ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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続きです


第四十話

 

 

「な・ん・で!お前がいるのだ!!このすっとんきょうがぁ!!!」

 

 

 エジソンさんとの決戦を終えて、私達みんなが集まり大統領室で作戦会議を始めることにした。

 が、全員が集まったところでエジソンさんがそう叫んだ。

 

「あ、え、そ、その……」

「すまないね、Ms.後藤」

 

 すると今度は、テスラさんが間を割ってきた。

 

「そこな凡骨は、私のような真の天才を見ると発狂するのだ。

まったく凡骨だな、これだから凡骨は」

 

 と、こんな明らかな煽り口調で事態が収まるわけもなく……

 

「殺す!!」

「や・め・な・さーい!!」

 

 二人の殺意がぶつかり、同時にエレナさんがまるでお母さんの説教のように叫んだ。しかしそれでも構わず二人はまさに、兄弟喧嘩のような殴り合いに発展する。

 

「二人ともこんな場所でまで喧嘩しないで!!」

 

 本当に、二人のお母さんのようだ……

 

「凄いですね、事実通りの仲が悪いようです!」

「あ、はい……そうですね」

 

 その光景に、マシュはまさに目を輝かせながら見ていた。思わずそう答えてしまったけど、テスラさんは私に頼んだ時のような覇気を感じさせない顔から一変し、あんな風な素直に怒りぶつかることができなのだから、ある意味でこれで元に戻ったのかな?と私は内心思った。

 すると、ロビンさんが咳を軽く入れて話し始めた。

 

「んで、何の話し合いですかね?」

『まぁ、簡単に言うとこの後どうする?ってことだね。あの二人は置いといて、とりあえず状況を整理しようか。

 

ジェロニモ達が暗殺に失敗した事でレジスタンスは壊滅、別働隊だったぼっちちゃん達は生き残ったロビン達とスカサハ含むサーヴァント三騎と合流。そのご、ぼっちちゃんとスカサハ

それぞれ“エジソンの治療”と“残されたレジスタンスの守護”を成し遂げ再び合流。今ここに総勢十二騎のサーヴァントが集った訳だ。』

「十二……今までの特異点と比べても、これほどの戦力が集うのは初めてです。」

 

 私も、マシュのその言葉に同意し静かに頷いた。

 

『次に特異点全体の状況について判明した情報を伝えるよ。

これまで我々は、この特異点全体のデータを観測してきた。その中で、ある“相関”を発見した。』

 

 すると映像が投射され、それはアメリカ大陸全体の地図がそこにあった。

 

「あ、これは?」

『これまでのケルト軍、アメリカ軍の領土の変遷だよ。これもあるデータが相関関係にあることを発見したんだ。

つまり観測の“難しさ”だ。』

「む、難しさ、ですか?」

『ああ、ケルト軍の領土が拡がれば拡がるほど特異点内の観測が難しくなっていくんだ。これはただ見えづらくなったという話ではなく、もっと重大な事実。

ケルトの支配領域が拡がるほど、この特異点そのものの存在が大きくなっていくことを示している。』

 

 それって、もしかしてケルトがアメリカ全域に広がったらまずいのでは!?

 

『“点”である“特異点(モノ)”が“帯(ベルト)”の様に拡がっていると言っていい。そうなれば、この時代前後の人理はより不確かになる。

恐らくは「ケルト軍に一定以上の領土を占有されたその時点で」この特異点は修復不可能になるんだ』

「土地を奪われるわけにはいかなかった……ではエジソンの行いは結果的に」

「この国を救っていた、ということですね。」

 

 カルナさんと婦長さんのその言葉に、私も頷いてしまう。結果論とは言え、決して無駄じゃなかったと思った。

 

「だからと言って許される行いではなかったよ、ここからは私が話そう。」

 

 エジソンさんの声が聞こえ、みると顔面がものの見事に腫れ上がってた。文字通り痛々しい姿だ。

 それでも構わず話を続ける。

 

「では、その前提条件の下、いかにしてクー・フーリン、メイブを倒すかという話だが……取れる手段は実質一つだ、つまり」

「攻め込んで殴るのね!それしかないわ!!」

『また、この娘は……』

「その通り!」

(既知感(デジャブ)!!)

 

 このやり取りに覚えがあるけど、エジソンさんは本気だ。

 

「驚くのも無理はないが、事実だ。作戦は以下の通り。

 

ケルト軍の侵攻予測ルートである南北に軍を分割、片方は領土を奪われぬよう拮抗状態を維持。

その間にもう片方が首都まで進軍し、クー・フーリンとメイブを討つ。」

「なるほどな、現実に即するならそれしかあるまい。」

「………だが、そこまで決まってるならなぜ皆を集めた?作戦会議とは偽りか?」

「む……」

 

 李書文さんのその問いかけに、エジソンさんは言葉を詰まった様な表情をした。

 すると、今度はエレナさんが話し始めた。

 

「いいえ、話し合いたいのはこの後よ。

そもそもケルト軍の構成は数は少ないけれど、神話に遺る大英雄達、しかも聖杯所有者からの魔力共有付き。更には無限に増えるケルトの戦士や魔獣達。

これらと、かたや拮抗かたや打ち破るという編成を私達の能力も鑑みて決めなければいけない。

 

その選択は、私達の命だけじゃない。共に戦うこの時代の人々の命までも左右する重いモノ、から話し合うの。」

「………」

「ふむ……」

 

 エレナさんの話を全部把握できてるわけじゃないけど、多くの人々の命まで背負う責任の重いモノだとなんとなく思った。

 すると、スカサハさんが口を開いた。

 

「そういう事ならば話は簡単だ。」

「?」

「後藤ひとり、お前が決めよ。」

「…………………………え?」

 

 スカサハさんの言った事、それは決定権を私に委ねるという事。言葉だけなら理解できるけど、まるで頭に入った実感が湧かない。

 直後、机を叩く音と共にエジソンさんの叫びが室内に響く。

 

「今の話を聞いておられたか!?この役目は決して、ただの少女に押し付けて良いモノで」

「だがここに居る『人間』は後藤ひとりだ。」

「_____」

 

 スカサハさんの言葉にエジソンさんは………いや、私も言葉を失った。

 

「皆わかっていよう、この戦いは英霊の手で解決していいよのではない。人間の手で解決しなくてはならないもの。

今までのどうていがそれを示してきた、ならば退いてはならぬ、退けばそこで尊厳は地に落ちるのみ。

 

誰彼の生死も、争いの罪責も、亡霊の手に委ねてはならぬ。たとえ、どれだけ苦しくても、な。

 

決めよ後藤ひとり、人の手に戻すとはそういうことだ。」

 

 

 

 

 

 そして

 

「すまんMs.後藤!まさかあんな展開になると思わなかった!」

「い、いえそんな……」

 

 一度会議を終え、私はエジソンさんに大統王執務室へと導かれこうして話していた。

 

「………すまんな、せめて君の気が軽くなればと思い話すが、希望する兵士の除隊を開始した。」

「えっ」

「既に思想教育の解除と、薬物の中和を行い多くの兵士は正常な思想を戻している。いずれも魔術的アプローチを行っていたお陰で容易かったのだ。

エレナ君が手を回していてくれた、私の目が覚めた時に後戻りできるよう。」

「………」

「Ms.後藤、良かったら彼女たちと話してみてはどうか?

君が責を負うというのなら、止めることはできん。しかし、皆と話すことで見えてくるものもあるやもしれん。」

 

 そうエジソンさんが話し、私は苦手ではあるもののまずは庭の方へと向かいエレナさんとカルナさんがいた。

 

「それで私達の所へ?律儀な子なのね。」

「あ……その、お二人はどちらの部隊がいいとか希望はありますか?」

「私はどちらでも。ただ、カルナは自由にさせてあげて。彼には戦うべき相手がいるの。」

「あ、え、

戦うべき相手、ですか?」

「“アルジュナ”という男だ。」

 

 それはあの失敗した暗殺の際に出てきたというアーチャーで、確か生前のカルナさんを殺したという話で………と考えていたら、マシュが口を開いた。

 

「あの、聞いてもいいですか?何故お二人はエジソンさんに協力を?」

「……私が召喚された頃には、彼はもうあの姿で西部をまとめようとしていた。

過ちには気付いていたけど、私には彼を正す力はなかったから。彼が決定的な過ちを犯さないよう、そばに切ることにしたの。そんな折、カルナが召喚された。」

「奴は俺に跪いて助けを乞うた、オレのような益体のない男に、だ。自分の願いを棚上げするには十分だった。」

「……そうしている内に、テスラが召喚されて貴女たちの事を聞いたの。

私もカルナも、貴女たちが来ると信じて待つことにした。

 

……間に合ってよかった。私達の罪は重いけれど、それでもやり直すことができるのは貴女達のおかげ。改めてお礼を言わせて、彼を治してくれてありがとう。」

 

 

 

 そして場所が変わり

 

 

 

「エジソンに優しくれたか知らんが、腑抜けた編成なら許さぬ。加えて、どちらに編成されても私は独自に動く。」

(理不尽!)

「かかっ、これぞ女難!」

 

 貴賓室でスカサハさんと李書文さんと話をし、開口一番に来たのがこれだった。

 

「ついでだ、儂は北軍に入れてくれ。救出の際、敵のバーサーカーに見えてな。避難面の手前手合わせ願えなかったが、奴は北に行くと行っていた。なので儂もそこへ行く。」

(この人も勝手だなぁ……)

「あ、そのその口調だとベオウルフさんに会ったのですか?よく無事でしたね。」

「まあ奴にやる気がなかったからな。」

「ちなみに私も馬鹿弟子(クー・フーリン)に会った。」

(そんな大事なことをしれっと!?)

「な、なんで無事に……」

「強いから」

 

 2人口揃え、綺麗なハモリでそう答えた。納得と言えば納得だけど……するとスカサハさんがさらに話を続けた。

 

「まぁ、メイブがすでに他の物事に興味を移していたというのもあるな。そういう所があるのだ、あやつは。

 

とはいえ直に見てわかった、今のクー・フーリンは私より強い。奴が前線に出れくれば敗北は必至。」

「故に彼女は独自に動くのだよ、先行してクー・フーリンを抑え込むためにね。」

「!」

 

 それって、まるでスカサハさんが囮になる様な………

 

「口が軽いぞ、美丈夫」

「ちなみに私も行く、メイブの横槍が入るだろうからね。それなりに危険な任務だが、気にしないでくれたまえ。サーヴァントとは、そういうモノだからね。」

(そんな、危険な事なのに皆さんは……)

 

 すると、スカサハさんが私の耳元に近付き……

 

「…少しマシュと話がある、先に行け。」

「あ、はい……」

 

 そう言われ、私はタイミングを見てひっそりとその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 時間を持て余してたので、エリザベートさんとロビンさんに会いに行った。

 

【ぼっちを信用してるもの、好きにやんなさい!】

【そういうこと嫌なら決めなくたっていいと思いますぜ】

 

 と言われた。気がついたら、右手が震えてて……

 

「マスター」

「ウヒャアッ!?」

 

 背後から声が聞こえビックリしてしまった。振り返ったら、ラーマくんとヘクトールさんがいた。

 

「あ、す、すみません……どど、どうしたのですか?」

「これを渡そうと思ってな。」

「これって……」

 

 そこには文字の書かれた紙があった。そこには……

 

【北軍:エジソン、エレナ、エリザベート、ロビン、書文】

【南軍:後藤、マシュ、ラーマ、ヘクトール、スカサハ、テスラ、カルナ】

 

と、編成がするとロマンさんからの通信が差し込まれる。

 

『ボクらで考えたサーヴァントの編成表さ、突破力を重視して南軍に戦力を集中した。北軍の損害は大きくなるが、この編成が最も戦略的に正しい筈だ。』

「あ、ありがとうございます……けど、スカサハさんが私にって……」

「スカサハの言葉は正しいのだろう、でも僕達は君のサーヴァントとしてその責を負わせたくなかった。

責は余等が受け負う、この提案を受け入れてほしい。」

「で、ですけど……」

「いらない罪悪感ですよ、それは。」

 

 つい食い下がろうとしたら、今度はヘクトールさんが返してきた。

 

「へ、ヘクトールさん……」

「全く、基本弱気なのに妙に意固地ですなぁ……マスター、アンタに求めたのは敵を倒す覚悟だけ。それ以外の覚悟なんて、背負う必要なかったんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、色んな人の話を受けて……

 

 

「………」

 

 夜、眠れず城の橋から景色を眺めて時間を潰していた。

 

「身体を冷やしますよ」

「ヒャア!?」

 

 急に背後から声が聞こえた。振り返れば、そこには婦長さんがいた。

 

「こうして夜中に話すのは久しぶりですね。エジソンを治療した今、残る病は一つ。ようやくここまで来れました。」

「は、はい……」

「…………率直に申し上げて、私はどちらでもいいと思います。」

「え………?」

 

 数秒の沈黙の後に、婦長さんが話を続ける。

 

「背負い自分で決めなければと言う思いと、ただ式誰かに委ねた方がいいのではないかと言う思い。

選択の先には数多の命がある、迷うのは当然の事と私は思います。」

「で、でも……人の手で取り返すってジェロニモさんの言葉は正しいと思います。だから、人である私が決めないと……」

「でも、貴女は『ギターヒーロー』であって『英雄』ではないのです。」

「____」

 

 私は思わず言葉を失ってしまった。まさか、婦長……ナイチンゲールからその言葉が出てくるなんて思わなかった。

 

「その道には私は無知ですが、貴女は本来そのギターの道を歩む筈だったのです。ですが此度の選択をはじめ、世界の崩壊を止めると言う責務も貴女一人で背負うには重すぎる荷物なのです。まさしく“狂って”いなければ耐えられないほどの。それでも貴女がここまで来れたのは、迷い続けたから。」

 

 そっと、婦長さんが私の背負うギターを撫でた。まるで私のこれまでの歩みを指でなぞる様に。

 

「きっとこのギターに止まり、貴女を支えている皆さんも同じ想いです。

この度でも、今までの旅でも、貴女と共に未来を歩んだ人達との思い出も……迷い、悩み、それでも誠実に選び続けたから。貴女は貴女のままで、ここに立っている。それはかつての私とは違う在り方、ですがそれで良いのです。」

 

 瞬間、少し前に病棟から出る時と同じ美しい微笑みがそこにあった。

 

「貴女に鉄の信念など似合いませんから。」

「婦長……さん……」

 

 その言葉が正しいのか間違いなのか私にはわからない、だけど憑き物が落ちたような気がした。

 

「この争いに真摯に向き合う姿は正しい、でもそれを重荷に思う必要はないのです。

だって貴女の選択が間違ってなくても、我々が失敗することもあるのだから。」

 

 婦長さんの美しい顔が歪む、小石が投げ込まれた湖面のように。

 

「盤石の体制を整えても、兵士は死に、病人は発生するもの。

だから、貴女は貴女の歩んできたことに誇りを持ち、そして誰も悪くないことで自分を責めないで。」

 

 だけどそれは醜いわけじゃなくて、むしろ美しいから眩しいようで……そして胸が痛く感じて……ああ、色んな思いがグチャグチャに混じっちゃう。

 

「後藤ひとり、貴女は気楽に決めて良いのです。」

 

 手が重なる、暖かい。

 

「気楽に、そして誠実に、であれば私達はきっと大丈夫」

 

 その言葉が、私にはとても嬉しかった。一人じゃないんだと、孤独じゃないんだと……だから、私も逃げたくないと思えた。

 

(………そう言えば、似た様なことがあった気がする。確か……)

 

 嘉多ちゃんとカラオケボックスに行った時に……だけど、その思い出はこの時に思い出せなかった。

 

 

 

 

 

 

そして、翌朝

 

「北軍にエジソン、エレナ、ロビン、エリザベート………南軍にはスカサハ、カルナ、ラーマ……」

 

 スカサハさんが、私の書いた編成を読み上げる。

 

「ふむ、確かにこれならば拮抗と突破が可能であろうな。

しかし解せん配置が一つ」

 

 視線がヘクトールさんへ向けられる。

 

「ヘクトールはお主のサーヴァントだ、何故“北軍”に置いた?」

 

 それは、私が意図して変更したポイントだ。

 

「南軍に置けば十分な魔力供給の下、何軍突破の大きな力になる。わかった上でか?」

「はい」

「お主自身が危険に晒される、お主はそう言うのを一番恐れると承知の上でか?」

「それでも」

 

 真っ直ぐとスカサハさんが私を見据え、恐怖で高鳴る胸を振り切って口を開く。

 

「私は、ギタリストとして多くの人を笑顔にしたいから、多くの人が死ぬ選択を選びたくありません。」

「なんと律儀で無謀な馬鹿者か!誰に似たのやら!」

 

 私の返答を聞いて、スカサハさんは笑い声を上げながらそう言った。

 

「わかった、私はもう言わん。皆も文句はないだろう……一人を除いてな。」

 

 その視線は、再びヘクトールさんに向けられた。すると、ヘクトールさんが私に向きながら呆れた顔で口を開く。

 

「あの海から……ヘラクレスと鬼ごっこした時から全然変わりませんなぁ、貴女は。」

「……そうかもしれません、どうにか頑張ってもこうなってしまいます。」

「…………裏切ると、思わないんですかい?」

「………それでも、ヘクトールさんに頼みたいんです。」

 

 そう言いながら、私は令呪を使いながらギターの弦を鳴らし演奏しながら告げる。

 私は、ヘクトールさんの事を従前に分かってない、知らないことの方がきっと多い。けど、たった一つだけわかることがある。それは……

 

「令呪を以って命じます」

 

 ヘクトールさんは上手なことがある。

 

「“みんなを守ってください”“ヘクトールさん”」

 

 守ることが上手い、それだけ。

 

「______」

 

 だって、本当は私の様な弱くて脆い人間なんて足手纏い。大きな荷物なのにちゃんと脅威から守ってくれたり、退路を確保してくれたり、指示通り戦ってくれたりと義務を果たしてくれる。

 そんな当たり前なこと、褒められたって嬉しくないだろうけど私にとってはすごくありがたかった。だけどそれだけ、それ以上のことを私は知らないから……きっとこんな令呪込みの指示なんてなんの意味もない。

 

「参りましたな、その言葉には背を向けられない」

 

 だけど意外にもヘクトールはそう言った。

 

「わかりましたよ、オジサン守るのだけはイヤになる程得意なんでね。」

「あ、ありがとう、ございます……」

「あーあと、オジサン音楽には詳しくないのですが………悪くなかったですぜ?また聞かせてくださいよ、マスター」

 

 そう言いながら背を向けて、ヘクトールさんは北軍の方へと向かったのだった。何が気に入ったのかはわからないけど、結果的にこれで良かったのかな?と思えた。

 すると続けて、ロビンさんとエリザベートさんも顔を出してきて……

 

「顔を合わせるだけが再会じゃない、何かの形でまた会えるさ。ジェロニモの想いを汲んでくれて、嬉しかったぜ。」

「本当はアタシもそっちに行きたかったけど、託したわ。セイバーを倒したクー・フーリン、仕留めなさい、必ず。」

 

 そう言い残してお別れをした。

 

 

 

 こうして、この特異点最後の戦いが静かに幕を開けた。

 

 改めて、戦場の名は“アメリカ”

 

 夜明けを待つこの大地で、最後にして最大の  

 

 神話の如き大戦が、始まるのだった。

 

 

 

 

 

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