ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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vsエジソン戦スタートです


第三十九話

 

 

強制徴用 思想教育 薬物投与

 

あらゆる手段で市民を戦いへの駆り立てた、それがアメリカという国家を守るため、大統王エジソンが導き出した答え。

 

だが時折何処からか、問い掛ける声がするのだ。

 

【発明王エジソン、お前という英雄はそんなにも“非道な男だったか?”】

 

という声が……

 

 

 

 

 

 

 

 

『流石婦長……』

 

 機械化兵士達との戦闘は、婦長さんが終始圧倒していた。

 殴って、殴って、ひたすらに殴っている。

 

『駆動部と言わず、頭部への直接打撃で装着者を失神させてる……』

 

 だけど、すかさずエジソンは手を掲げながら叫ぶ。

 

「脅威の制圧速度だ、しかし我が機械化歩兵の物量はそれをも上回る!」

(更にダメ押しとばかりに増やした!?)

 

 まさに数の暴力、このままではキリが無い!

 

【レオナルド!】

【了解、端末借りるよ。ぼっちちゃん、こちらでエジソンの能力の解析を始めた。もう少し粘ってくれ!】

「は、はい!了解です!」

 

 幸い婦長さんもマシュも、大きな負担にはなって無いようだ。なら、ダヴィンチちゃんの解析が完了するまでひたすら兵士さん達を倒すことに専念しよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後藤ひとり達が、エジソンと交戦してる最中、宮殿外でも激闘が繰り広げられていた。

 

「流石だな」

 

 ランサー・カルナが流麗に跳躍しラーマの斬り払いを回避する。

 

「あの“ラーマーヤナ”のラーマと戦えるとは。未熟な現界、マスターと離れ魔力供給もおぼつかぬ状況でこの強さ……」

 

 すかさずカルナの頭上に追いつき、振り下ろしの一撃を放つ。流石のカルナも回避はできず、正面から防ぐものの背後の地面が割れたガラスのように砕けて四散する。

 

「この大陸最強の一角に相違ない。」

「今の其方に褒められてもな!施しの英雄カルナ、聖人と謳われた其方が何故エジソンに与する!?」

 

 すかさずラーマが追撃を放つ。二撃、三撃、それを槍を回して逸らしながらカルナは答える。

 

「最初に助けを乞うたのが奴だった、そして多かれ少なかれ戦争において非道が行われるのは常だ。」

 

 ただそれだけのこと、そう示すようにカルナは答える。直後、大振りの刺突を放ってラーマを弾け飛ばした。

 が、その隙を突いて背後からヘクトールが奇襲を繰り出し、振り下ろしの一撃が迫るもそれを寸前で反応しカルナは防いだ。

 

「カルデアのランサー、お前の武も侮れん。」

「どうも、てかその呼び方やめてくれません?」

「では、なんと呼ぶ?忠誠はあの少女にないか?

ならば“どこ”に置いてきた?」

 

 すかさず、ヘクトールは蹴りを繰り出しカルナの顎をかち上げた。距離が開き、再び顔を見合わせれば……

 

「一言多いって言われません?」

 

 ヘクトールは光のない笑顔で問いかけ

 

「少ないと言われた気はするな」

 

 カルナは流れる鼻血を指で拭いながら、そう答えた。

 

 

 

 

 

 そして、場所が変わり城壁越しにキャスター・エレナ・ブラヴァツキーは見上げながら呟く。

 

「あっちは派手ねぇ、流石は神話に遺る大英雄達だわ。」

「余裕じゃない、キャスター一騎が。」

 

 彼女の正面に現れたのは、エリザベートとロビンフッドだった。

 

「兵士たちまで下がらせて、投降でもしますかい?」

「………投降するのは貴方達じゃなくって?」

 

 一対ニ、数的に不利なのはエレナの方である。しかし、彼女の放つ言葉には余裕と達観した雰囲気があった。

 

「直に見てどうだったかしら?

クー・フーリンは、ジェロニモさえ敗れた魔人に後藤ひとり(あの少女)が勝てると思って?魔術師でもない、銃の引き金も、軍用ナイフも握ったこともないギターしか知らなそうな少女に。

この期に及んで、エジソンのやり方を否定するような優しい…甘い子に、貴方達は命を預けられて?」

 

 エレナの問いかけに、エリザベートは鼻を鳴らしながら答える。

 

「アタシは“フランス”でとっくに預け」

「いやぁ、確かにオレはあのギターガールのこと知らないし“まぁまず無理でしょ”って感想がでますねぇ」

 

 が、反面ロビンフッドはヘラヘラとした雰囲気でそう答えた。

 

「ちょアンタ!」

「優しい綺麗事ってのも正直苦手ですし?だからまぁ、この戦いも不安ではありますが……そもそも前提が違うんだよ。

「!」

 

 しかし、ロビンの口調が変わりエレナも眉を顰める。

 

「古いツレがやられた、気のいい相棒が逝った、担いだ男が、その甘ったるい小娘に託した。

 

十分だ、オレ達はその小娘担いで最後まで足掻く」

「………良くってよ!」

 

 ロビンがそう言い放ちながらボーガンを構え、それに同意し応えるようにエリザベートもまた槍の穂先を向ける。

 それを前に、エレナは笑みを浮かべる。

 

「なら、その足掻きに付き合ってあげる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後……」

 

 どのくらいの時間が経ったか分からないけど、婦長さんの鉄拳のラッシュがとまり、同時に機械化歩兵も全員が失神した。

 

「随分と時間を取られ、エジソンも逃げたようですね。」

「はい……」

 

 そう、気がついたらエジソンさんの姿がこの部屋から消えていた。

 

「いったいどこへ……」

 

 と、周囲を見ようとしたと同時に通信機から音が出て……

 

『マシュ、宝具発動!エジソンの攻撃が来る!!』

 

 光が見えた。それは窓の先にある塔からで、まさに野太いレーザー砲が私たちに向けて放たれた。

 

『ぼっちちゃん!マシュ!!』

「だ、だいじょ……ぶ、です」

「で、ですが今のは……」

 

 幸い、マシュの宝具が間に合って私達は無傷で済んだ。だけど、私達のいる部屋が完全に吹き飛び、まさに瓦礫だらけ丸裸の部屋へと一瞬にして変わった。

 

「ふむ、よく防いだと言うべきか……」

 

 それはエジソンさんの声で、おそらく通信機越しに届かせてるんだろう。そして、光が放たれた塔の方に見れば、そこには砲身があった。

 

「何しろ私が開発した連結型魔力投射砲……」

 

だけど、それは普通の砲身ではなく

 

「即ち“大統砲”は!!

 

神話級の宝具に匹敵する出力を持ってるからね!!」

『馬鹿でーーーーーー!!!!』

 

 星型の戦車から、長い砲身が伸びてる個性的な形をしていた。それを見たダヴィンチちゃんは吹き出すほどで。

 

『笑ってる場合じゃないだろ!?』

『だってアイツのセンスマジでヤバいって!!』

 

 机を叩きながら笑ってる声が聞こえる。そ、そんなに可笑しいかなぁ?結構カッコいいかな?って思ったんだけど……

 

『ヒーッ………ヒーッ……ごめんごめん、だが今の砲撃でエジソンの解析は完了したよ。

彼の規格外の生産力、それはぼっちちゃんのように“礼装”のようなもので底上げしているからだ。』

「礼装……」

『しかも共通してるのはそこだけじゃない。エジソンの礼装は奇しくも、ぼっちちゃんのギターと同じように複数の思念体で構成されてるのもわかった。』

(え、私のギターと同じ?)

『よくぞそこまで見抜いた、ならば私自らが説明しよう』

 

 そう考えてたら、エジソンさんの声が差し込まれて答え合わせとなった。

 

『彼らは、この国の力ある存在だった。しかし彼らがサーヴァントになったところでケルトには負ける。故に彼らは私に力を託した。

 

私一人に力を集積することで、アメリカを守らんとしたのだ!!

その彼らの名は“合衆国大統領”!!

 

過去、現在、未来、すべての大統領の想いが宿っているのだ!!』

「全ての大統領が!?」

 

 そんなの、そんなの絶対軽くない!どれほどの重さか私には分からないけど、決して軽くないことだけはわかる!

 

『それがエジソンの真実、大統領達の思念……いや、怨念か!!』

『いいや“夢”だとも、だからMs.後藤よ!君ならばわかってくれると思っていた!』

「っ!」

 

 胸がチクリ、と痛んだ。

 

『ひと目見てわかった、そのギターには君を支援するもの達の思念が集まっていると!その想い、決して軽くなく、その期待に応えようとする健気さ、真摯さは本物だと!そして、ここまで来た功績を大統領のほとんどから同意を得た、この大統王の専属ギタリストとして歓迎することに相違ないと!

だのに……何故私の理想を拒否するのだ!?一時でもいい、否定せず同盟してもいいだろうに!!』

「………」

 

 アメリカだけの生存、確かに大統領なら国の繁栄を願うから自国を優先したいって理屈はなんとなくわかる。私だって家族やバンドメンバーが大事だし、優先できるならしたい。だけど……私は。

 周囲で横たわる機械化歩兵達を瞳に映せば、強くギターを握る。すると、そこに手が添えられ、婦長さんがいた。

 

「行きますよ、後藤」

 

 そう言った婦長さんの手を掴み、彼女の腕が私の腰に回された。

 

『ここまで来て尚、拒否すると言うのならば………魔力再装填!』

『またあの砲撃が来る!!ぼっちちゃん、婦長、マシュのうし』

 

 エジソンさんの周囲にある電球に、激しいスパークが走ると同時に私達はマシュの前に出て大きく跳躍した。

 

『ええーーーーー!!?

なんで飛び出してんの!?狙い撃ちにされちゃうって!』

 

 風を切る音が私の耳に入る。マシュがどうやら、ロマンさんに色々と説明してるようだがそこに気を割く余裕はあまりない。

 

『逃ーげーてー!ぼっちちゃーーーん!!』

 

 唯一聞こえたのは、そんな悲鳴のようなロマンさんの声。その最中に、私はレイシフト前に聞いたダヴィンチさんの話を思い出す。

 

【ぼっちちゃん、君に新しい戦い方を伝授しよう。

 

ヘクトールが召喚されたことで、我々はようやく余剰戦力を手に入れた。だが、それをただ余らせるのは勿体無い。

 

戦力は必要な時にあってこそさ、だから……特異点で必要になった時は喚ぶんだ。

 

契約した英霊のその“力”を、その“影”を!!】

 

 

 

 

 婦長さんに抱えられたまま、エジソンさんの砲台へと迫る。スパークと共に充填される砲撃よりも早く、私は令呪を煌めかせつつ喜多ちゃんのイメージを浮かべ、瞬間強化(ブーステッド)を込めつつ私自身が唄い挙げる。

 

『これより逃げた大嘘つきを退治します』

 

 刻む魂の起動音(レゾナンス)、その声その意思を最大共鳴(フル・シンクロ)させて一気に放つ!!

 

転身火生三昧(てんしんかしょうざんまい)!!』

 

 私の目の前に清姫ちゃんが現れ、同時に宝具を発動。エジソンさんの眼前の空間に、砲身や大型電球を包んで余りあるほどの長身で巨大な火の蛇が現れる。

 

「なにぃ!?」

 

 流石のエジソンさんにも予想外の奇襲で、火の蛇が大型電球へと突撃し焼却していく。

 

「直流式バッテリーが!!」

 

 そして大爆発が発生し、星型の砲台が大破した。

 

「グォオォォォォ!!!?」

(サーヴァントの即時召喚!契約したサーヴァントから“抽出”した力を彼女の演奏による放出によって、一時的に実体化させ戦闘に対応するとは……侮っていた!!

これがカルデアのマスター、この人理に生き残ったギタリスト後藤ひとりの戦い方か!!)

 

 そしてエジソンさんを完全無力化し、婦長さんと一緒に着地する。肩で息をする、これを発動するのはかなり体力使う。けど、それ以上に……ギターが赤く薄く点滅して……

 

(あの、喜多ちゃん……何が理由かわかりませんが、頬を膨らませながらほっぺをムニムニしないでください……ちょっとピリピリして変な顔になりそうなので……)

 

と心の中で訴えるものの、暫くほっぺをムニムニされる違和感に付き合いつつ、婦長さんとエジソンさんを見据える。彼女がエジソンさんの前に立ち塞がる。

 

「私を治療……大統領達の思念を引き剥がすつもりか!

だができるものか!私と彼らは一心同たギャフ!」

「一心同体などではありません。」

 

 エジソンの話の途中で、婦長さんのアッパーが入り込む。

 

「自覚症状もあるのに気づかないなんて」

「何を言う!私は健こフギャン!!」

 

 また再び殴られる、殴りながら婦長は語り続ける。

 

「貴方と言う科学者の天才性とは、電話機然り、白熱電球然り」

 

 また殴って、殴って、エジソンさんの鼻血が出て、赤く腫れても構わず

 

「既存の発明品を“より安価でよい物に大量生産する”事に尽きます。それは貴方も大いに自覚がある筈。」

「そうだとも!だからこそ、あらゆる資源を費やすのだ!ケルトに勝つ為、アメリカを守る為!」

 

 勝つ為、守る為、それは確かに望んで当然な物だけど……

 

「その資源の中には“人間”も含まれるというのに?」

「___」

 

 そう、それだけは私は認められなかった。投票者がいるからこその大統領、チケットを買う人がいるからのライブ。人間を燃料していけば、もう誰も投票する人がいなくなって、ライブを見てくれる人がいなくなってしまうのだから。

 

「ぐ、それは……」

 

 直後、エジソンさんはまた頭痛に顔を歪ませて頭を抑えていた。

 

「貴方の言う大統領達は、それをよしとしたのでしょう。ですが、貴方自身はそうではなかった。

 

故に苦しむのです……“トーマス・アルバ・エジソン”は度の過ぎた仕事中毒者で、少なくない悪事を働いた小心者ではあっても、多くの人命が失われることを良しとする人間ではないのだから。」

「………私は……」

『婦長』

「それはそれとして!!」

 

 再び綺麗に入るアッパーカット

 

「ゴォオッ!?」

『ブフー!!』

「そうなったのは貴方自身の意志の弱さ、己が非道に気付きながら、それに目を背け続けた小心は擁護し難い」

 

 殴って、殴って、殴りまぐって

 

「そして、そんな様だから……貴方は同じ発明家として……」

 

 そして、これがとっておきと言わんばかりに強く強く婦長さんの拳が握られ

 

「ニコラ・テスラに敗北するのですッッッ!!!」

「GAohooooo!!!!!」

 

 婦長の叫びと共に刺さる最強の右ストレート、それを受けたエジソンさんは弩級の悲鳴とともに横たわった。

 その最中に、さぞ傲慢な高笑いをしたテスラさんが脳裏に浮かび上がったのだろうと……そんな存亡が浮かび上がって。

 

「………目が覚めましたか?」

「…………ああ………私の負けだ……」

 

 そして、婦長がそう問いかけてれば、エジソンさんは目を手で覆いながら答えた。

 

「過ちを認めよう、私は私の意志の弱さ故に、守るべき市民を犠牲にしてしまった。」

「病を癒すには、病であると認める事。貴方は今、ようやくスタート地点に戻ったのです。」

「ここまで犠牲を出してようやく……厳しいな、これからどうすれば……」

 

 よろめきながら体を起こすエジソンさん。その顔は、まるで道に迷った子供のようだった。

 どうすれば……そう私は考え、ふと思い立った。そういえば、日本でエジソンといえば……

 

「……後藤?なにを……」

 

 珍しく少し戸惑う顔をした婦長さん、彼女の横をぬけて今度は私がエジソンさんの前に立って、ギターを構える。

 

「な、なんだトドメでも……」

 

 私は首を横に振り、ギターの弦を弾いた。そこに魔力もなければ、誰かの意思も込めてない“普通の演奏”だ。

 そしてそれは、日本人だったらおそらく誰もが知ってる曲だ。同時、私にとっては週末の休みの終わりを告げるデス(終末)ソングで、正直聞きたくないけど、妹の見たいアニメのオープニングでもあるため、強制的に一緒に見ることとなり、必然的に聞いてダメージを受ける事になる。多分、ふたりはわかってて連れてたんだと思う。

 

『ちょ、ぼっちちゃんそのメロディは!?いや……いやいやいやいやだからって何してるんだよ!!?』

 

 どうやらロマンさんも知ってるようだ。そういえば、最近私よりちょっと年上の歌手がアレンジもしたんだっけ?

 正直恥ずかしいし、今すぐ辞めたけど、それ以上に相手がエジソンさんだからこそ伝えたいと思って私は口を開いた。

 

「なんでもかんでもみんな〜 お〜どりをおどっている〜よ〜」

「な………な……」

「____」

 

 エジソンさんが困惑の顔をして、婦長さんが処理落ちしたPCのウィンドウのように固まっていた。

 

「お鍋の中からポワッと〜インチキおじさんとう〜じょう!」

『ダハハハハハ!ぼっちちゃん最高!アハハハハハハ!!!』

 

 ダヴィンチちゃんの馬鹿笑いが聞こえて、恥ずかしさで気が失いそうになるがグッと堪えて唄い続ける。

 

「い〜つだって、わすれな〜いエ〜ジソンは、偉いひ〜と、そ〜んなのじょ〜し〜き〜!」

 

 そう、この曲できっと私たちにとってエジソンさんはすごく有名になったと過言じゃないから。

 

「タッタタラリラ! 

ピーヒャラピーヒャラ!パッパパラパ!

ピーヒャラピーヒャラ!パッパパラパ!

ピーヒャラピーヒャラ!おーへそがちらりー!」

 

 けど、エジソンさんを有名にしようとか、何か大切なことを伝えたくてできた曲とは思えない。確か、ちょっと調べたことがあるけど、こんな歌を歌いたいってテイストで出来た曲みたいだし。

 それでも私は思う、意味が大きくないだけで中身が無いわけじゃない。そうじゃなきゃ、一度や二度忘れたとしても、ここまで長く多くの人の記憶に留まるとは思えないから。

 

「ピーヒャラピーヒャラ!パッパパラパ!

ピーヒャラピーヒャラ!おどるポンポコリン!

ピーヒャラピー おーなかが減ったよぉー!」

 

 そうして、私の唐突な単独ライブは終わった。息を切らしつつ、唖然とするエジソンさんと視線を交える。

 

「い、今の曲はいったい……なんなのだ?気のせいでなければ、私の名前が出たような?」

「あ、はい……この曲は私の生まれの、日本のアニメの曲で、多分きっと小さい子から年配の人たちですら一度は聞いたことがある曲なんです。

か、歌詞の中にエジソンさんの名前が入ってますが、かと言って何か大きなテーマがあるってわけでもないのですが……それでも、この歌を通して、貴方のことを私は、私達は知ってます。とても偉い人で、発明家で、諦めない人だって」

「………」

「だ、だからまた立ち上がって次に挑んでくれると、私は信じたいなって……それだけです。」

「………」

 

 すると、エジソンさんは手で目を覆えばそこから雫が漏れていた。

 

(遥か未来、国も時代も違うのに、私の名前を使っただけとはいえ、多くのものが知る曲を作り上げ、私を知り……その果てに信じてくれると言うのか……それは、人類史を大きく変える発明ではないが、ささやかな事だろうが……それは、決してアメリカだけでは作り上げれない未来(奇跡)ではないか……)

「……….後藤の突拍子もない行動で動揺してしまいましたが、同意です。」

 

 すると、婦長の口が再び開いた。

 

「イ・プルーリバス・ウナム

 

多数の民族から成立した国家であるあなた方は、あらゆる国家の子どもに等しく、あなた方が生み出したモノもまた、あらゆる国家の子供達へと受け継がれていく。

 

だからアメリカだけでは駄目なのです、我々にはこの世界を癒し、救うという“使命(オーダー)”があるのだから。」

 

 ふと見上げれば、エジソンさんの頭上には見慣れたアメリカの国旗が揺れていた。ボロボロになりながらも、確かにそこにこの国はあるのだと君臨するように。

 

「Mr.エジソン、癒やされたなら次は貴方が癒す番です。私達に協力を。」

「………」

 

 するとエジソンさんが立ち上がった。

 

「正直、私にはまだ思いつかない。世界を救う方法も、ケルトを倒す方法も。

 

だが、やるからには成し遂げたい。世界を救う“大発明”を、次こそ間違えずに!!」

 

 拳を硬め、前を見据える姿には力強さが戻っていた。

 

「あ、ありがとうございます、エジソンさん!」

「こちらこそさ、Ms.後藤。ふ……忘れてたな。大統領の傍には常に副大統領がいるもの……と言いたいが、君の場合はやはり専属ギタリストがピッタリだな。それこそ大統領を惚れ惚れされるほどの魅力的な、ね。」

『Mr.エジソン、では……』

「ああ」

 

 そして、エジソンさんの手が差し出され、私は緊張しつつも同じように差し出す。

 

「キャスター トーマス・アルバ・エジソン!この知性を世界を癒すために使おう。

カルデアのマスター……いや、最高のギタリスト、後藤ひとりよ!!」

 

 そして深く握手を交え、こうしてエジソンさんとの激突の幕が降り、同時に同盟成立となったのだった。

 

 

 




実は奇しくも、ここ最近におどるポンポコリンのAdo版のフルを聞き、更にブロリーMAD令和版も発見したので貴重な縁を感じたのはここだけの話です。
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