のめぐりというのはあるからね。」

『なるほど、確率的にはありえないが、ロマンチックでいい考えだね。とはいえ二人とも、恐ろしい音痴だからね』

「あ、あははそうですね。ショーで思いっきり歌われたりしたら甚理修復どころじゃなくなっちゃいますからね。」

 

 と、私とロマンさんが笑いながら話していると…

 

「ふ、後藤ひとりに魔術師殿。そんなこと言ったら、本当に出てしまうぞ。」

 

 なんて不穏な言葉が放たれてしまい、先へと進むと……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼえ~~~~~~~♪」

「ぼえ~~~~~~~♪」

「____」

「____」

 

 

 その町はほとんどもぬけの殻となっており、舞台にはネロさんとエリザベートさんが気持ちよさそうに歌っており、観客席では男の人が二人瀕死になっているという地獄絵図で

 

「何度も出てきて恥ずかしくないんですか!?」

 

 …自分でもめったに言わないような、そんな言葉をつい叫んでしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 と、予想外な出来事はあったものの

 

「久しぶりね子犬達!縁があるわね!!」

「貴殿らがエリザベートが言っていたカルデアか!生前に一度会ったと聞いたがなるほど、二人とも好みだ、良い顔をしている!」

 

 エリザベートさんと白いネロさんが笑顔で迎えてくれて、特にネロさんが私とマシュの肩をバンバンと叩きながらそう言ってくれた。

 

「あ、ありがとうございます。私たちもお二人に再会できてうれしいです…ですが、その、この惨劇は一体…?」

 

 

 ステージの周囲の建物は荒れに荒れており、荒野のこうに静寂が走っていた。

 

「オ、オレから説明しますよ…」

「あ、貴方は!?」

 

 マシュの問いかけに、緑色の服を着た男性が手を挙げて答えてくれた。

 

「アーチャー、真名は『ロビンフッド』だ。ジェロニモの旦那に協力している一騎でね…そこのド音痴どもの協力を求めにこの町に来てたんだ…ゴフ!ガフッ!ガフッ!」

「ロビンフッドさん!」

「下がって!内臓に損傷が見られます!」

「イギリスの伝説的義賊ロビンフッド…弓の名手である彼がここまでの傷を負うなんて…!!」

(…まぁ、弓で音波防げないからねぇ)

(て、ヘクトールさん思っているんだろうなぁ)

 

 と考えていると、今度は小柄な男性が手を挙げてきた。

 

「じゃ、じゃあ続きは僕が話すよ…」

「あ、貴方は?」

「『ビリー・ザ・キッド』アーチャーさ…二人は協力を条件に、ここでリサイタルを開くことを求め、覚悟を決めた僕たちは住民を逃がし君達を待ち続けた。あとは、知っての通りさ…ガハッ!グッ!グウゥ…!」

「ビリー・ザ・キッドさん!」

「彼も内蔵が、処置します!」

「アメリカの代表的アウトロー、ビリー・ザ・キッド!銃の名手である彼がこんな状態になるなんて…!」

(…銃で音波は防げないからねぇ)

(て、ヘクトールさん思っているんだろうなぁ)

 

 なんて、再び私は思ってしまった。

 

「説明聞いた通りよ、子イヌ!緑ネズミ(ロビン)から話は聞いているわ!」

「うむ、正直まだ歌い足りぬが!」

「ランサー『エリザベート・バートリー』!!」

「セイバー『ネロ・クラウディウス』!!」

「人理修復の為に!」

「力を貸すとしよう!」

 

 と、お二人はキラキラとした表情で私たちに協力してくれることに同意してくれた。

 

「エリザベートさん…ネロさん…!」

(なんで感動してるのこの娘…?)

 

 それを見てマシュが目を輝かせているのに対し、ヘクトールさんと清姫ちゃんは冷ややかかつ癒そうな表情を浮かべていた。そして、ジェロニモさんがアーチャーのお二人の肩に手を置き

 

「と、とにかく彼女たちの協力はありがたい。よくやってくれた」

 

 労いの声を与えていた。よかった、お二人の苦労を労ってくれる人がいてくれて…

 

「それで、これからどうするの?」

「“(キング)”とやらを倒すのであろう?どこに居を構えておるのだ?」

「これから話そう。まずは…」

「待ってくれ…お前たちに、聞きたいことがある…」

 

 ジェロニモさんが話を進めようとしたとき、婦長さんに背負われているラーマさんの声が差し込まれた。

 

 

「ラーマ、だったか?申すがよい」

「私が話そう、喋るのも辛いはずだ」

「よい…これは余が尋ねなければならぬ問いかけだ…」

 

 呼吸が乱れながらも、ラーマさんは話し続ける。

 

「余には探している者がいるので…余の大切な、この命を懸けて追い求める者が…」

(い、命をかけてでも大切な人を探してたなんて!?自分も死にかけているのに…)

「お前たちに聞きたいことは一つ…余の…」

 

 では、いったい誰を探しているのか、私たちが聞き耳を立てていたその時だった。

 

「“無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)”」

「っ!?」

 

 急に、聞き覚えのないそんな声が乱入した。

 

『上空に魔力反応!?何かが地上に向かって放たれ…これは宝具だ!?』

(初手から宝具!?)

 

 そう思った直後、私たちの前に司会を覆うほどの水しぶきが発生した。

 

「地面が割れるほどの水流!?」

 

 そして、その水流が足元の地面をぱっくりと割り、私たちとジェロニモさんやエリザベートさんたちの間を割ってきた。私たちがどうにかできることもなく、どんどん流される羽目となった。

 

「ジェロニモさんたち、町の端まで流されてしまいました…」

「敵の分断工作か、それぞれの位置は?」

『駄目だ、とても合流できる距離じゃない。それに見えるはずだ、ケルトのサーヴァントがもう来てる。』

 

 ロマンさんがそういった直後、私たちの見える距離に男性の姿が見えた。

 

「サーヴァント・セイバー『フェルグス・マック・ロイ』だ。ケルトの将としてお前たちを穿ちに来た。」

『クー・フーリンの友にして、養父でもあった魔剣使い。彼の下に仕えるのは道理か…!』

「クー・フーリンさんの…」

「…」

 

 この瞬間、横からヘクトールさんの冷ややかな視線を感じた。何を考えているのか、なんとなくわかる。

 

「4騎、いや3騎か。フィンめ、年寄りに譲ったな。」

『魔力反応増大!来るぞ!』

「待て!!」

 

 激突が始まろうとした直前、ラーマさんの叫びによって止まった。

 

「む…」

「貴方、また」

「悪いが黙らぬ!ケルトの戦士フェルグスよ、貴様に問いたいことがある…!余の妻を…“シータ”という少女を知らぬか!?」

(妻!?奥さんを探してたの!?)

「妻?その幼さで…いや、サーヴァントに見た目は関係ないか。その名は知らぬが、お前に似た赤髪の少女なら見たことある。」

「シータも赤髪だ!何処にいる!?」

「言うと思うか?知りたいならば力ずくが道理だろう?」

 

 フェルグスさんの声に、重い威圧感が帯びる。

 

「できるか(わっぱ)、その無様さで」

 

 …知りたいならば力づくでやってみろ、とフェルグスさんが暗に言ってる以上シータさんのことも知っているのは本当かもしれない。それに…

 

「ハァ…ハァ…だからといって、諦められるか…」

 

 命を懸けて奥さんを探している、たとえ罠だとしても確かめたいのは当然な話だ。

 

「頼む看護師殿、カルデアのマスターよ…余に力を貸してほしい…!」

「___」

 

 その言葉に私は

 

「ヘクトールさん」

「はい?}

 

 ギターの弦を弾いて応えた。

 

「“緊急回避(バック・ブリンク)”“瞬間強化(ブーステッド)”」

 

 かつてオケアノスでヘクトールさんを仕留めたかけ合わせの礼装魔術、それを施して一瞬にしてフェルグスさんの背後へと移動させた。

 

「うお!?」

「ぬっ!?」

 

 ヘクトールさん、フェルグスさんのお二人は動揺しつつも武器を激突させて金属音を鳴り響かせる。急な出来事でも、しっかりと武器をふるう。流石は大英雄といわれるだけある、と改めて実感した。

 

「ハ!好戦的なマスターだ!しかし、サーヴァントも戸惑っているぞ!」

 

 地面を滑りながらフェルグスさんはそう言い放つ、何の打ち合わせもなしにやったことだから当然の話ではある。

 

「先輩…?」

『…』

 

 場に緊張が走り、マシュからも困惑の声が漏れる。だけど私は、一呼吸おいて口を開く。

 

「さっき“これからどうする?”と、ヘクトールさん言いましたね。」

「!」

「クー・フーリンのことを割り切れてるとは思いません。例え、冬木で出会った人と別人と言われても変わらないです。でも、それでも私は戦います。だって、私の目の前に力を貸したい人がいて」

【その向こう見ずさを忘れるな?そういう奴にこそ、星の加護って奴が与えられる。】

「割り切れない人だからこそ、私の全霊をぶつけたいと思ったからです」

【今立っているこのステージを目指したバンドを、今回たくさん見てきました。いいバンドばかりだった…凄いギタリスト(後藤ひとり)にも出会った。でもそれを退けて、私は今ここに立ってます!

だから、その分背負ってるものが半端ないの!しょっぱなから死ぬ気でトばすから!最後までついてきなさい!】

 

 クー・フーリンさんが冬木で言ったこと、そして私たち結束バンドを押しのけて最終ステージに駆け上がった大槻ヨヨコさんの言葉を思い出す。特に、大槻さんとはステージを懸けて私は全力でぶつかったからこそ、悔しくて泣いた。

 なら、もしもまた違い形で出会ったら?大事な知り合いだからぶつかりたくありません、なんて情けない言い訳だ。それは、クー・フーリンさんも、大槻さんだろうと変わりない!認めてくれたからこそ、真剣勝負なら手抜きや逃げの言い訳並べるなんて論外だ!同意するように、ギターも厚く魔力を帯びたような気がする。だから…

 

「ヘクトールさん、これが私の“命令(オーダー)”です。ついてこれますか?」

「後藤…君は」

「マスター…」

『…わかってたんだね』

『ええ』

(ひとり様は臆病な性分ですが、真剣勝負は必ず全力で挑む方ですから。)

「…ハ」

 

 私の問いかけに、ヘクトールさんは冷ややかながらも笑った声を出した。

 

「言うじゃないですが、小娘」

 

 次いで、槍の穂先をフェルグスさんに向けながら続けていった。

 

「お任せあれ“マスター” 年季の違い見せてあげますよ。」

 

 その言葉から、少なくとも私をマスターとしては認めてくれたことがうかがえた。

 

「ラーマくん」

「!」

「激しく動きます、我慢なさい」

「…感謝する!」

 

 そして婦長さんも参戦し、フェルグスさんの歓喜の笑みが更に強く浮かび…

 

「…面白い、なんとも食い出がある者達と出会えた!

セイバー・フェルグス!推して参る!!」

 

 その叫びが開戦の合図となった。

 

 

 

 

 

 

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