ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ 作:ヘル・レーベンシュタイン
年末年始は、どうにも忙しくなる身分なもので、更新もだいぶ間をあけてしまいました。少しは落ち着きが出てきたので、ちょっとずつ調子を取り戻していきたいと思います。
『ぼっちちゃん、現状を確認する!君たちは今、ケルト軍のサーヴァントによって3方に分断された。敵サーヴァントは一騎!
数はこちらが優ってるが油断はできない!観測される彼らの魔力量は膨大、つまり何者かと契約を交わした強力なサーヴァント達と言うことだ!』
ロマンさんの声を聞いて、緊張が走る。つまりマシュやヘクトールさんと同じ契約されたサーヴァント。しかも、どうやら戦闘慣れしてる人達のようで……
(この人……)
マシュの盾に、フェルグスさんの持つドリルの様な形をした攻撃がぶつかり激しい金属音が私達の耳に届く。
(力はヘラクレスやアステリオスさんに劣るものの、こちらの体運びを読んで受けづらく躱しづらい一撃を入れてくる。剛くて巧い!!)
何度か戦線を経験してるマシュですら、防戦一方で苦境に苦しんでいる表情をしている。更に……
フェルグスさんの背中に火花が散る。背後から振り下ろされたヘクトールさんの一撃を、背中越しに剣で受け止めた。あり得ない、そんなこと可能なの!?
「やりづらいねぇ!後ろに眼でもついてんのかい!?」
「経験豊富でな、しかし!」
フェルグスさんが振り返りつつ、強引な横薙ぎを放つ。それをマシュとヘクトールさんは距離をとってどうにか被弾を避ける。
しかし、その様子にフェルグスさんは少し失望した顔になる。
「思ったよりつまらんな、まるで連携がなってない。」
直後、空を切る音が走る。
「まあ、仕方なし」
婦長さんの不意打ち、それすらまるで道を譲るかの様に容易く慣れた様子で避ける。
「狂戦士に足並みを求めてもな!」
同時にフェルグスさんの追撃が直撃、幸い腕でガードしてるものの血が飛んだ。まずい!
「あ、な、治します!」
「止まって!私よりラーマくんを、出血してるようです」
「たわけぇ!余に構ってる場合か!あの男は強い、全員で連携せねば勝てぬぞ!?」
そう叫ぶラーマさんの前に、すかさずマシュとヘクトールさんが立つ。直後……
「あたた……!!」
「ラ、ラーマさん!」
やっぱり、さっきの衝撃で傷が空いたんだ!早く癒さないと……
「思ったより枷が重たかったか、とはいえ……もっと戦いを楽しみたいんだがな、妻の行方を知りたいのだろう?」
退屈を感じさせるフェルグスさんの声、同時に威圧感が強くなった気がする。
「っ!魔力量が上がった!?何を……」
「追い詰めれば、やる気が出るだろう?つまり、宝具解放、というやつだ」
そう言いながら、フェルグスさんは握る剣を地面へと突き立て……
「“
直後、巨大な破壊音と共に虹色の光が爆発した。
「くっ……」
幸い、マシュが咄嗟に防御したことでその破壊に巻き込まれず私たちは無傷で済んだ。だけど、足場を崩されてマシュが崩落に巻き込まれかけた。
私とヘクトールさんがどうにか腕を掴んで、マシュは崩落せずに済んだけど……
『虹色の剣光が触れたもの全てを破壊していく……地形破壊宝具とでも言うのか!?』
「マ、マシュ大丈夫!?」
「平気です!ですが、このままでは……」
(ジリ貧だな、剣光が続く限り身動きが取れん。ドゥリンダナで届くか?いや、この足場では保たん。どうしようかねぇ?)
「____」
手詰まり。そんな雰囲気の最中、ふと婦長さんの横顔を見る。視線が崩れる地形の一角、一軒家が破壊される光景がそこにあった。
直後、どうにかマシュを掬い上げると同時に。
「後藤、ラーマくんを任せます。治療をよろしく。」
「あ、て、婦長さ」
言うよりも早く、婦長さんは躊躇う様子を一切見せず私達の足場から降りた。
「んんんんんんんん!?」
「はぁ!?」
(フェルグスさんも驚いてますよ!?)
婦長さんの落下先はフェルグスさんであり、虹色の光すら恐れず婦長さんは飛び掛かった。
戸惑いながらも、婦長さんの奇襲の直撃を防いだ。
「正気か女ぁ!?」
「……貴方達こそ、何をしているのです?」
「は………?」
「貴方達の、2度の大規模攻撃でこの街は完全に破壊された。何のために?いいえ、答える必要はありません。」
瞬間、声の大きさは変わらない。何かを変貌させたわけでもない。だけど、遠くから見ながらもその威圧は私にも伝わった。
「“
婦長さんの顔が見えたわけではない、だけどそれはまさにバーサーカーに相応しい威圧感と狂気を感じさせる声色だった。
「理解しました、ケルト軍とは何か完全に。」
直接対面しているフェルグスさんすら、それは青ざめるほどだった。すかさず剣を振るうが、婦長は距離をとって回避する。
「貴方達は病原です、病に冒されながら人々に病を撒き散らす。
“戦争”という病を、私はそれを許さない。故に……」
直後、婦長さんの背後が揺らぎそこから巨大な人の形をした何かが現れた。
「貴方を“治療”します 貴方を“殺して”でも」
その姿に私にどこか既知感を疼かせた。
(あれ、は……ナース服の巨人!?)
「宝具、巨大な女だと!?」
これが、ナイチンゲールさんの宝具なのだと。
「すべての毒あるもの 害あるものを絶ち
我が力の限り 人々の幸福を導かん___!!!」
【
そして、婦長さんの背後のナースの巨人が握る剣を振り下ろしフェルグスさんに直撃した。
「ぐ……なんだ、何が起きた!?」
けど、その見た目通りの破壊音は聞こえず、そもそもフェルグスさんにダメージを刻んだ様子もなく、何か破壊したような光景が見られなかった。
寧ろ、さっきまで破壊を散らしていた虹の光がその瞬間消え去っていた。
(攻撃宝具ではない、だが剣を握る力は抜け、虹霓は霧のように拡散していく……これは、戦う力を無効化する宝具か!!)
「見事、だがその様で俺を殺し切る力はあるまい!」
「………」
そう、確かにフェルグスさんの攻撃は無効化された。けど、フェルグスさんそのものを完全に無力化したわけではなく、寧ろ宝具を発動するまでに婦長に多大なダメージが刻まれたわけで……
「いいえ」
けど、かといって私達もただぼうっとしてたわけじゃない。すかさずギターを鳴らし、ヘクトールさんに瞬間強化を施して奇襲を起こす。
「チッ!」
不意をついて距離を詰め、ヘクトールさんは槍を振り下ろす。しかし直撃には至らず片腕を飛ばすに終わる。
「これにも反応するか!」
「ハハハ!強きものたちと出会えたのだ!まだ逝くのは勿体ない!」
「フェルグス殿!」
上空から声が聞こえ、先程のケルトのサーヴァントの人がワイバーンに乗り上空から声をかけていた。
「頃合いかと、竜を用意しました。戻りましょう。」
(撤退!?けど、まだラーマさんからの……)
「忘れてはおらんよ。」
私の考えてることを察したのか、フェルグスさんはワイバーンに乗りながら答えた。
「インドの戦士、愉しい闘いだった。妻の行方を教えよう。それについでだ、ケルトの情報を一つ教えよう………」
フェルグスさんから教えてもらった情報を聞いて、分断された人達と合流し私達は街中を見渡す。そこはまさに、破壊しかなかった。
「ロマンさん……」
『住民にはここを離れて貰うしかない……』
「そんな、住民の方は何も悪くないのに……」
「……これならどうする?」
「……これがケルトというものならば、やはり強力な英霊の力が必要不可欠だ。ラーマの治療を急がねばなるまい。」
「あ、確かフェルグスさんが言ってた場所は……」
「ああ、島の名は“アルカトラズ”という、アメリカ史に残る“監獄島”だ。」
つまり、そこが次に私達の目指す場所であり……
「そこに、シータが……」
「無論連れて行きます、それまで耐えなさい。どんな痛みでも」
「当たり前だ、シータに会えるのならこれくらい……」
「ラーマさん……」
僅かにだけど、ラーマさんの表情が少し明るくなった気がした。
そうして私達は、一晩過ぎた後に舞台を二つに分けて行動することになった。
一つはケルトの王を暗殺するために東へと、ジェロニモさん、ビリーさん、ロビンさん、エリザベートさん、ネロさんが向かった。
そしてもう一つ、ラーマさんを救うために西へと私達と婦長さんとラーマさんがアルカトラズへと向かっていた。
「石の巨人!?」
その道中に、人の形をした石の巨人が何体か現れた。
「ゴーレムと呼ばれるものです!」
「何であろうと突破します!」
初めて見るものの、マシュや婦長の攻撃で次々と破壊されていく。
「進路が開けました、最短距離でラーマ君の奥方の元へ!行きますよ!」
「はい!」
「………」
その最中に、私は思い出す。エリザベートさんと話した事を。
そう、私はフランスで彼女に出された宿題のことをまだちゃんと話せてなかったから、そのことを伝えようと呼びかけたのだった。そして、ファブニールとの戦いで抱いた気持ちを、可能な限りそのまま伝えた。
【あーそういえば、そんなこと言ってたわね、私。】
と、なんと本人は忘れていたのだった。なんとも、エリザベートさんらしいなと思えて逆に安心できた、気がする。
【けど、義務感だけの心境からは卒業できて良かったわ。ただ状況に流されるんじゃなくて、マスターとして、そしてギターヒーローとして進んでいく、良いじゃないそれ。】
【あ、はい。おかげで私は私の気持ちと少しずつ向き合えてる、そんな気がします。】
【それで、今はソロモンって奴が敵ってわかったのね。なら、そいつにどう立ち向かうの?】
【え?】
【いや、え?じゃなくて】
唐突な問いかけに、私は空返事をしてしまった。けど、聞かれたら以上はこたえないと……
【え、え、えっとそのソロモンの弱点とか考えてそこから対策を……】
【甘ーい!そんなゴチャゴチャ小賢しい考えしてたら出遅れるわよ!ていうか、アンタはギターを弾くことしか出来ないんだから、弱点の解析だの何だのはマシュやその手専門家に投げておきなさい!アンタには時間の無駄!
私が聞いてるのは、アンタがソロモンに対してどんな答えで歯向かうのかって聞いてるの!】
【え、こ、答え?】
捲し立てながら叫ぶエリザベートさん、曰く答えがソロモンに立ち向かうのに必要ということらしい。
【いい?アンタとカルデアは、ソロモンと山登りの競争してる様なもの。今はソロモンがズルして大幅リードした様なもの。アンタはそれに追いつき追い越さないといけないの。
それなのに、最初はアンタはただ足を動かすしか知らなかった。けど、今は自分の意思で山頂を目指すって決めることが出来た。なら、何処に向かってどの方向にいつまで、荷物はどれだけ持って行くか、そして何のために山頂を登るのか決めないといけない。】
何となくエリザベートさんの言いたいことがわかる気がする。つまりフランスでの私はギターの弾き方すらわからなかった状態。それがようやく、弾き方を理解して慣れてきた。なら次は何のためにギターを弾くのか、どんな曲を奏でたいのか決めないといけない、ということなんだろう、と。
【なのに、ソロモンやら他の敵からあれやこれやと言われて混乱して右往左往してたらそりゃ負けるでしょ!その為にもアンタの中で、変わっちゃいけない動機を決めて翻弄してても進める理由を見つけなきゃいけないの!アンタはリーダーってタイプじゃないけど、一番最初にかけ出せる先駆者としてあれるんだから、そこはちゃんと決めておきなさい!】
だから、カルデアのマスターの私がソロモンに立ち向かう理由を決めなければならない。そこに他人の意思が混ざって翻弄されてだとお話にならない、ということなんだと思う。
変わっちゃいけない動機、最終的に私はそれを決めなくちゃいけない。まだ今は言葉足して形にできなくても、いずれ必ず……
【……もしかしたら、そう言うのなくて頭空っぽで勝てる奴もいるかもしれない、義務感だけ極めて勝てる奴もいるかも。けど、断言できる、アンタはそんな化け物何かじゃない。人間なんだから、ソロモンと戦うまでに目指す真実をちゃんと見極めるのよ。】
【……はい、必ず。】
【うん、じゃあ頑張りなさいよぼっち】
そう言って、エリザベートさんは背を向けて去っていった。今度は宿題と言わなかった。そこに少し寂さを覚えたけど、きっと成し遂げてくれる、そういう信頼もあるんじゃないかと、私は感じたのだった。
そして、アルカトラズへと入りその廊下を走っていく。
(フェルグスさん曰く、ケルトの王は『メイブ』という女王でその人が聖杯を持ってることは確実。そして、状況からしてラーマさんの奥さんがアルカトラズに幽閉されているのは確実。
さらに、門番のように住み着いている戦士がいる、とのこと。だから戦闘は避けられないわけで……)
ふと、部長さんの背中に背負われているラーマさんを見る。道中で私とサーヴァントの契約をし、若干症状は良くなったもののやはり完治はできなかった。まだ呼吸は荒く目はうつろ、辛いなんてものじゃないのは私にもわかる。
「……余は、この地で誰も救えず、それどころか何人か巻き込み殺された。なんと、罪深い……この痛みは当然の罰、か……」
と、ラーマさんはどこか懺悔するようなことを呟いた直後……
「!!」
再び婦長さんの後頭部による頭突きが炸裂した。流石に私もヘクトールさんも目が飛び出てしまう。
「なにしてる
「あ、あの婦長さん流石にそれ……」
すかさず、マシュが手を差し出してきた。そういえば、ここに向かう道中でマシュと部長さんが何か話してたよう……
「ラーマ君。貴方が何を罪深いと思い、罰だと思うのか知りませんが……傷病が罰であるなどあり得ません。それは貴方を治そうとする者、救おうとした者への侮辱です。」
「………すまん」
(……婦長さんが言おうとしたこと、わかってたんだ。何を話してたのか知らないけど、マシュ凄い……)
「それに……」
直後、不意に再び婦長さんが走り出した。
「ちょっ、急にまた走り出したら……」
「止まれ!前方に魔力反応、デカブツが来るぞ!」
ヘクトールさんのいう通り、曲がり角からゴーレムとは比較にならない巨人が現れた。
「これ、は……」
『解析した!そのデカブツ“妖精”のソレに近いぞ!
妖精の如き巨人!?まさか、イングランドにて語られる伝説の巨人!?』
ダヴィンチちゃんが語る内容から、強敵であることが伝わる。それでも、婦長は一切止まる様子を見せない。
『下がるんだ婦長!そいつの名は___』
そして、腕を振り上げ
『スプリ』
振り切った剛腕一閃、それによって巨人が
「_」
「_」
「_」
「_」
その、あまりに出鱈目な光景に私達は絶句してしまった。しかし、婦長さんは全く様子を変えることなく淡々と続ける。
「それにもう一つ、看護師が負傷者を治すのは当然のこと。変に罪悪感を持つ余裕があるのなら……回復に専念なさい、殺しますよ。」
「は……はは……何とまぁ、まさにお主はバーサーカーだ!」
と、あまりに婦長さんの奇天烈な行動と言葉にラーマさんはつい素面の笑顔が漏れてしまった、そう見えてしまった。
「へぇ、そいつは奇遇だ。」
が、直後に影から現れた男性の奇襲が婦長さんを襲った。
「婦長さん!」
「頑丈頑丈、嬉しいね同胞。」
幸い傷は浅そうだけど、この男性が噂の門番 戦士だと察した。
「アルカトラズ刑務所にようこそ、“ベオウルフ”バーサーカーさ。
入監か、襲撃か、脱獄の手伝いか、要件を言いな。殺した後に叶えてやる。」
『ベオウルフ!英文学最古の叙事詩と謳われる物語の主人公……彼が噂にあった戦士か!』
「クッ……」
「無事か婦長!?余を守るために受け身も取らず……」
態勢を立て直す余裕すら与えず、ベオウルフさんが剣が振るわれた。そのどれもが婦長に向かい、血を撒き散らしていた。
(刃物の動きが読めない、犬肉の動きと連動せずまるで刃物が独自に動いてるかのような……)
「悪いな、この獲物は血の匂いが好物でね。そのため勝手に動くのさ。」
つまり、血の匂いを求めて自動で動いてるんだ。なら……
「ヘクトールさん、支援を!」
「わかってますよ!」
ヘクトールさんに間を割ってもらおう、本人もそう思ってたようで駆け出すが……
同じように血を求めて勝手に動くベオウルフさんの剣が、それ以上進めるのを許してくれない。
「焦んなって、品良くタイマンの気分なんだ。
つーわけで、頑丈な姉ちゃん。まずは、てめぇからだ!!」
そう言いながら、ベオウルフさんの剣が婦長さんの首元へと迫って行った。
「えっ……」
そして血が飛ぶ、だけどそれは婦長さんのではない。
「おいおい、盾も出さずよく割り込んだ……!!気合の入ったお嬢さんだ!」
それは、マシュの血だった。それも盾も出さず、腕だけで強引に。なんて、無謀な……
「マシュ、お主まで!」
「盾を出してたら間に合わなかったもので、後で回復をお願いします。
それよりもラーマさん、シータさんを愛してますか!?」
「___」
(何で今ソレを!?)
唐突なマシュの問いかけに、ラーマさんの目が白くなり私も思わず内心突っ込んでしまった。
「あ、あ、あ、当たり前だ!!いまさらなにをいわせるのだ!?」
赤らめながらラーマさんが答え、その直後にマシュと婦長さんの口端が上がり
「いいえ!」
「まさに」
「それが聞きたかったのです!!」
二人の声と拳が重なって、炸裂しベオウルフの顔を跳ね上げたのだった。その光景に、私とヘクトールさんも唖然としてしまう。
「ハハハ!いてぇなぁお嬢さん方!」
「ありがとう、マシュ。そして何よりです、ラーマ君。貴方から生きようとする気力を感じます、治ろうとする気力が。その医師こそが、治療には大事なのです。
故に“私達が”貴方を治す、貴方が奥方に愛を囁けるように。」
そう、拳を力強く握りながら宣言する婦長さん。その姿はまさに鋼の天使、そう感じさせる存在感があった。
「後藤、ヘクトール!二人ともボサっとしない!」
「はい!」
つい見ていたらそう呼びかけられ、ヘクトールさんもろともから返事してしまった。まさに、マシュと婦長さんの気力に圧倒されていた。
だけどふと振り返る、実際のところ婦長さんの言ってたことはフェルグスさんと戦う前と同じであり、その目的が明確になったわけで……
「ヘクトールさん……」
「わかってますよ、マスター。恋物語に熱を燃やすご婦人方に少し圧倒されちまったが、ベオウルフを倒すことに同意です。婦長の治療の手助け、全力でやりますよ。」
「お願いします」
「……フッ、ハハハ!」
ふと、ラーマさんの笑い声が聞こえた。
「ああ、みんな頼む!人の恋路を邪魔する、そこの三下を蹴飛ばしてくれ!」
「言うねぇ、荷物まがいの半死人が!!いいぜ、テメェは全員、女の為に命張って、見事玉砕していきな!!」
そうして、ラーマさんの奥さんを奪還すべく、ベオウルフさんとの戦闘が開幕した。